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トランプ大統領にスリ寄る 安倍政権の右往左往と無定見
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/193686
2016年11月11日 日刊ゲンダイ 文字お越し
トランプに「4番めの電話」で日本政府は大喜び(C)AP
「揺るぎない同盟」のお粗末な実態が露呈した。トランプ次期大統領という想定外の成り行きに日本政府は右往左往している。
岸田外相は10日の派閥会合で、「政府、外務省として、誰でも通る可能性はあるとの想定で、今年の早いうちから両陣営への接触をはじめ準備を続けてきた」と強弁。「だから早々に安倍首相とトランプ氏の電話会談を実現できた。全世界で4番目(の早さ)だ」と胸を張ってみせたが、よく言う。トランプ大統領の可能性なんて想定もしていなかったから、安倍首相が今年9月に訪米した際も、大統領選の最中にもかかわらず、クリントン氏とだけ会談、トランプはスルーしていたのだ。
「トランプ氏が勝つなんて考えてもみなかったので、『次期大統領はクリントン氏で間違いない』という情報を上げていたのは確かです。米国のメディアやシンクタンクも、みんなクリントン優位と分析していたのだから仕方ない。選挙戦終盤になってもトランプ氏の勢いが止まらないのを見た総理は、うちの幹部に『どうなってるんだ!』と怒鳴り散らしたそうですが、最後はクリントン氏が勝つと説明してきました」(外務省関係者)
日本外交の情報収集能力は、大戦末期に日ソ不可侵が破られることを予測できなかった時代から何も変わっていないのかもしれない。
■ポチ外交は電光石火の素早さ
トランプ勝利が見えてきた9日午後、安倍は慌てて外交担当の河井首相補佐官を官邸に呼び、すぐに訪米するよう指示。トランプの関係者と「徹底的に、徹底的に会ってきてほしい」と繰り返したというが、それくらいパイプがない。電話会談のセッティングも、ひと苦労だったという。前出の関係者が言う。
「トランプ陣営では誰が何を担当しているのかサッパリ分からない。トランプ氏の当選が確実になった瞬間から、駐米大使らが旧知の上院議員やトランプ氏の娘婿など片っ端からツテをたどって早期の電話会談を打診。
会談時間の候補もいくつも挙げて頼み込み、なんとか10日朝、トランプタワーの事務所で電話を受けてもらえることになったのです」
安倍は電話会談の冒頭から、「トランプ次期大統領の類いまれなリーダーシップにより、米国がより一層偉大な国になることを確信する」などとオベンチャラを並べ、「日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安定を下支えする不可欠な存在」と強調。その上で「近いうちに会いたい」と持ちかけて、17日にニューヨークで会談する日程を取り付けたという。電光石火のポチぶりには、「まるでご用聞き」と、元外交官の天木直人氏が呆れてこう言う。
「大統領選挙からわずか1週間という早さで次期大統領詣でとは、極めて異例です。トランプ氏に決まった途端、朝貢外交よろしく飛んでいく。今はまだオバマ政権なのに、露骨に次期大統領にスリ寄る日本政府の姿を見れば、オバマ大統領や民主党政権は面白くないでしょう。外交儀礼として、あまりに失礼です。強固な日米同盟と言うのなら、まずはオバマ大統領と会って、TPPをどうするかという話でもするのが先じゃないですか。日本のメディアも“どうやって関係を構築するか”ばかり報じていますが、戦略なき対米追従だけが外交ではないはずです」
まだ大統領なのに…(C)AP
手放しで褒め称え、すがりついているのは日本だけ
ペルーで19日から開かれるAPECに出席する前にニューヨークに寄り、トランプと会談する予定だが、そのAPECにはオバマ大統領も来る。どんな顔して会うつもりなのか。
