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2016-11-12 哲学者=山崎行太郎のブログ『毒蛇山荘日記2』
自由貿易論と帝国主義論。 トランプの保護主義的な貿易論が批判されているように見える。国際的大企業を中心にした新自由主義やグローバリズムの見地に立てば、確かにその通りかもしれない。しかし、トランプの自由貿易主義批判に一理がないわけではない。自由貿易によって誰もが、そしてどこの国もが豊かになるというのは、まぼろしである。 ……
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自由貿易論と帝国主義論。
トランプの保護主義的な貿易論が批判されているように見える。国際的大企業を中心にした新自由主義やグローバリズムの見地に立てば、確かにその通りかもしれない。しかし、トランプの自由貿易主義批判に一理がないわけではない。自由貿易によって誰もが、そしてどこの国もが豊かになるというのは、まぼろしである。
自由貿易帝国主義とか、新帝国主義という言葉がある。トランプが主張する自由貿易主義批判も、自由貿易帝国主義への批判である。たとえば、自由貿易主義の進化によって、米国の国内の労働者は失業し、貧困化しているという現実がある。自由貿易主義の進化によって、「安い商品」と安い労働力」が、国内にあふれると、生産業の倒産や労働者の失業に帰結するのは当然だろう。
トランプは無知無学で、まともな政治政策や経済政策がない、という人達は、大企業中心の自由貿易主義的な思想に毒されているにすぎない。
そもそも自由貿易とは何か。自由貿易という概念は、19世紀、いち早く産業革命に成功したイギリスの経済学者・アダム・スミスの「自由貿易論」(『国富論』)が始まりであり、リカードの「比較優位論」という国際分業論がそれに続く。
産業革命に成功したイギリスは、大量の工業製品や商品を作り出すことに成功する。そこで、大量の工業製品などの消費地が必要になった。そこから、「自由貿易」という思想が生み出される。かくして、「世界の工場」としてのイギリスと、その生産品の消費地としての「世界市場」がもたらされるのである。
「自由貿易論」の登場は、同時に、イギリス以外の国における「保護主義的貿易論」をももたらした。遅れていた国内産業を保護するためである。しかし、フランスなど各国も、自由貿易主義の波には勝てなかった。それでもドイツ、アメリカなどは、保護貿易を維持しながら、国内産業の産業革命を成功させ、やがてイギリスをもしのぐ工業国家へと成長する。
そして先進工業国と後進工業国とが入り乱れて、世界市場(植民地)の争奪戦を演じることになる。植民地争奪戦は、やがて先進工業国同士の戦争につながる。これが「帝国主義」である。こういう状況を捉えて、「帝国主義戦争から革命へ」というレーニンの『帝国主義論』が登場する。自由貿易主義的な資本主義の行き着く先は、戦争か革命か、ということになる。
したがって、トランプの保護主義的貿易論が、間違っているわけではない。自由貿易、つまりグローバリズムの深化による国内の産業の空洞化と労働者の失業を前に、米国民が、保護主義を唱えるトランプを支持したとしても不思議ではない。
国内産業や国内の労働者を切り捨てて、焼け太りしていくのがグローバル企業、つまり国際大企業である。この大企業をバックに、つまり資金源にして、大統領を目指したのがヒラリーである。トランプは、自由貿易を主張する国際的大企業支配に反対する一般庶民、大衆の声に耳を傾け、いわゆる大衆のの心を掴んだのである。
つまり、トランプの勝利は、米国経済が弱体化し、もはや、米国中心の世界的規模の「自由貿易体制」を維持できなくなりつつあることを意味している。我々も、それを認識すべきである。
今こそ、米国依存の経済政策、米国依存の安保政策を、考え直す好機なのである。
(続く)
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