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いったい誰が宇宙で米国に脅威を与えるのか?[スプートニク日本語]
オピニオン
2016年05月28日 20:30
タチヤナ フロニ
オバマ大統領は、議会へ、宇宙空間において敵を抑止することに向けた政策に関する報告書を送った。ほんの少し前、米国防総省は、ロシアと中国に対し、宇宙で米国を攻撃するためのポテンシャルを拡大しているとして非難したばかりだった。米国側の主な不安は、なによりも自分達の人工衛星の安全にある。
では実際、誰が、どの国が、宇宙から米国に脅威を与えているというのだろうか?それとも米国は、宇宙において軍拡競争を展開するための口実を探しているだけなのだろうか? この問いを、スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者は、CIS諸国研究所上海協力機構ユーラシア統合・発展部の軍事エキスパート、ウラジーミル・エフセーエフ氏に聞いてみた。以下その内容をまとめてお伝えする。
「米国の軍事力は、人工衛星から送られてくる通信から始まり、偵察・標的の捕捉、照準合わせに至るまで、様々なタイプの宇宙機器の利用に大変大きく左右されている。こうした宇宙関連システムが、米軍のほぼ半分で使われている。それ故、米国は、その通信・諜報部分が、宇宙からのものも含めた攻撃に脆弱ではないよう、極めて大きな配慮をしている。その際米国自身はと言えば、宇宙空間に兵器を持ち出す用意がある。彼らは積極的に、この分野で仕事をし、自分達の軍事力の優位性を保つために他国の人工衛星を撃墜することも厭わない。しかし国際社会の目をそらすために、他の国々が、対人工衛星兵器を製造していると言って非難するのだ。
一方ロシアと中国は、すでに2008年、宇宙空間に兵器を配備するのを阻止する国際条約の共同案を、ジュネーヴ軍縮会議での検討に持ち出した。しかし米国は、対人工衛星兵器問題の効果的解決を含め、それが可能だったにもかかわらず、わざとらしい口実のもと、ロ中の共同提案を葬ってしまった。
かつてソ連と米国は、主として空中発射を想定したレーザーやミサイルを使った様々なタイプの対人工衛星兵器システムを、積極的に発達させていた。そうした開発技術は、どこかに消えたわけでは決してない。しかしソ連崩壊後、ロシアが積極的にそれに取り組まなかったのに対し、米国は作業を続け、ある時、自国の人工衛星を撃ち落とした。そして中国が、同じことをした時、つまり制御できなくなった自国の気象衛星を撃ち落とした時、米国は非常に心配し始めた。実際中国は、米国にとって問題を作り出すようなある種のシステムを持っている。特に、あるデータによれば、中国は、少なくとも人工衛星を撃ち落とせる3つのレーザー兵器を所有しているという。つい最近、日本の偵察衛星がコントロールできなくなり、謎の爆発を遂げたあと軌道を外れたが、地上からレーザー兵器で攻撃されたのではないかと疑われている。
また、米国政府が、宇宙空間へ兵器の配備を目指す理由には、もう一つある。
米国は、自分達が作っているグローバルな対ミサイル防衛システムが、宇宙からの援護がないと効果的なものになりえないことを、よく理解しているからだ。 つまり高度10万メートル程度の低い軌道を回る人工衛星が必要だという事だ。飛行経路の最後の区間でミサイルを撃退する様々なシステムが、そうした衛星には備えられるだろう。
最後に皆さんの注意を促したいことは、ロシア政府が何度も、宇宙空間の非軍事化について提案してきたという事実だ。例えば、今年4月にも、セルゲイ・ラヴロフ外相は『ロシアは、宇宙空間に武器を配備する最初の国にはならない』と約束した。しかしどうやら今回も米国は、こうした考えに耳を傾けるつもりはないらしい。」
http://jp.sputniknews.com/opinion/20160528/2210906.html
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