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安倍政権は強い。12月5日、安倍総理の総理大臣在職日数が、歴代史上6位となった Photo:首相官邸
安倍首相が「一民間人」橋本徹氏と会談した理由
http://diamond.jp/articles/-/112729
2016年12月27日 黒瀬徹一 ダイヤモンド・オンライン
クリスマス・イブの12月24日、安倍晋三総理は橋下徹元大阪市長・大阪府知事と面会した。日本維新の会の法律政策顧問を務めてはいるとはいえ、現在は一民間人でしかない人物に対して、総理大臣と官房長官が一緒に昼食をとろうとするのは相当に異例なことだ。この会談が意味するものは何なのか。そして、年明けにも解散が噂される中、交錯する思惑とは。(ジャーナリスト 黒瀬徹一)
■一介の民間人である橋下徹氏に
総理大臣と官房長官が会いたがる不思議
「ご協力をぜひお願いしたい」――。
12月24日−クリスマス・イブ−の昼、安倍総理は橋下徹氏と松井一郎大阪府知事に対し、IR推進法(カジノ法)に関する今後の実施法案づくりなどに対してそう言った。
橋下徹氏といえば、昨年末まで大阪市長を務めた「元」政治家だ。今は、日本維新の会の法律政策顧問を務めてはいるものの、一民間人にすぎない。毎週月曜日23時13分からテレビ朝日にて「橋下×鳥羽の番組」の看板番組も持ち、タレント活動も再開している。そんな一民間人に総理大臣と官房長官がそろって時間を作るというのは、相当に異例な事態だ。
会談には日本維新の会代表である松井一郎大阪府知事も同席したが、松井府知事も国会議員ではない。国会議員でもない二人と国政課題について会談を行うというのは、なんとも不思議な光景だ。
それにしても、なぜ「維新」は大阪では自民党と骨肉の争いを繰り広げながら、国政では与党に近づくのか。
そして、果たして安倍総理が橋下徹氏に会う狙いとは何なのか。どう考えても大阪はともかく、国政においては橋下徹氏のいない「維新」に勢いはない。ましてや、安倍政権は向かうところ敵なしの安定した政権基盤を固めているように見え、自民党は衆参両院で安定多数を確保している。にもかかわらず、国政政党では少数野党に過ぎない日本維新の会をこうも気にするのはなぜか。
そして、今回の会談が今後の政局に与える影響とは何なのか。考察してみたい。
■「維新」が自民にすり寄るのは当たり前
政治は現実を動かしてこそ意味がある
まず、「維新は与党寄り」と批判する声があるが、それは批判になっていない、と言いたい。
安倍政権は強い。12月5日、安倍総理の総理大臣在職日数が、歴代史上6位となった。1位は日露戦争を率いた明治の英雄桂太郎元総理(2886日)。2位はノーベル平和賞を受賞した佐藤榮作元総理(2798日)。3位は伊藤博文初代総理大臣(2720日)。日本国憲法にも署名した吉田茂元総理(2616日)に小泉純一郎元総理(1980日)が続き、その後ろを安倍総理が追う。来年半ばには、安倍総理は自身の師でもある小泉元総理を抜き、史上5位になる可能性が高い。つい最近まで「日本の総理大臣はコロコロ変わる」などと世界で陰口をたたかれていたのがウソのようだ。
今の安倍政権はそれだけ盤石なのである。安倍政権に批判的な人からすれば遺憾かもしれないが、数回の国政選挙による結果であることは認めざるを得ない。
この現実を踏まえ、現実の政治に少しでも影響を与えようと思えば、与党に対してバーターを仕掛け、一つでも二つでも政策実現につなげるしかない。野党として言いたい放題叫んだところで、国政に影響を与えることはできない。
正直、国政においては、日本維新の会はもう「オワコン」に見える。衆院・参院ともに影響力を行使できるほどの議席数は保有しておらず、橋下徹氏のいなくなった維新にはもう将来性も見込めない。関西においても、正直、大阪以外の地域では勢いは衰退してきていることは夏の参院選の結果からも明らかだ。
この状況を踏まえれば、維新が与党寄りになるのは当然とも言える。維新からすれば、カジノや万博を大阪に誘致するという「利」をとるためならば、国政においては自民党と仲良くすることは一つの政局の動かし方としては合理的なのだ。
