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地下鉄の爆発後に搬送される負傷者(C)AP
ベルギーテロが物語る 警戒レベル最高でも脅威は防げない
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/177853/1
2016年3月23日 日刊ゲンダイ
現地時間の22日午前、ベルギー・ブリュッセルの空港と地下鉄駅で起きた連続テロ。ベルギー公共放送によると、空港で14人、地下鉄で20人の計34人が死亡した。重傷者を含め230人以上が負傷している。
ベルギー検察は、空港での爆発について「自爆テロ」との見方を示し、出発ロビーの監視カメラで撮影された映像に男の容疑者3人が写っており、2人が自爆したとみられるとしている。警察はもう1人の行方を追い、写真を公開して情報提供を求めている。
この連続テロについて、イスラム国(IS)を名乗る組織がインターネット上に犯行を認める声明を出した。
テロ発生を受け、ベルギー政府は、すぐに警戒レベルを最高の4に引き上げた。昨年11月13日にフランス・パリでテロが起きた後、ブリュッセルのテロ警戒レベルは直近まで3に引き下げられてはいたが、警戒態勢は解いていなかった。それでもテロを防ぐことはできなかった。軍事ジャーナリストの神浦元彰氏はこう言う。
「パリのテロでターゲットになったのは、スタジアムやコンサート会場など比較的警備が手薄な場所でした。今回のテロも、空港出発ロビーのカウンターと地下鉄駅。空港は搭乗者以外には警備が手薄です。こういった『ソフトターゲット』に的を絞られると、警戒レベルを引き上げてもテロを防ぐのは困難。各所に大量の警備員を配置するのは現実的ではないし、観客や乗客の荷物チェックを完璧にこなすのは、まず無理でしょう」
ブリュッセルでは、パリでのテロ実行犯のひとり、サラ・アブデスラム容疑者(26)が18日に逮捕されたばかり。今回のテロとの関連はあるのか。
「今回の実行犯がサラ容疑者の自白を恐れ、自分たちに捜査の手が及ぶ前にテロに及んだ可能性が高い。『ローンウルフ』といわれる単独犯ではなく、組織的に計画されたものとみられます。ベルギーには差別を受けたイスラム系難民が多数流入しており、反欧州的な風潮が根強い。それだけに、過激派組織が潜伏したり、武器のやりとりをしても表面化しづらい環境にあるのです」(神浦元彰氏=前出)
英国のキャメロン首相も22日、ロンドンのヒースロー空港とガトウィック空港の警備態勢を強化したと発表したが、果たしてテロを防ぐことができるのか。ブリュッセルはEU本部のある欧州の中枢。「狙われたのは欧州全体だ」と仏オランド大統領は言った。
ISは声明で「十字軍(有志国連合)の国々には暗黒の日々(が来ること)を約束する」とさらなる攻撃を示唆した。次の標的はどこになるのか。ロンドンはもちろんのこと、欧州全域が危機にさらされているだけでなく、有志国連合に参加している日本も無関係ではない。
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