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北朝鮮の核やミサイルの騒動は、米朝合作で、日本を含む関連諸国政府もそれを知りながら動いていると言ってしまえば身も蓋もない話になるが....
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解剖 北朝鮮リスク 小倉和夫、康仁徳ほか編著 日韓の研究者が多面的に分析
なぜ、経済的に苦境の国が、国際社会を敵に回すだけでなく、莫大な経費も必要な核実験やミサイル発射を、突然行うのか。この不透明さが「北朝鮮リスク」なのだろう。
「東アジア最大の地政学リスクの1つである」と本書は位置付ける。12人に及ぶ日韓両国の名うての研究者が分担執筆した本書は、北朝鮮の政治・軍事・経済・社会をめぐって、その現状分析、リスク認識、そして日韓協力のあり方を説く。たとえば北朝鮮のサイバー脅威は張哲運(慶南大研究員)論文でその深刻な実態がわかる。
北朝鮮問題は、核・ミサイル・拉致などの「攻撃性」と経済難・体制維持などの「脆弱性」の2つに分かれるという。周辺国によって問題解決の優先順位が異なるため、政策上の足並みがそろわない。これこそ、「6カ国協議が北朝鮮の核実験を阻止できなかった最も大きな理由」で、問題解決には「他国との連携が必要不可欠となる」と平岩俊司(関西学院大教授)は書く。クリアな分析と提言である。
韓国にとっては「攻撃性」よりも「脆弱性」のほうが恐怖だろう。康仁徳(元韓国統一相)は、韓国が最も憂慮するリスクを「急変事態」だと言明する。「北朝鮮住民の大規模蜂起、主要エリートの反乱などによって北朝鮮体制が短期間に崩壊し、住民統制力を喪失して周辺国家に悪影響を及ぼす状況」である。そうなれば、陸続きの韓国は激しい社会混乱が発生するだろう。韓国はその事態に備え、「統一につながるように徹底的に準備するなど、万全の対策を講じている」そうだ。
康は統一後の朝鮮半島像に関して、非核化、日米との伝統的友好関係維持、領土問題などでの民族感情に訴える感情的アプローチの自制などを主張する。康ら7人の韓国人執筆陣から、こうした冷静な見解が聞けるのも、本書の特徴である。小倉和夫(元駐韓大使)による、日本にとっての朝鮮半島論や急変事態後の政治的安定方策論は、歴史を遡った秀逸な論稿である。
執筆者は共同研究会のメンバーで、「北朝鮮が自ら核廃棄することは期待できない」「金正恩政権が体制強化や人民の支持取り付けのため、これまで以上に経済政策に力を入れている」という2点で見方がほぼ一致する。この現状認識のもと、まとめの章で政治指導者に次のように求める。「政策にメリハリをつけ、北朝鮮への圧力、インセンティブ(奨励策)とも、従来を上回る強力なメニューを用意する必要がある。少々の軋轢(あつれき)は覚悟すべきだ」と。正論である。
(日本経済新聞出版社・3000円)
▼編著者はほかに日本経済研究センター。小倉氏は38年生まれ。康氏は32年生まれ。
《評》静岡県立大学教授
小針 進
[日経新聞5月1日朝刊P.21]
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