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米オハイオ州クリーブランドで開催された共和党大会で演説するドナルド・トランプ氏(2016年7月21日撮影、資料写真)。(c)AFP/JIM WATSON 〔AFPBB News〕
バルト諸国、トランプ発言に戦々恐々 NATOの集団自衛に疑問符、ロシアが攻めてきても米国は守らない?
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47535
2016.8.4 Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年8月1日付)
米国の大統領選挙は多くの米国市民にとって気の滅入る出来事になっている。だが、バルト3国にとっては、まったくもって恐ろしい事態だ。まず、共和党の大統領指名候補が、ロシアに侵略された場合にエストニアやラトビア、リトアニアの防衛に駆けつけることを保証するのを拒み、往年の米国のコミットメントに疑問を投げかけた。
ドナルド・トランプ氏の驚きの発言の数時間後には、共和党の別の大物がエストニアのことを「サンクトペテルブルクの郊外」と軽んじ、米国がこのような場所をめぐって核戦争のリスクを冒すべきなのかどうかと問いかけた。
誤解があってはならないとばかりに、トランプ氏はその後、東欧の多くの人を不安にさせるような政策案をさらに打ち出した。クリミアをロシア領として承認すること、対ロ制裁を撤廃することを「検討する」と述べたのだ。しかもこれは、ロシアの国家的ハッキングをトランプ氏がけしかけているように見える発言に触れる前の話だ。
タリン(エストニアの首都)、リガ(ラトビアの首都)、ビリニュス(リトアニアの首都)の多くの人にとって、これは最悪の不安を呼び起こす。最も緊密な同盟国の指導者の座まであと一歩のところにいる人物が最悪の敵に対し、新たな領土強奪の邪魔だてはしないかもしれないという合図を送っているのだ。
「悪夢だ」。ラトビア議会の外交委員会を率いるオヤルス・カルニンチ氏はこう言う。「我々にとって、欧州にとって、そして米国と関係があるすべての国にとって、これは対処しなければならない悪夢となる」
この問題は、バルト諸国やポーランドなど、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する東欧諸国にとってお馴染みの不安をよみがえらせる。NATOの集団防衛の原則にもかかわらず、ロシアが2014年にクリミアを併合した際は、例えばエストニアのナルバ――ロシアとの国境地帯にあり、ロシア系民族が大勢暮らす街――を解放するために米国人が死ぬ用意があるのかという不安が沸き起こった。
バルト諸国の多くの人は、バラク・オバマ米大統領が公言した「アジアへのピボット」の後、同大統領に用心深い目を向けていた。だが、オバマ氏は2年前にタリンを訪問し、どの加盟国に対する攻撃も全加盟国に対する攻撃と見なすことを義務付けるNATO条約第5条への米国のコミットメントを強調した。
バルト諸国とポーランドは徐々に、潜在的なロシアの侵略に対して各国が抱く長年の懸念をNATOが真剣に受け止めているという言質を次々に得た。バルト海の上空パトロールが強化され、共同軍事演習が増え、さまざまな国際部隊が各国にローテーション配備された。
7月にワルシャワで開催されたNATO首脳会議は、さらに成果をもたらした。エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドは、それぞれ英国、カナダ、ドイツ、米国が率いる国際部隊の大隊を受け入れることになったのだ。
だが、トランプ氏が米ニューヨーク・タイムズ紙に語った発言は、ラトビアとリトアニアの弱点を暴いた。防衛費がそれだ。トランプ氏は多くのNATO加盟国が「お金を払っていない」ことを強調した後、「もし我々に対する支払い義務を果したら」バルト諸国を防衛すると語った。
昨年、エストニアとポーランドは国内総生産比(GDP)2%というNATOの軍事費目標を上回った。少なくとも2008年の金融危機以降では初めてのことだ。だが、NATOの数字によれば、ラトビアの軍事費はGDP比1.04%、リトアニアは1.14%にとどまっている。両国はこの状況を急ぎ是正している。
共和党は伝統的に、NATO、バルト諸国双方の筋金入りの擁護者だった。バルト諸国の一部高官は今、トランプ氏の方向転換ために、同氏は11月の本選挙で約200万人の米国の東欧系移民の票を失うのではないかとブツブツつぶやいている。
今のところ、この地域では、ある種のブラックユーモアが支配的だ。多くの人はヒラリー・クリントン氏の勝利を祈っており、バルト諸国のある高官によれば、民主党支持者の数が「日に日に増えている」という。
カルニンチ氏は別の見方をする。トランプ氏の3番目の妻のメラニアさんが生まれたスロベニアは防衛費にGDPの0.94%しか使っていないと指摘し、「NATO加盟国であるスロベニアが攻撃されたら、トランプは果たしてためらうのだろうか」と問うている。
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