http://www.asyura2.com/16/senkyo216/msg/406.html
Tweet |
韓国のソウル大学で講演の聴衆に手を振る中国の習近平国家主席(資料写真、2014年7月4日撮影)。(c)AFP/Ed Jones〔AFPBB News〕
日本共産党が“何を今さら”の中国批判 今、共産党に必要なのは存在意義そのものの見直し
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48446
2016.11.22 筆坂 秀世 JBpress
日本共産党は、2017年1月に第27回党大会の開催を予定している。そのための大会決議案もすでに公表されている。この決議案にいくつかの注目すべきことが書かれているが、その1つが中国への厳しい批判がなされていることである。
■中国の大国主義、覇権主義を批判
その批判は、要約すると次の4点である。
第1は、核兵器問題で、中国に深刻な変質が起こっている。
中国は、もともと核兵器禁止の国際条約を求めてきていたのが、この数年、それが変化している。特に、2015年〜2016年の国連総会で、核兵器禁止条約の国際交渉を現実の日程に乗せようという動きに対して、中国がこれに反対する態度をとり、核兵器に固執する立場に変質したとして、次のように批判している。「少なくとも核兵器問題については、中国はもはや平和・進歩勢力の側にあるとはいえ」ない。
第2は、東シナ海と南シナ海での力による現状変更を目指す動きへの批判である。
日本の領土である尖閣諸島の領海への中国公船の侵入が激増し、それが常態化していることについて、「他国が実効支配している地域に対して、力によって現状変更をせまることは、国連憲章および友好関係原則宣言などが定めた紛争の平和的解決の諸原則に反する」と批判。
南シナ海についても、南沙諸島での大規模な人工島の造成など、力による現状変更を批判するとともに、仲裁裁判所の裁定が、南シナ海水域に対する中国の独自の権利主張は「根拠がない」と退けたのに対し、中国が「無効で何の拘束力もない」という態度をとっていることを、国際法を踏みにじるものとしている。
第3に、2016年9月にマレーシアで行われたアジア政党国際会議(ICAPP)総会の「クアラルンプール宣言」の採択にいたる過程で、宣言起草委員会が全員一致で決めたものを中国代表団が強硬に修正させるという対応をとったことに対して、「覇権主義的なふるまいそのものである」と批判している。
第4に、ICAPP総会での中国共産党代表団の振る舞いは、1998年6月、日中両共産党の関係正常化(※)の際に合意された「双方は、日本側が主張する自主独立、対等平等、内部問題の相互不干渉および中国側が主張する独立自主、完全平等、相互尊重、内部問題相互不干渉の基礎のうえに、両党間の友好交流を展開する」という規定に反するというものである。
(※)日本共産党と中国共産党は、1966年の毛沢東による「文化大革命」と相まって中国共産党から日本共産党への干渉攻撃がなされた。中国は日本共産党を「日中両国人民の敵」とまで攻撃していた。以来、1998年の関係正常化まで32年間、関係が断絶していた。
■「何をいまさら」の批判ばかり
日本共産党からすれば、これまで友好関係にあった中国共産党を批判するわけだから、それなりに画期的なことと言ってよい。だが、国民の側からすれば、何を今さら、というのが正直な感想だろう。
志位和夫委員長などは、つい最近まで北朝鮮の核実験やミサイル発射、中国の東シナ海、南シナ海での国際法違反の横暴を「リアルな脅威ではない」と気楽なことを言っていたのである。
そもそも国内で一党独裁政治を60有余年も続け、中国国民の思想・信条の自由や言論の自由、結社の自由など、民主的権利をことごとく奪ってきたのが中国共産党である。国内でおよそ民主主義と無縁の行動をとってきた政党が、対外的にも横暴な振る舞いをすること理の当然である。それは北方領土を強奪した旧ソ連を見ても明らかであろう。旧ソ連は、まさに大国主義、覇権主義の国だった。中国の行動は、それを再現しているだけである。
核兵器についても、自ら開発し、保有してきた中国がそれに固執するのは、当然のことである。ここに淡い期待を持つ方がどうかしている。
