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サウジ財政逼迫、停戦探る イエメン介入1年 来月、和平協議へ
【ドバイ=久門武史】サウジアラビアが隣国イエメンへの軍事介入を始めてから26日で1年になった。イスラム教シーア派武装組織「フーシ」を撃退する作戦は手詰まり感が漂い、原油安に苦しむサウジの財政を圧迫。民間人の犠牲も膨らんでいる。国連は4月に一時停戦と和平協議を目指すが、過去1年の停戦の試みはいずれも頓挫しており、難航は必至だ。
「(サウジは)戦闘停止について我々を支持している」。イエメン問題を担当する国連のアフメド特使は23日、ハディ暫定政権とフーシが4月10日からの一時停戦で合意したと発表し、サウジも協力の意向だと強調した。同18日からクウェートで和平協議を始める。
サウジとフーシは水面下で停戦合意に向けた道筋を探っていた。ロイター通信によると3月初旬、双方がひそかに直接交渉に臨んだ。9日、サウジはフーシとの捕虜交換を発表した。「大規模な戦闘は終わりに近い」。サウジのアシリ国防相顧問は16日、作戦が次の段階に移るとの見通しをAFP通信に示していた。
サウジは2015年3月、ハディ暫定大統領を支えるため、イスラム教スンニ派諸国とともにイエメン空爆に踏み切った。フーシを押し返し、政権側は7月に南部アデンを奪還したが、第3の都市タイズで激しい戦闘に陥っている。首都サヌアはいまだにフーシが支配したままだ。
国連によると軍事介入以降、6千人以上が死亡し、このうち半数は民間人だ。240万人が避難を余儀なくされ、人口の8割超の2120万人が人道援助を必要としている。サウジの空爆が民間人を巻き込んでいるとして、欧州ではサウジへの武器輸出に反感が広がる。国際社会の視線は厳しさを増す一方だ。
軍事介入はサウジの財政に重くのしかかる。16年予算では歳出の4分の1を軍事・治安に充て、10兆円規模の財政赤字を見込む。歳入の柱である原油価格は14年の高値の3分の1に低迷。赤字を補うため、国債の増発や新税も検討している。軍事介入の泥沼化は確実にサウジの力をむしばむ。
サウジでイエメン介入を主導しているとされるのが、サルマン国王の息子で国防相のムハンマド副皇太子。経済政策の司令塔も兼ね、急速に権限を集めた。「名目なしに介入をやめるのは難しい」(外交筋)との見方もあるが、財政事情を最もよく知る立場にある。
今回、一時停戦の合意に至ったが、和平協議は15年にも開かれ、不発に終わった経緯がある。サウジは対立するシーア派の大国イランがフーシを支援していると疑う。英リアリズム研究地政学・安全保障センターのソハイル・マフムード氏は「サウジはフーシが力を握るのを認めず、再び介入するだろう」とみる。
一時的に停戦が成立したとしても、分裂状態のイエメンを束ねる体制づくりは難しい。力の空白に乗じて勢いづくのがイスラム過激派だ。国際テロ組織アルカイダ系の「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」に加え、「イスラム国」(IS)も台頭した。「テロの温床」は停戦を脅かし、国際社会への直接の脅威にもなる。
[日経新聞3月27日朝刊P.7]
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