「去りゆく大統領に義理立てしてもしょうがない、トランプ氏のご機嫌を取っておいた方が得策だと考えたのでしょう。9月の訪米時には無視しておいて、大統領就任が決まったら、もみ手でスリ寄るなんて、失笑ものの無定見ですが、いかにも安倍首相らしい。相手の懐に飛び込んで、取り込むつもりかもしれませんが、媚びへつらうしか能がないのでは、してやられるだけです」(政治学者・五十嵐仁氏)
当初は、このAPECに合わせてロシアのプーチン大統領と会談し、12月15日の「本番」前の下交渉を行うことが目玉のはずだったが、トランプ旋風ですっかりかすんでしまった。今やトランプとの関係構築が日本政府の最優先になっている。
選挙期間中、過激な発言を繰り返してきたトランプは、在日米軍の撤退や日米安保条約の見直しにも言及した。トランプの出方によっては、日米同盟の根幹が揺らぎかねないという懸念が政府内にあるのは分かる。それにしても、前のめりになり過ぎじゃないか。
「各国の首脳は抑制的なメッセージを発表しています。フィリピンのドゥテルテ大統領だって、『もう口論したくない』としながら、『米国次第だ』と牽制していて、相手がどう出るかを見極めようとしている。暴言王のトランプ氏を手放しで褒め称え、『日米関係の強固な絆を』とすがっているのは日本の総理だけですよ。場合によっては沖縄の基地問題を解決できるチャンスかもしれないのに、旧態依然とした米国隷従から脱却する気がないのです」(天木直人氏=前出)
■各国首脳は抑制的なメッセージ
トランプ勝利に際し、英国のテリーザ・メイ首相は「英国と米国は、自由と民主主義、進取の気性という価値観に基づいた持続的で特別な関係を築いている。この関係に基づき、向こう数年間にわたって両国の安全保障と繁栄を確保するために協働していく」とコメント。ドイツのメルケル首相の言葉も、「ドイツと米国は民主主義、自由、法の支配の尊重、そして、出自や肌の色、宗教、性別、性的指向、政治的信条に左右されない人間としての尊厳という価値観を共有している」というものだった。要するに、トランプの暴言や排他主義政策にクギを刺しているのだ。フランスのオランド大統領にいたっては、トランプ勝利で「不確実性の時代が幕を開けた」と危惧をあらわにし、欧州各国に「団結」を呼びかけた。
それらに比べ、「トランプ次期大統領と緊密に協力し、日米同盟の絆を一層強固にする」「類いまれなる能力により、ビジネスで大きな成功を収められ、米国経済に多大な貢献をされただけでなく、強いリーダーとして米国を導こうとされている」という安倍の祝辞は、いかにも相手におもねったものだ。
トランプ大統領誕生に「世界秩序が崩壊する」「未知との遭遇だ」と青ざめ、その一方で、過剰なゴマすりに走る。このいびつな関係が日米同盟の本質を表している。
「周章狼狽しているのは、ワシントンの一部しか見ていない日本の政治家や外務省にとって、枠からはみ出た不動産王のナショナリストという大統領の誕生は青天の霹靂だったからです。これまでは共和党のネオコンや、クリントン氏の背後にいる軍産複合体の意向をくんでいればよかった。自称米国通の外交評論家やシンクタンクもそうです。米国一辺倒で、日米同盟至上主義。ジャパンハンドラーの意のままに動くことが利権にもなり、甘い汁を吸ってきた。彼らが言う『秩序の崩壊』とは、トランプ氏の登場で自分たちの利権が脅かされるという危機感でしかありません。それで狼狽し、どうにかして既得権益を守ろうと次期大統領にスリ寄っているだけです」(政治評論家・本澤二郎氏)
暴言王のトランプも大統領になれば現実路線にシフトするという見方もある。ただし、「米国第一主義」の旗は降ろさないだろう。それが彼の生命線だからだ。そのトランプに隷従すれば、日本はますますむしり取られる一方になる。
この国にとっての悪夢は、トランプ大統領の誕生ではない。米国追従しかできない政治の無能こそが最大のリスクだ。
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