そして、通常の法律や予算を議決するためには維新の手など借りなくても問題ない与党だが、「憲法改正」という野望を実現するためには、維新の協力が不可欠なのである。なおかつ、大阪においてはいまだ根強い支持率を誇る「維新」と、特定政党の関係者でありながらキー局で看板番組まで持つ橋下徹氏の影響力は、押えておかざるを得ないのだろう。
■蓮舫代表率いる民進党も勢いはないが
「民共合作」はある程度有効な選挙戦略
以前の記事「補選で自民が勝っても『年始解散』の可能性が高い理由」でも論じたが、民進党の蓮舫新体制にもさほど勢いはない。だが、共産党との選挙協力が侮れないことは、夏の参院選の選挙でも明らかであり、選挙区によっては与党に対して脅威を与える選挙戦略である。
これに対し、「政策理念が同じでないのに選挙のために協力するのはおかしい」と批判する人がいるが、これは政党政治を理解していない発言である。もしこの批判が真であるならば、目指す社会像というものは政治家の数だけあるのであって、政党というもの自体を否定しなければならないと思う。自民党だって蓋を開けば様々な考えを持った政治家の集まりだし、派閥の壁もある。与党の場合、政権運営に関わりたいがゆえに一致団結しやすいが、野党の場合は求心力がないため、バラバラになりやすいだけだ。
前述したとおり、今の政権が盤石である以上、何か政策を実現しようとするならば、自民党に影響力を行使できてこそ意味がある。そのためには、共産党と候補者調整をしてでも、選挙で自民党候補に脅威を与えなければ意味がない。
そして、安倍総理が国政においては少数政党でしかない「維新」と近しい関係でありたいのは、とにかくにも野党が連立するのを防ぐためと言える。野党がバラバラである限り、今の政権基盤は盤石であり続けるに違いない。
■台風の目は「小池新党」
その前途は多難
今、政局を語る上で最も注目を集めているのが小池百合子東京都知事だろう。
小池都知事は、10日に品川で開催された自身の政治塾「希望の塾」で、来年7月に予定される東京都議会議員選挙に候補者を擁立する意向に言及した。そして、「希望の塾」の塾生の中から意欲のある方を募集すると表明した。
これに対し、「維新」は小池氏と連携するどころか、独自候補の擁立を発表するなど、戦いを挑んでいるように見える。正直、4年前の東京都議会議員選挙においても日本維新の会は惨敗しており、「維新」が東京で支持を受けることは絶望的だろう。にもかかわらず、再び東京都への進出を画策するのは、小池新党に牽制をかけることで、自らの存在感を強化しようという戦略ではないか。
「維新」の支持層は小池新党の支持層と一定数重なっていると見られており、連携が実現しないことは、結果として自民党を利することにつながっている。
しかも、オリンピック問題にせよ、豊洲移転問題にせよ、問題点を浮き彫りにしたという点においては評価されるべきだとしても、結局、解決策が見当たらないまま、結論に変化が生じないのであれば、小池都知事の求心力も長くは続かないかもしれない。
年が明けた後、「希望の塾」から試験や面接を経て候補者の選抜を開始するとのことだが、正直、7月の都議選に向けてのペースだとしても遅すぎると感じる。「希望の塾」には新たに約900人が加わり、塾生の規模は4000人近くに膨れ上がったとのことだが、その中には他党に党籍を残したままの者もおり、逆に選挙に小池都知事が「利用される」事態を招きはしないか。
このように、安倍政権が「維新」を手なづけておくことは、実は小池新党に対する牽制球としての利用価値もある。
これまで、安倍政権にとって、憲法改正の野望の実現、野党共闘に対する防衛、特に小池新党に対する牽制球といった意味で橋下徹氏に近づくことは極めて大切だということを解説した。一方で、一民間人となった橋下徹氏からすればどうでもいいことなのかもしれないが、「維新」の今後の展望はあまり見えない。
誰一人「強い与党」に太刀打ちする術がないまま、安倍総理の在職日数は日々更新され、2016年は過ぎ去っていく。
来年こそは、与党と野党が切磋琢磨する政党政治が実現されてほしいと願う。
よいお年を。
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