批判の中に「少なくとも核兵器問題については、中国はもはや平和・進歩勢力の側にあるとはいえ」ないという指摘がある。では聞きたい。いったいどの分野で中国は「平和・進歩勢力の側にある」のか。中国の軍事費は増大し続けている。このことへの批判はなされていないということは、この面では「平和・進歩勢力」なのか。新疆ウイグル自治区やチベット自治区への弾圧は、「平和・進歩勢力」と言えるのか。
どの分野をとっても、中国を「平和・進歩勢力」と呼べないことは明瞭である。
■中国共産党にすっかり騙された「科学の目」
日本共産党は「中国共産党が変質した」というが、それは間違いである。中国共産党と関係正常化した時から、私などは危惧していた。関係正常化交渉は、不破哲三氏が前のめりになって進めたものである。
ありていに言えば、中国からおだてられた不破氏は、この間、中国を褒めちぎってきた。2005年11月に日中両党の理論会議というのが行われた。その報告が党本部で不破氏からあり、全国の党組織にCS放送された。
この中で不破氏は、まず中国側から9つの質問がなされたことを明らかにし、「日本共産党の見解を聞きたい、というのが、今回の理論交流の内容となった」と語った。さらっと言っているようだが、ものすごい自慢をしているのだ。“中国共産党が教えを乞いに来た”ということである。理論交流というが、実質は不破氏が喋るだけである。中国側は、20代2人、30代3人、40代2人の合計7人だったそうである。中国共産党の幹部など、誰も入っていない。
要するに、日本共産党や不破氏へのおもてなしに過ぎないのである。おもてなしをされれば、相手を褒めるしかない。
さらに不破氏はこう続ける。
「中国共産党は、中国の現状を社会主義の『初級段階』だと規定していますが、その『初級段階』の長さはほぼ100年かかるとしています。それぐらい、長期の単位でものごとを測っている党ですから、理論問題でも、たいへん長期的な視野で中国の社会主義的前途を考え、それだけの時間的なスケールで、それだけの時間的なスケールで、社会主義の国づくりの路線の全面的な再構築を目指している」
100年間も「初級」が続くというのでは、展望などとは呼べない。「先のことは分かりません。もう生きていませんから」というのと同じではないか。もっと皮肉を言えば、中国共産党が存在しているかどうかさえ怪しいものだ。
不破氏のありがたい話を聞いた若者に対しても、「問題を理論と実践で追求する真剣さ、中国と世界の変化する現実に対する鋭い感受性、それを理論的にとらえようとする発展性」を感じたというのだ。
関係正常化の事に関しても、「中国の党指導部は、公明正大な態度を見事に示しました」と絶賛している。挙げればきりがない。不破氏得意の「科学の目」もすっかり騙されてしまったようだ。
■揺らいでいる共産党の存在意義
この間、日本共産党は、中国、ベトナム、キューバを「社会主義を目指している国」と規定してきた。そして、北朝鮮はそうではないとしてきた。
一党独裁を続けている各国の共産党からすれば、日本共産党から「社会主義を目指している国」と評価されるのは、ありがたいことである。いわばその正当性を保証しているようなものだからだ。北朝鮮を含めないのは、現体制を批判的に見ているということだろう。
しかし、中国やベトナムで現実に進んでいることは、単なる市場経済化ではなく、資本主義への道である。マルクス主義、科学的社会主義の「資本主義から社会主義への移行は必然」という大命題とまったく逆の動きが起こっているということだ。
ということは、この大命題を促進することを最大の存在意義としてきた共産党という組織のあり方そのものにも根本的な疑念が生じているということでもある。もはや周知の中国批判などではなく、この点をこそ突き詰めるのが共産党の現在の任務ではないのか。
(参考・関連記事)「平身低頭で党員に『赤旗』購読を呼びかける共産党」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48089
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK216掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。