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シリア政府軍がパルミラを奪還、ダーイッシュの敗北は決定的な状況だが、それに動揺する米国務省
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201603270001/
2016.03.28 03:00:56 櫻井ジャーナル
パルミラはシリアの古代都市であると同時に戦略的な要衝でもある。そのパルミラをシリア政府軍がロシア軍による空爆の支援を受けながらダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)から奪還したと伝えられている。シリアの象徴を奪い返したというだけでなく、戦略的に見てもダーイッシュの敗北は最終段階に入ったと見られている。
その攻防戦が行われていた頃、アメリカ国務省の記者会見でパルミラ奪還が質問され、広報担当者は口ごもってしまい、話題になっている。
https://www.youtube.com/watch?v=55aOsaKU1SY
本ブログでは何度も書いてきたように、アル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュは西側諸国、ペルシャ湾岸諸国、イスラエルが手先として利用してきた傭兵部隊。つまり、ダーイッシュの敗北はアメリカ支配層、少なくともネオコン/シオニストなど好戦派にとって大きな痛手だ。
ズビグネフ・ブレジンスキーやネオコンなどロシア制圧を目指している勢力はロシアとEUを分断することに力を入れている。その関係を決定する大きな要因が石油で、ウクライナの合法政権をクーデターで倒した理由のひとつはそこにある。ウクライナを経由するパイプラインをアメリカ支配層がコントロールしようとしたわけだ。ポーランドもアメリカの属国で、ロシアは期待できない。
黒海を横断、ブルガリア、セルビア、ハンガリー、スロベニアを経由してイタリアへ至る「サウス・ストリーム」というパイプラインをロシアは建設しようと計画したが、アメリカの圧力でブルガリアが建設の許可を出さず、ロシアは見切りをつけてトルコを経由しようとした。そのトルコとロシアは現在、関係が悪化していて、この計画も実現が難しそうだ。そうしたこともあり、ロシアは中国との関係を強めた。これはアメリカ支配層の誤算だった。
それに対し、アメリカの支配下にあるカタールはサウジアラビアとヨルダンを経由し、トルコからEUへ運ぶパイプラインを計画した。これが実現すればEUに対するロシアの影響力を弱めることができるのだが、その計画をシリア政府は拒否する。イランからイラク、シリアを経由してEUへというパイプラインの建設をシリアは進めていて、ライバルの計画を認めなかったということだ。カタールの計画はアメリカが支援、イランの計画はロシアが支援している。アメリカやペルシャ湾岸産油国がシリアの体制転覆に執着している一因はここにある。
イスラエルがシリアの体制転覆を目指す理由のひとうもエネルギー資源にある。ゴラン高原の石油/天然ガスを支配しようと目論んでいるほか、地中海東岸に膨大な天然ガスが眠っていると言われ、それを支配しようとしている。そのためにはパレスチナのガザ地区やシリアは邪魔だ。
現在、EUの「エリート」はアメリカ支配層のコントロール下にあるが、完全な属国にしてしまえばロシアと手を組むことを阻止できる。そのひとつの手段がかつてイタリアで実行された「緊張戦略」、つまり「テロ攻撃」を演出、治安対策という名目でアメリカが支配する体制を築くということだ。
TTIP(環大西洋貿易投資協定)もアメリカ巨大資本がEUを支配するための仕組みである。TPP(環太平洋連携協定)も同じことが言え、この2協定にTiSA(新サービス貿易協定)を加えてヨーロッパと東アジアを支配しようとしている。
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