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2016年12月 3日
いくらなんでも乱暴すぎるだろう。カジノ法案の採決強行だ。カジノ法案は議員立法で、審議入りには与野党合意が基本原則。それを委員長が職権で審議入りを強行。そして、わずか6時間の審議で採決というんだから、議会制民主主義の崩壊というよりも国そのものが壊れている証みたいなものだ。
・ギャンブル依存症対策 後回し カジノ法案採決強行 衆院委で可決
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016120390065921.html
そもそも、カジノ法案はギャンブル解禁を意味するわけで、だったらこれまで賭け麻雀で逮捕されたタレントなんてのはいい面の皮ってことになる。でも、カジノが解禁されたら、そこで動く金は賭け麻雀の比ではなく、それこそ国家予算規模のものになることは確実なんだね。しかも、すべてのギャンプルは胴元が儲かる仕組みになっている。
「観光振興、観光立国の起爆剤にしたい」なんて能天気なこと口走る自民党議員もいるけど、カジノというのは客から巻き上げた金で運営されるもので、ようするに一般大衆労働者諸君の懐に手を突っ込むようものだろう。そこには生産性なんてものは爪のアカほどもありません。一攫千金といううたかたの夢を見て、スッテンテンになった素人ギャンブラーの死屍累々たる様がいまから目に浮かぶ。
医療大麻には目くじら立ててその依存性を喚きたてるくせに、ギャンブル依存症への寛容さも呆れるほどだ。なんてったってギャンブルは犯罪に結びついてますからね。たかがパチンコでさえ、依存症で苦しむ人は後を絶たないわけで、これがカジノになったらもっと凄いことになるんじゃなかろうか。
とにかく問題山積なの間違いないわけで、そんな法案をたった6時間の審議で採決しちゃうというその手法に、なんとも胡散臭さを感じてしまう。先日のエントリーにも書いたけど、トランプのバックについてるラスベガスの帝王からのオファーってのが、おそらくあったんだろう。ほとんどの新聞・TVは、TPP挫折したから新しい経済政策としてカジノ法案成立を急いでいるなんてことをアナウンスしてるけど、ここでもまた恣意的なミスリードしてるんじゃないのか。
カジノ法案については、ペテン総理の応援団でもある読売新聞の社説が珍しく真っ当なことを書いている。身内からも疑問視されてるんだから、いかにこの法案が多くの危険を孕んでいるかってことだ。もっとも、ペテン総理みたいな男が総理大臣に居座っていること自体が、この国にとってはとてつもないギャンブルではあるのだけれど・・・。
・読売新聞社説
カジノ法案審議 人の不幸を踏み台にするのか
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20161201-OYT1T50136.html
カジノの合法化は、多くの重大な副作用が指摘されている。十分な審議もせずに採決するのは、国会の責任放棄だ。
統合型リゾート(IR)の整備を推進する法案(カジノ解禁法案)が、衆院内閣委員会で審議入りした。
法案は議員提案で、カジノ、ホテル、商業施設などが一体となったIRを促進するものだ。政府に推進本部を設置し、1年をめどに実施法を制定するという。
自民党や日本維新の会が今国会で法案を成立させるため、2日の委員会採決を求めていることには驚かされる。審議入りからわずか2日であり、公明、民進両党は慎重な審議を主張している。
法案は2013年12月に提出され、14年11月の衆院解散で廃案になった。15年4月に再提出された後、審議されない状況が続いてきた。自民党などは、今国会を逃すと成立が大幅に遅れかねない、というが、あまりに乱暴である。
自民党は、観光や地域経済の振興といったカジノ解禁の効用を強調している。しかし、海外でも、カジノが一時的なブームに終わったり、周辺の商業が衰退したりするなど、地域振興策としては失敗した例が少なくない。
そもそもカジノは、賭博客の負け分が収益の柱となる。ギャンブルにはまった人や外国人観光客らの“散財”に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全である。
さらに問題なのは、自民党などがカジノの様々な「負の側面」に目をつぶり、その具体的な対策を政府に丸投げしていることだ。
公明党は国会審議で、様々な問題点を列挙した。ギャンブル依存症の増加や、マネーロンダリング(資金洗浄)の恐れ、暴力団の関与、地域の風俗環境・治安の悪化、青少年への悪影響などだ。
いずれも深刻な課題であり、多角的な検討が求められよう。
だが、法案は、日本人の入場制限などについて「必要な措置を講ずる」と記述しているだけだ。提案者の自民党議員も、依存症問題について「総合的に対策を講じるべきだ」と答弁するにとどめた。あまりに安易な対応である。
カジノは、競馬など公営ギャンブルより賭け金が高額になりがちとされる。客が借金を負って犯罪に走り、家族が崩壊するといった悲惨な例も生もう。こうした社会的コストは軽視できない。
与野党がカジノの弊害について正面から議論すれば、法案を慎重に審議せざるを得ないだろう。
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