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仏の武器輸出倍増 昨年受注額、最高の2兆円 地政学リスクで需要増
【パリ=竹内康雄】フランスが兵器の輸出を拡大している。2015年の受注額は過去最高の160億ユーロ(約2兆円)に達し、16年もオーストラリアでの次期潜水艦事業への参加などで記録を更新する見込み。背景には中東情勢の悪化など地政学リスクの高まりによる需要増がある。実戦投入した兵器の実績をアピールし、相手国への技術移転や現地生産を認めて官民一体で売り込み、受注につなげる。
「数千人の雇用が生まれ、それが50年も続く。大きな勝利だ」。4月下旬、ルドリアン仏国防相は仏軍艦製造DCNSがオーストラリアの次期潜水艦の共同開発事業(約4兆3000億円規模)を受注したことを称賛した。フランスではこのところ大型兵器の受注が相次いでおり、足取りの重い仏景気を上向かせるとの期待が高まっている。
フランスの15年の兵器輸出は160億ユーロで、前年のほぼ2倍と過去最高を記録した。貢献したのがダッソー・アビアシオン社製の戦闘機「ラファール」だ。ラファールの運用開始は2000年ごろ。国外への輸出を目指していたが、仏軍の利用にとどまっていた。15年にエジプトとカタール輸出を立て続けに決め、全体を押し上げた。
16年には豪潜水艦や、ロシアに売却するはずだったミストラル級強襲揚陸艦のエジプトへの輸出の一部が計上され、「15年の額を上回るのは確実」(仏国防省装備総局)。今もエジプトには軍事通信衛星、サウジアラビアには軍用車両やヘリコプターなど、アラブ首長国連邦(UAE)やマレーシアにはラファールを売り込んでいる。
輸出増の理由は複数ある。まず地政学的な緊張の高まりだ。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると15年の世界の軍事費は前年比1%増の1兆6760億ドル。世界的な経済危機などで減少傾向が続いていたが、4年ぶりの増加に転じた。
ウクライナや中東、南シナ海などで緊張が高まったため各国が国防費を拡大。16年もこの傾向は続くとみられる。
もう一つは仏製の兵器への信頼性向上がある。フランスは西アフリカのマリや中東などに戦闘機や軍艦を派遣し、実際の軍事作戦で使っている。「実戦で実績を積み重ねた」(仏国防省)ことで各国の関心が高まった。
SIPRIによると、10〜14年累計の世界の兵器・武器輸出に占めるシェアは5%。米ロに次ぎ、中国やドイツなどと3位グループに入る。フランスは中東やアフリカなど成長が見込める国々と結びつきが強く、雇用創出につながるとして重点産業と位置づけている。
[日経新聞5月27日朝刊P.7]
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