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TPP浮遊霊が憑依せぬよう除霊で成仏させるー(植草一秀氏)
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23rd Dec 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
安倍政権が成長戦略の柱と位置付けたTPPは完全に漂流している。
冷静に観察すると、安倍政権の外交戦略はほぼ全面的に破綻していることが分かる。
対米関係で安倍首相は踏み外してはならない一線を越えた。
米国大統領選の最終局面で民主党のクリントン支持を鮮明に打ち出したことだ。
9月19日にNYでクリントン候補とだけ会談した。
クリントン当選を予測してクリントン支持の旗幟を鮮明にしたのだ。
ところが、大統領選で勝利したのはトランプ氏だった。
安倍首相が11月にニューヨークのトランプ私邸詣でを挙行したことは、
安倍首相の狼狽ぶりを鮮明に示している。
このトランプ私邸詣でから、三つの重要な事態が表面化した。
第一は、11月21日、トランプ時期大統領が、
大統領就任初日にTPPからの離脱を宣言することを改めて明言したこと。
この発言は安倍首相が
「米国抜きのTPPは意味がない」
と発言した直後に、ビデオメッセージの形態で発信された。
第二は、安倍首相が完全に漂流するTPP批准案および関連法案を臨時国会で強行採決したこと。
第三は、安倍政権が臨時国会で突然、カジノ法の拙速制定に突き進んだことだ。
これらはすべてが密接に絡み合っていると見られる。
トランプ氏のTPP離脱再表明は、クリントン支持を鮮明にした安倍首相に対する意趣返しの側面が強い。
安倍首相は日本の行政トップとして、重大なリスク管理上の失敗を犯した。
取る必要のないリスクを取って、大きな代償を支払わされる。
安倍首相が臨時国会でのTPP批准案および関連法案の強行制定に突き進んだのは、トランプ氏に対して
「恭順の意を示す」
「臣下の礼を取る」
ためであったと見られる。
トランプ氏が意欲を示す米日FTA・EPAにおいて、日本全面譲歩のスタンスを明示したかったのだと思われる。
安倍氏のトランプ私邸詣で後に急進展したのがカジノ法の強行制定である。
これもトランプ氏に対する
献上品
である可能性が高い。
安倍政権が成長戦略の柱と位置付けたTPPは空中漂流し、
安倍政権は大統領選での浅はかな結果決めつけの代償として、国益を米国に売り渡す失態を演じている。
対ロシア外交では、安倍首相が満を持して実現にこぎつけた12月15、16日の日ロ首脳会談で、
何らの成果を挙げることができなかった。
プーチン氏が2時間半遅れで訪日したのは、昨年の安倍首相遅刻の「返礼」であった可能性が高い。
日ロ共同経済行動に投入される資金が財政資金になるなら、
日本国民は見返りなく負担を強いられるということになりかねない。
韓国では朴槿恵大統領が失脚し、従軍慰安婦問題が空中漂流する可能性が高まっている。
年内に日本で開催する予定だった
日中韓3ヵ国首脳会談は実施できないことになった。
ロシアは米国とも中国とも良好な関係を構築し、日本との距離を縮める必要性を失った。
安倍首相は中国包囲網を構築するとしてきたが、現実には日本包囲網が形成されてしまっている。
TPPが漂流することになったことは日本国民にとっての僥倖だが、
安倍政権のなりふり構わぬ売国政策スタンスを踏まえると油断することは許されない。
トランプ氏はTPPに否定的だが米日FTAには前向きであるとの情報もある。
米日FTAで安倍政権がさらに売国姿勢を強めれば、その累は日本の主権者に降りかかってくる。
TPP批准を阻止するため展開してきた
「TPPを批准させない!全国共同行動」
は
「TPPを発効させない!全国共同行動」
として活動を継続する方針である。
国民に重大な損失を与える安倍政権の売国政策に対する監視を強めなければならない。
昨日12月22日、衆議院第2議員会館において
