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2016.5.11 10:00更新
【軍事ワールド】
史上最強の米戦闘機が復活か…中露ステルス機の脅威論が台頭、最新F−35は「鈍重」と不評買う[産経新聞]
史上最強の戦闘機を再生産する案が米国で持ち上がっている。レーダーに映らないうえ、戦闘機としてほぼ敵機に後ろにつかれることのない機動性を持ちながら、高価格と世界的軍縮のため生産中止になった「F−22ラプター」について再生産を検討するよう、米下院が空軍に命じたのだ。実現すれば世界の軍事バランスを変えるのはもちろん、日本のステルス戦闘機配備計画にも大きな影響を与えそうな計画だが、再生産予算を調達できるまでにはまだ波乱がありそうだ。(岡田敏彦)
最強の翼が再び?
米軍事サイト「ディフェンス・ニュース」などによると、米下院が空軍に対しF−22ラプターの組み立て再開を検討するよう命じたことが4月19日に公表された。
F−22は、1985年に空軍が要求したATF(先進戦術戦闘機)案に米航空機メーカーのロッキード・マーチン(LM)社が応えたもので、試作機のYF−22は90年9月に初飛行した。レーダーに映らない特殊な外形と内部構造を有し、表面にも特殊な電波吸収材を塗布。空対空ミサイルなどの兵装は、従来のように翼の下に懸架する方式では敵レーダーに映るため、すべてを胴体内のウエポン・ベイに収納する方式を取った。
その大きな機体に強力なエンジンを2機搭載し、高度な飛行性能を与えた。推力重量比は1・27。この数字は、理論上は翼による揚力を借りずとも、ロケットのように垂直に打ち上げられるだけのパワーを持つことを示す。
量産は2001年から始まり、2011年に最終号機の187号機が工場を出て、生産は終わった。当初の計画では750機を生産する予定だったが、1機あたり1億5千万ドル(約170億円)とも言われる高価格と、冷戦構造の崩壊による軍縮の潮流がネックとなり、わずか4分の1の生産で終わった。米軍や航空自衛隊が運用するF−15は1機100億円とされ、F−22が極めて高額なことがわかる。
その性能は折り紙付きだ。しかし、コンセプトから数えれば30年以上前の飛行機に、なぜいま再生産の話が持ち上がるのか。実はいま、最新鋭の戦闘機として生産が進むF−35に疑惑が持ち上がっているのだ。
開発費高騰とF−35
新型戦闘機を作るにあたって、開発費は年々高騰してきた。一つの理由は1970年代、米国製戦闘機F−16ファイティング・ファルコンにおけるFBW(フライ・バイ・ワイヤ)の実用化だ。直訳すれば「電線による飛行」。金属製のロープ(ケーブル)と滑車、金属棒などで操縦桿の動きを各舵面に伝えていた従来方式から、電線(ワイヤ)を使いモーターなどで各舵面を動かすハイテクが導入された。これによって操舵にコンピューターを介在させることが可能となり、戦闘機設計上の革命的な変化につながった。
戦闘機には機敏な動きが必要だが、設計時にそうした運動性能を重視し過ぎると、まっすぐ飛ぶだけで一苦労になる。かといって大型旅客機のように安定性を求めると、動きは鈍重になる。レース用バイクと観光バスの良いとこ取りをして1台にまとめるのは無謀だ。しかしコンピューターが無理難題を可能とした。人間の反射神経では乗りこなせない不安定で過敏な機体を、コンピューターの補正で無理矢理に飛ばすのだ。
ただし、膨大なプログラム作成などで開発費は高騰する。軍縮で戦闘機の必要数が激減したことから、量産効果による研究開発費の回収も難しい。もはや一国で新戦闘機開発の予算を工面できる国は、世界に数えるほどしかなくなった。
そんな状況でF−35計画はスタートした。F−22より安く、かつ次世代戦闘機が必要ながら単独開発できなくなった欧州など各国の要求を取り入れた戦闘機。それは1機種で空軍と海軍、さらに海兵隊でも使える「万能戦闘機」を生み出そうとの野心的なプランとなった。
F−35のA型は空軍用、B型はSTOVL(短距離離陸・垂直着陸)型の海兵隊用、C型は海軍の空母艦載用だ。基本フレームなどを共通として設計開発費を安価に済ませようとの思惑があった。
しかし計画が進むにつれ、共通で済む部分は当初予想より少ないことが判明する。また飛行や攻撃のプログラムは各型用に専用のものが必要で、開発費、開発時間とも当初計画を大きくオーバーした。さらに、その性能に疑問符をつける専門家がいる。
世界でベストセラーとなったF−16戦闘機の開発に携わった航空機設計者のピエーレ・スプレイ氏は、F−35について「地上軍への近接支援に空対空戦闘、戦線後方への爆撃、全部1機種でできるはずがない」と指摘。「マニューバ(急旋回などの格闘機動)ができない。F−35は戦闘機とされているが、あれはくだらない爆撃機だ」と批判する。もしF−35に問題があるならば、エンジンが1機で小型で安価なF−35を「何でも屋」にしようとした点にあるのかもしれない。量産の遅れに開発費の高騰、そして“鈍重”疑惑がF−35に降りかかるなか、出現したのがF−22の再生産計画だ。
中露が呼び水も…まさかの選挙目当て?
ロシアや中国がレーダーに映らないステルス機を開発し実用化が間近とされるいま、米空軍戦闘機の優位性は減っているとの見方が強い。上院軍事委員会の公聴会で、ジェイムズ・ホームズ空軍参謀次長は「ロシアと中国が予想を上回る性能の機体を開発している」と発言している。
そこでF−35の配備が遅れる中、即戦力として期待できるF−22を再生産し、配備数を増やそうというのだ。米下院軍事委員会は2017年度国防政策法案の一部に、F−22の再生産を始めて最低194機を調達した場合の費用の検討を求める項目を追加。検討結果を17年1月1日までに提出するよう求めた。
かつてF−22が量産期間中には、日本とオーストラリアが購入を打診していた。高度なステルス技術が使われていることを理由として98年に「輸出は行わない」との決定が下されたが、再生産の話が本格化すれば購入の話も再び浮上する可能性がある。ただ、本当に再生産にこぎつけるかは未知数だ。
F−22の生産ラインで使っていた機械や治具は保存されている。しかし米空軍は現状の装備の更新だけで膨大な予算を必要としており、F−22再生産の導入予算をどこから引き出すのかという問題がある。また生産に携わっていた特殊な技能を持つ工員たちを再び集めたり、新規作業員に技能を一から教育したりするコストの問題もある。
さらに、再生産を主張する政治家の中心人物がランディ・フォーブス下院議員(共和党)だったことが明らかになり、現地で懸念を呼んでいる。フォーブス議員はヴァージニア州選出だが、選挙区が変更され、新選挙区は民主党有利な地盤となってしまった。そしてこの選挙区にはF−22戦闘機を配備しているラングレー空軍基地がある。米下院選挙は10月の大統領選とともに実施されるため、再生産話は、空軍基地関係者の票を得るためではないか−との推測も出ている。
http://www.sankei.com/west/news/160511/wst1605110006-n1.html
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