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「ミサイル部隊の兵士が麻薬常習」「性的薬物使用」… 米軍の核管理レベルがこんなに低下していた(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/16/warb17/msg/556.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 19 日 09:23:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


「ミサイル部隊の兵士が麻薬常習」「性的薬物使用」… 米軍の核管理レベルがこんなに低下していた
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48443
2016年04月19日(火) 山田敏弘 現代ビジネス


■核を管理しているのは、麻薬常習者だった!

3月31日から、アメリカで世界50カ国の首脳が集結する核セキュリティーサミットが開催された。

このサミットは、核兵器削減を訴えるバラク・オバマ米大統領の肝いりで始まった会議だ。奇しくも、現在、米大統領選の共和党指名候補争いをするドナルド・トランプの発言で日本の核武装議論が起きていたこともあって、日本でもこのサミットは注目された。

サミット開催に合わせて、米ワシントンポスト紙に寄稿したオバマは、ISIL(イスラミック・ステート)などテロ組織の脅威に対して「世界でもっとも危険な勢力に、世界でもっとも危険な兵器を与えてはならない」と主張した。

確かに、なりふり構わぬテロ集団が核兵器を手にすることなどあってはならない。ただ一方で、核兵器をめぐる脅威は米軍の“足元”にも存在する。アメリカ空軍は3月18日、ワイオミング州の空軍基地で核兵器を管理する部隊の兵士14人がコカインなど違法薬物を摂取していた疑いで捜査されていると認めたのだ。

この基地では「Minuteman III」と呼ばれる核弾頭搭載の大陸間弾道ミサイル150発が管理されおり、14人はミサイルの周辺警備や輸送の際の警護などを担当していた。麻薬常習者が核兵器管理に携わっているという事実…。想像するだけで恐ろしい。

実は、核兵器を取り扱う軍関係者たちが起こす深刻な不祥事は少なくない。私たちは日常的に核兵器が“暴発”しかねない危険にさらされているのである。

■「フットボール」と「ビスケット」

そもそもアメリカで核兵器はどう扱われているのか。アメリカの核戦力を統括するのは、アメリカ戦略軍(USSTRATCOM)だ。そしてよく知られている通り、核兵器の発射命令を出せるのは、最高司令官である大統領だけである。ディック・チェイニー元副大統領は、以前インタビューで大統領の核兵器発射を命じる権限について、「大統領は誰にも確認を取らなくていい」と語っている。連邦議会や裁判所から許可を取る必要もないのだ。

大統領は「フットボール」と呼ばれる黒いスーツケースを常に持ち歩いている。実際には、常に大統領に随行する軍事顧問がこれを持ち、中には核兵器発射のガイドラインが書かれたメモや発射を命じる際のコード番号が入っている。

大統領はさらに「ビスケット」と呼ばれるプラスチックのカードをいつも携帯しており、そこには「フットボール」を開けたりするための「ゴールデン・コーズ」と呼ばれる大統領の認証コード番号が書かれているという。

(このコードは副大統領にも知らされており、大統領に不慮の事故が起きても対応出来るようになっている。ちなみにビル・クリントン前大統領は、この「ビスケット」を数カ月紛失したという逸話が残っている。)

実際に核兵器の使用を考慮する段階になれば、大統領は国防長官など側近らと協議を行うことになる。つまり「魔が差して」兵器が発射され、人類を滅亡させてしまうなんてことはありえない。

現在、アメリカは約2150発の核兵器を保有していると言われる。これは核弾頭(ミサイルに搭載した核爆弾)としてすぐにでも使える兵器の数で、さらに予備の兵器として2500発が、いわゆる“ゾンビ”核兵器として保管されている。また解体処分を待っている、引退した核兵器が3000発。核兵器は全米11州の米軍基地にある12カ所で管理されており、さらに欧州5カ国でも保管されている。

