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弱者は迷惑なのか 嫌な社会風潮と安倍内閣の支持率上昇
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/194917
2016年12月1日 日刊ゲンダイ 文字お越し
全てがペテン(C)日刊ゲンダイ
安倍政権が数の力をバックに、社会保障をメッタ切りしている。年金カット法案に続き、70歳以上の医療費の負担も増やす。現役並みの所得がある層だけでなく、住民税課税の年収370万円未満の年金生活者も対象だ。
いよいよ老人イジメ極まれりだが、見過ごせないのは安倍政権がこうした社会保障制度の“改悪”を、「将来世代のため」「世代間の公平性の確保」などとゴマカすことだ。
今国会での成立が確実な年金カット法についても、政府が「年金確保法」と豪語するのには、のけぞってしまう。支給額の伸びを毎年1%ずつ抑制する「マクロ経済スライド」は、現行では物価や賃金が上昇した時にしか発動されない。しかし法改正後は、デフレのため実施できなかった分を繰り越し、物価上昇時にまとめて減額することになる。つまり、支給額が大幅に引き下げられる「社会的弱者切り捨て法」に他ならないし、将来世代だって当然、年金支給額は減る。それなのに「将来の年金水準を確保するための法案だ」と居直る神経。これぞ、安倍流ゴマカシの典型なのだ。
もうひとつ、法改正では、物価が上がっていても、現役世代の賃金が下落した場合は年金も減額するという見直しも行われるが、賃金の下落をひとつの基準にしなければならないのは、なかなか賃金が上がらない現実があるからだ。
民進党の試算では、法改正で国民年金は年間4万円、厚生年金は14万円も減らされる。自らの無能が招いたゼロ成長とアベノミクスの失敗が、年金財源を減らしているのに、そのツケを国民に転嫁するというのである。
それなのに、国会で野党から批判されると、政府は「アベノミクスによって賃金が上がり続けるようにする」と強弁。今、達成できていない賃金上昇が、この先続くなんて、誰が信じるものか。国民をバカにするにもほどがある。
■「税と社会保障の一体改革」はどうなった
大体、年金は「100年安心」じゃなかったのか。「税と社会保障の一体改革」で、消費税の引き上げ分を社会保障の充実に使うはずじゃなかったのか。消費税が上がるのになぜ、年金が減らされるのか。医療費がカットされるのか。おかしいことだらけだ。
ジャーナリストの斎藤貴男氏がこう言う。
「社会保障政策も消費税も、安倍政権がやっていることは全部ウソ。でも彼らにしてみれば『物は言いよう』なのです。常識で考えれば改悪でしかない政策でも、『このまま消費税を上げなければ、年金制度は消滅しかねない。しかし、消費税を上げるからほそぼそとでも年金が支給できる』と説明する。彼らはこれを『改革』『充実』と言ったりするわけです。彼らから見れば、必ずしもウソを言ってるのではない。これが安倍政権の手口ですよ」
国民との約束は全てチャラ。それでも平然としていられるデタラメ。しかも年金資産を株価維持のために突っ込み、わずか15カ月で10兆円をパーにした。その一方で防衛費は過去最大の5兆円を突破。首相は外遊する先々で、気前よく金をバラまいている。
こんなメチャクチャな政権は、いまだかつてなかったのではないか。
弱者切り捨て(C)共同通信社
物言う強いリーダーが受ける歪んだ世相
それなのに、こんな希代の冷血政権の支持率がアップしているのだから信じ難い話だ。
共同通信が行った最新(11月26、27日)の世論調査で、安倍内閣の支持率は前月から7ポイントも上昇し、3年ぶりに60%を回復した。
これを受けて、自民党内は「年末年始の解散もあり」だと騒ぎ、浮ついた空気が流れる。共同以外の調査でも支持率は上昇傾向だったから、安倍はいい気なもんで、年金カット法案に反対する野党に対し、「こんな審議を何時間やったって同じ。それで民進党の支持率が上がるわけではない」と驚くべき暴言を放った。
狂乱政権の支持率がなぜ上がるのか。コラムニストの小田嶋隆氏はこう見る。
「年金法案など個別の政策には反対が多いし、アベノミクスも失敗した。普通なら安倍内閣の支持率は下がるはずです。それなのに上がる理由は、ひとつは民進党が信頼されず、代わりがいないから。そしてもうひとつは、政策ではなく『安倍首相』というキャラクターが支持されているからではないでしょうか。トランプ現象が代表例ですが、世界中でハッキリ物を言うリーダーが受けている。安倍さんが国会で民進党をディスる姿が、むしろたくましいと思われている。弱者を助け、人権を守るというような戦後民主主義のリベラル思想を切り捨て、『甘ったれるな』と弱者の尻を叩くのを、正直な人だと好感を持って捉える。そんな背景があるように感じています」
安倍首相に遠慮して、真実を報じない大マスコミの腐敗堕落も罪だ。年金減額は国民生活にとって重大なのに、新聞は政府に促されるまま「改革」と報じ、テレビは「五輪会場の見直し」や「韓国の政変」に時間を割く。それで、安倍の勇ましさと野党のふがいなさがより強調されることになり、結果、ますます国民は、物言う“強いリーダー”に盲目的に隷従し、思考停止状態に陥るのである。
■弱者は迷惑な存在として疎まれる
その安倍自民党は自助・自立を国民に求め、自己責任で営まれる社会を標榜しているから、気付けば、老人など弱者は邪魔な存在として疎まれていく。
12月1日の日刊ゲンダイ「注目の人直撃インタビュー」に登場した作家の平野啓一郎氏の危惧は、胸に突き刺さる。
「新自由主義の小泉政権では弱者は見捨てられたわけですが、今は見捨てられるだけでなく、批判される。社会保障という面で『迷惑をかけている存在』だと糾弾の対象になってきている。これは非常に危ない風潮だと思います」
老人は、弱者は、生きていることが悪――。そんなムードが日本社会に蔓延している。前出の斎藤貴男氏もこう言う。
「年寄りと現役世代をあえて対立させる。分断統治も安倍政権の手口です。『年寄りが長生きをするから、若い人の負担が重くなる』『老人は早く死ね』。そんな社会になってきています。自営業者は確定申告だけど、サラリーマンからは源泉徴収するなど、権力は元来、分断統治をするものではありますが、そうした分断や差別を“武器”にした、陰湿で最低の政治を行っているのが安倍政権です」
現在の自民党を前出の平野啓一郎氏は「暗い国家主義」と言ったが、今や「国に迷惑をかけないように生きなければいけない」という強権的な締め付けによって、誰もが諦めの境地だ。老人だけでなく、非正規やアルバイトの若者たちも、賃金や年収が上がらないなら、その範囲で生活していくしかないと考え始めているという。
本来、社会的弱者を救済するのが国家のはずだ。今の日本社会は、どう考えてもおかしな方向へ進んでいる。
「このままでは、弱者のためのセーフティーネットがなくなってしまいかねない。そうなれば、結果的に社会から活力や生産性が失われる。年を取ったり病気など不幸なことで、誰もが弱者になる可能性があるのに、セーフティーネットがなければ二度と這い上がれません。これ以上、格差拡大や社会的分断が加速すれば、取り返しのつかないことになってしまいます」(小田嶋隆氏=前出)
グロテスクで生きづらい国になっていいのか、それを助長する政権がこのまま続いていいのか─―。国民一人一人が今こそ、真剣に考える時である。
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