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朝鮮のミサイル発射を口実に前から計画していたTHAADの韓国配備を米は決定、中露の反発は必至
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201607090000/
2016.07.10 02:12:25 櫻井ジャーナル
THAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムを韓国に配備することをアメリカと韓国は7月8日に決定したという。朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対抗するためだとしているが、イランの脅威に対抗するためにロシアとの国境近くへ弾道ミサイル迎撃システムを配備するとう戯言よりも説得力がない。ICBMを打ち上げる技術を獲得したとしても、弾頭が再突入に耐えられるかどうかは別の話で、アメリカにしろ、日本にしろ、韓国にしろ朝鮮が脅威だとは思っていないだろう。
勿論、ヨーロッパと東アジアの動きは連動、その大本にはハルフォード・マッキンダーの「ハートランド理論」(注)がある。現在、アメリカは中国を封じ込める枢軸として日本、フィリピン、ベトナムを考え、そこへ韓国、インド、オーストラリアを結びつけようとしているが、これも同じ理論に基づいている。中国が東シナ海や南シナ海で動きを活発化させているのは、こうした戦略に対抗するため。今回の配備決定が中国だけでなくロシアの反発を招くことは必至だ。
THAADの配備は以前からアメリカが強く望んでいたが、韓国政府は中国との関係悪化が避けられないと考えて要求に応えようとしなかった。アメリカは先制核攻撃の準備をしていると韓国も認識しているだろう。朝鮮の動きはアメリカにとって好都合だったが、それにしても相当の圧力がかかった可能性が高い。アメリカという脅威を韓国は恐れた。
韓国と同じように、アメリカは日本にもミサイル・システムを配備しそうだ。パトリオット・ミサイルは役に立たない代物なので、THAADか陸上版のイージス・システムを設置することになるだろう。
しかし、以前にも書いたことだが、「ミサイル防衛」における最大の問題点は先制攻撃に対する報復攻撃ではない。例えば、射程が1000キロメートルから2400キロメートルという攻撃的なミサイルへ切り替えることも容易だ。「ミサイル防衛」は「ミサイル攻撃」へ簡単に変身できるということだ。
ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できるとするキール・リーバーとダリル・プレスの論文をフォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)が2006年に掲載した。ロシアや中国の反撃を恐れる必要はないという主張で、アメリカ側の迎撃システムは生き残ったわずかな兵器に対応できれば良いと考えていた可能性がある。
アメリカのJCS(統合参謀本部)は1949年に出した研究報告の中で、ソ連の70都市へ133発の原爆を落とすと想定、54年にSAC(戦略空軍総司令部)は600から750発の核爆弾をソ連に投下、118都市に住む住民の80%、つまり約6000万人を殺すという計画を考えていた。そして1957年初頭には300発の核爆弾でソ連の100都市を破壊するという「ドロップショット作戦」が作成されている。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012)
テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、ライマン・レムニッツァーJCS議長やSACの司令官だったカーティス・ルメイを含む好戦派は1963年の終わりにソ連を奇襲攻撃する予定だった。その頃にアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていたのだ。この攻撃を成功させるためにもキューバを制圧し、ソ連の中距離ミサイルを排除する必要があった。
好戦派にとって最大の障害はジョン・F・ケネディ大統領。その人物は1963年11月22日にテキサス州のダラスで暗殺されたが、CIAのライバルであるFBIがCIAの動きをリンドン・ジョンソン大統領へ伝え、戦争には至らなかったと言われている。
その後、核戦争でアメリカがソ連を圧倒することが困難な状況になり、ズビグネフ・ブレジンスキーはワッハーブ派/サラフ主義者やムスリム同胞団を中心とした戦闘員やネオ・ナチを使った非正規戦で疲弊させようとした。それだけが原因ではないが、1991年12月にはソ連が消滅、アメリカは自分たちが「唯一の超大国」になったと認識して潜在的なライバルや自立した資源国を潰しにかかった。
ところが、21世紀に入るとロシアが再独立、アメリカは経済的に衰退、基軸通貨を発行する権利で生きながらえる状況になっている。軍事力も兵器産業へカネが流れる仕組みに変えたため、戦闘能力は大幅に低下、開発する兵器もF-35戦闘機のように欠陥品ばかりだ。
ロシアが近く実戦配備するといわれているS-500は弾道ミサイルが大気圏へ再突入する前に撃ち落とすことが可能だと言われているが、超音速で飛行、西側の防空システムでは対応できないというイスカンダル・ミサイルは配備されつつある。そして現在、最も注目されているのは昨年11月にロシア軍がリークした戦略魚雷。
この新型魚雷は潜水艦から発射され、遠隔操作が可能。海底1万メートルを時速185キロメートルで進むことができ、射程距離は1万キロに達する。空母を沈められるだけでなく、アメリカの海岸線にある都市を攻撃することができる。海岸線に原発を含む重要な施設が並んでいる日本はひとたまりもない。
それでもアメリカは最大の核兵器保有国であり、バラク・オバマ大統領は今後30年間に9000億ドルから1兆ドルを核兵器分野に投入するという計画を打ち出している。かつてリチャード・ニクソンは「凶人」を装うことで世界を自分たちの望む方向へ導けると考え、またイスラエルは狂犬のようにならなければならないと同国のモシェ・ダヤン将軍は語っていた。核兵器を大量に保有した凶人、あるいは狂犬は確かに恐ろしいが、そうした相手にロシアや中国が屈するようには思えない。
ネオコン/シオニストなど好戦派の行動を観察すると、彼らは全面核戦争を始めると脅せばロシアも中国も屈服すると考えているようだ。夫を戦争へと導いたヒラリー・クリントンも同じ発想の持ち主のようで、自分が大統領ならばイランを攻撃すると語ったこともある。安倍晋三政権もこうした人びとと同じ妄想の中で生きている。
(注)世界制覇を目的としたプラン。世界を3つの「島」に分け、ヨーロッパ、アジア、アフリカを「世界島」、イギリスや日本などを「沖合諸島」、南北アメリカやオーストラリアを「遠方諸島」と呼ぶ。世界島の中心がハートランドで、具体的にはロシアを指している。このハートランド/ロシアの制圧が世界制覇のカギを握っているとマッキンダーは考えた。
ハートランド/ロシアを支配するため、ふたつの「三日月帯」で締め上げていくという戦略を彼は立てた。西ヨーロッパ、パレスチナ(1948年にイスラエル建国を宣言)、サウジアラビア(サウード家のアラビアを意味するサウジアラビアが登場するのは1932年のこと)、インド、東南アジア諸国、朝鮮半島をつなぐ「内部三日月帯」と、その外側の「外部三日月地帯」だ。
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