さて、核兵器を扱う米軍基地には、“ミシリアー”と呼ばれる隊員がいる。“ミシリアー”とは、命令によって核兵器の発射ボタンを押すミサイル担当官のことだ。24時間体制で地下のミサイル発射施設内に交代制で配備され、同僚兵士と2人で核兵器を準備・操作する任務を負う。米軍基地のミサイル担当官は、常に2人で任務を行う「ツーマンルール」が基本となっているという。

こうした核兵器管理のシステムの中で、度重なる不祥事が発生している事実は、日本ではあまり知られていない。

■モラルの低下が目にあまる

冒頭で触れたワイオミング州の兵士14人のように、核兵器管理にからんで薬物使用が表面化したケースは少なくない。2015年には、同じ空軍基地で、“ミシリアー”がエクスタシーなどの違法薬物を使用していたとして起訴され、除隊処分になっている。エクスタシーは興奮作用や幻覚作用をもたらすドラッグだ。

また2014年にも同じ部隊から、ミサイル担当官2人の薬物使用が発覚している。米NBCニュースは当時、このニュースを「核兵器の引き金に手をかけている2人の将校が違法薬物所持容疑で任務を解かれた」とセンセーショナルに報じている。

違法薬物以外でも、深刻な不祥事は後を絶たない。例えば、2013年には、ノースダコタ州とモンタナ州にある2カ所の空軍基地で、兵士の不手際によって核兵器の発射施設のドアが開けたままにされていた事故が明らかになった。また2014年には、核兵器搭載の大陸間弾道ミサイル「Minuteman III」の格納庫内で、メンテナンスを行っていた兵士3人がミサイルを破損させたことも判明している。

同年、核兵器を操作する“ミシリアー”たちが受けなければならない熟達度テストでも、大規模な不正が行われていた発覚している。内部調査の結果、数十人が組織的な不正に関与していたことが判明し、上位の兵士9人と中佐が除隊することになった。

海軍でも、原子力技術などを学ぶ海軍学校の将校たちが試験で不正行為をして、34人が除隊処分になっている。また核兵器を監督する部隊のナンバー2という地位にいる兵士が、部下を不適切に扱ったり、基地内のショップで暴れたりしてクビになった事例もある。

さらに驚くのは、核兵器を直接監督する軍高官らが、唖然とするような不祥事を起こしていることだ。アメリカ戦略軍(USSTRATCOM)の副司令官だったティモシー・ジャルディーナ海軍中佐は、2013年にアイオワ州のカジノで偽のチップを製造して使用したとして海軍を除隊になった。

そしてその数日後には、アメリカの核弾頭搭載の大陸間弾道ミサイルすべてに責任を持つ司令官のマイケル・キャリー空軍少将が、出張先のロシアで若い外国人女性と羽目を外した上で泥酔し、バーで機密情報を大声で漏らしていたことが判明。結局は降格処分になっている。

■核管理費増額を決めたはいいが…

規律や自制心のない、軍人らしからぬ行為には驚かされるばかりだ。自分の感情をコントロールできない兵士たちが、核兵器を直接扱う任務に従事していたとは、空恐ろしい話である。

相次ぐミサイル担当官たちの不祥事を米国防総省はどう考えているのか。2014年11月、チャック・ヘーゲル国防長官(当時)は、ミサイル担当官たちを前にスピーチし、「あなたたちは世界にとって重大な役割にある」と述べ、「絶対にエラーが許されない職業を選んだのだ」と自覚を促している。

その上で、国防総省は核戦力の深刻な問題を改善するために、現在の核管理予算である年間150億ドルを増額することを決め、2014年に5年間で100億ドルの追加予算を発表している。

アメリカで行われた核サミットは、任期終了が近いオバマにとって、最後の大きな核関連行事となるだろう(5月の訪日で広島へ訪問する可能性も取り沙汰されており、それが実現すればサミット以上の成果となる)。ぜひとも、核物質がテロリストに渡らなくする対策だけでなく、アメリカ国内で続く核兵器にかかわる米兵の問題にも真剣に取り組む道筋をつけてから、次期大統領に「フットボール」をパスしてほしいと願うばかりだ。

 

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