「TPPを批准させない!全国共同行動」実行委員会の
総括会議が開催された。
TPP批准阻止を目指して展開されてきた運動であるが、
臨時国会でTPP批准案および関連法案が強行採決、可決成立したこと、
米国でトランプ氏が新大統領に選出され、
米国のTPP離脱可能性が確実視される現実を踏まえて、
これまでの活動を総括するとともに、今後の活動方針についての協議が行われた。
日本では安倍政権が暴走し、TPP批准案と関連法案が強行採決、可決、成立させられた。
誠に遺憾な対応であった。
しかし、米国でトランプ氏が大統領選に勝利して、TPPから離脱を宣言することが表明されている。
他力本願のそしりは免れないが、当面、TPPが発効しない状況が強まっていることは僥倖である。
しかし、TPPはまだ消滅していない。
成仏していないのである。
浮遊霊が空間をさまよう状態にある。
この浮遊霊を成仏させるように除霊が必要である。
安倍首相は浮遊霊になったTPPを臨時国会で批准するという暴挙に突き進んだ。
日本のこころの中山恭子議員は国会質疑で、
「米国抜きのTPPを発効させる方針を示せ」
と執拗に食い下がった。
TPP離脱方針を表明しているトランプ次期米大統領だが、
2018年2月までに米国がTPP批准に変節するとTPPが息を吹き返す可能性は残る。
また、TPPの合意内容を改ざんして、
米国抜きでTPPを発効させるという謀略が進行しないとも言い切れない。
TPP浮遊霊が浮遊している現状を踏まえ、
日本の主権者はTPPを完全成仏させるまで、息を抜かない対応を採る必要がある。
そこで、
「TPPを批准させない!全国共同行動」
を
「TPPを発効させない!全国共同行動」
に衣替えして、活動を継続する必要がある。
TPPの本質は、
強欲巨大資本=多国籍企業=ハゲタカ
の利益を優先するところにある。
このハゲタカの利益と各国国民の利益が相反する。
「ハゲタカファースト」
なのか、それとも
「国民ファースト」
なのか。
これが問題の本質である。
英国民がEU離脱を決定した。
米国民がクリントンではなくトランプを選出した。
その最大の背景は、
英国や米国の国民が
「ハゲタカファースト」
ではなく
「国民ファースト」
を求めたからである。
そして、いま、
日本では安倍政権が
「ハゲタカファースト」
の政策を推進している。
安倍政権はそれだけでなく、
オスプレイが墜落しても、これを「墜落」と言わずに「不時着」と言い、
墜落現場の検証も、事故原因の究明も、刑事責任の追及もせずに、
米国の命令にただ服従するのみで
オスプレイの飛行再開を容認する。
さらに、欠陥軍用機であるオスプレイの生産者を救済するために、この欠陥軍用機を17機も購入した。
予算規模は3600億円にも及ぶと見られている。
問題は、日本の主権者が、このような
売国政治
売国政権を
どう評価するのかである。
安倍政権の基本行動は、
ハゲタカの利益追求を第一とし、
米国、米軍の命令に絶対服従
というものであるが、この現実に多くの国民が気付いていない。
その理由は、マスメディアが虚偽の情報を流して、国民を洗脳していることにある。
米国でも大統領選ではメディアがトランプ総攻撃の報道を展開し続けた。
しかし、米国民はメディアが流す情報を鵜吞みにはしなかった。
メディア情報を「相対化」したのである。
日本の国民もマスメディア情報に対する感受性を高める必要がある。
メディア情報を「絶対視」せずに、「相対化」するのだ。
メディアはこう伝えているが、真実はどうなのだろうか。
と一歩引いて考えることが重要である。
日本国民にこのような能力が備わるとき、政治状況は一変することになる。
時代は大きく変化し始めている。
「反グローバリズムの旋風」
が吹き始めているのだ。
日本でも「反グローバリズムの旋風」を巻き起こし、
「ハゲタカファースト」
の政治を
「国民ファースト」
の政治に改めなければならない。
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