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選挙は水物、何が起きるか誰にも分からない
自民党に気の緩みと驕りはないか
2016.11.8(火) 筆坂 秀世
安倍首相の「達筆」ぶり、中国で称賛の声 ホテルに手書き礼状
G20首脳会議に出席するため中国・杭州市を訪れた安倍晋三首相(資料写真、2016年9月5日撮影)。(c)AFP/Etienne Oliveau〔AFPBB News〕
侮れなくなった野党共同
11月7日付「産経新聞」に興味深い記事が掲載されていた。次期衆院選で野党4党(民進党、共産党、自由党、社民党)が295小選挙区で野党統一候補を立てた場合、前回衆院選の4党の得票を単純に合算すると実に47選挙区で野党が逆転する。もしこの結果が出れば、与党の議席は279議席になり、3分の2を大きく割り込むことになるというのだ。
同紙は、「安倍晋三首相(自民党総裁)の憲法改正の夢も潰える。野党共闘を『野合』と批判している場合ではない」と指摘し、「自民党執行部は早急な対応策を迫られている」と唱えている。
実際、自民党執行部も危機感を強めており、10月には、当選1回、2回組の約120人を集めて3度にわたって「選挙塾」を開催している。二階俊博幹事長が、「やる気のない者は候補者を変える」と叱咤し、下村博文幹事長代行が、「自民党は選挙区で86議席勝てない」と危機感を煽っているのもそのためだ。
確かに安倍政権は高い支持率を安定的に維持し、自民党も他党に比べて断然高い支持率を保持している。しかし選挙というのは水物である。何が起こるかは誰も分からない。
例えば10月に行われた東京10区の補欠選挙である。表面上は小池百合子東京都知事の後を継いだ若狭勝氏が圧勝したように見える。若狭氏の得票が7万5755票(得票率60.3%)だったのに対し、民進党の鈴木庸介候補は4万7141票(37.5%)だった。小池氏の圧倒的な人気ということを考えればダブルスコアどころか、トリプルスコアになってもおかしくない選挙情勢だった。それがダブルスコアにもならなかったのである。
民進党が共産党の推薦を断ったため、おそらく共産党の動きも本来のものではなかったと考えられる。若狭陣営では“自民党公認ではなかった方が良かったかも知れない”という声も上がっているという。
別の角度から見てみると、圧勝と思われた選挙でさえ、弱味が垣間見えてくるということである。
気の緩みが露呈した山本農水相の失言
山本有二農水相が失言を繰り返し、安倍首相を激怒させている。一度目は強行採決発言であり、二度目は自民党議員のパーティーで「このあいだ冗談を言ったらクビになりそうになった」と語ったことだ。
二度目の失言が本当に冗談のようなものであったことには笑わされた。そのパーティーで山本氏は失言の前に、森喜朗元首相から「君、パーティーであまり冗談を言うなよと注意された」と語ったのだという。何度も失言を繰り返して、野党から追及されてきた森氏の忠告を紹介したことが、野党の怒りに火に油を注ぐことになってしまった。聞いてよい忠告とそうではない忠告の区別ができなかったらしい。
それしても程度の低い発言によってパーティーで笑いを取ろうとしたところに、気の緩み、驕りが露呈している。こういうことが2度、3度と続けば流れは野党の側に大きく変わってしまうこともある。
しかもこの山本氏の事務所は、まさに「ブラック事務所」であることが『週刊文春』(10月20日号)に暴露されている。元秘書の告発によると、秘書は雇用契約書も渡されず、薄給で議員夫人の買い物や食事の送迎にも駆り出されたり、年末年始も関係なく働かされ、長いときは午前3時過ぎまでの長時間労働が当たり前になっていたという。安倍内閣が「働き方改革」に力を入れている時に、閣僚の事務所が「ブッラク企業」並みというのでは話にならない。
だが、果たして「ブラック事務所」は山本農水相の事務所だけなのか。第2弾、第3弾が出てくると、これも自民党にとって大きな痛手となる。こでもやはり安穏とはできないのである。
小沢一郎氏と共産党の蜜月関係
さて、野党共同で存在感を増しているのが小沢一郎氏である。
小沢氏は、民進党の蓮舫執行部が野党共同に腰が据わってないことを厳しく批判もしてきた。野党が選挙協力をすれば、自公に勝って政権奪取できるというのが小沢氏の持論だ。連合や党内の共産党嫌いに気を遣い、共産党との選挙協力を渋る民進党の現執行部が歯がゆくてならないのである。
小沢氏に呼応するように、志位氏も強気の姿勢に転換してきた。「この間、連合指導部は、民進党に『共産党とは一線を画せ』と繰り返し要求している。この連合指導部の要求にどう対応するのか。この要求に従う道を選ぶのか、それとも野党と市民の共闘に真剣に取り組む道を選ぶのか。このことがいま民進党に問われている」(10月27日)と民進党に二者択一を迫ったのである。
これは相当思い切った発言である。共産党にとって、国政で存在感を示していくには、単独で選挙を戦っていてはおぼつかない。野党、中でも民進党との選挙協力が不可欠である。
今年の参院選では、定数1人区のすべてで野党が選挙協力をし、成果もあげた。共産党はこの成果を、「党綱領の統一戦線の方針が、国政を動かす、新しい時代が始まっている」(9月20日)と最大限に評価している。だが、民進党が本当に「共産党と一線を画す」などという選択をすれば、戦略が崩れることになる。
それにもかかわらず、この強気発言を行った背景には、百戦錬磨の小沢氏の意向もあったのだろう。同時に、民進党が共産党の選挙協力を最終的には拒否できないと踏んでいるのだろう。
他方で小沢氏は、民進党にも布石を打っている。10月29日、野田幹事長の就任祝いだとして食事を共にしながら会談し、さらにその後も会談を行っている。この会談に対して、共産党・小池晃書記局長は、「意志疎通を様々なチャンネルでやっていくことは非常に良いこと」(10月31日)と応じている。
小沢一郎氏と共産党は、野党共同のためにまさに蜜月関係にある。民進党執行部は、この両者のゆさぶりにどう対応していくのだろうか。答えは、見えていると思うが。
「出口調査」など禁止すべき
海の向こうではヒラリーク・リントン氏とドナルド・トランプ氏の一騎打ちが繰り広げられている。日本時間9日の午後には新大統領が決まるが、どちらが勝つか、マスコミ報道を見ていてもまったく分からない。
選挙というのは、見ている方からするとこの緊迫感が一番面白いし、興味深い。日本では、「出口調査」という摩訶不思議なことがテレビ局によって繰り広げられ、開票時の楽しみがすっかり奪われてしまった。投票箱が閉まる午後8時になった途端に、続々と当選確実者がテレビ画面に表示される。「おいおい、まだ開票作業は始まってないだろう」といつもテレビ画面に向かって毒づいている。
立川志の輔の落語に、こういうのがあった。“選挙の楽しみは開票速報を見ることだ。その時には、柿ピーとビールをテーブルに準備して待ち構える。柿ピーが良いのは、テレビ画面から目をそらさずに食べられるからだ。ただ最近、出口調査というのがあって、まだ投票箱を運んでいるはずなのに当選確実者が出てしまう。選挙の楽しみを奪われた。有権者のみなさん、これから出口調査には嘘を答えましょう”というような内容だったと思う。
落選する候補者の心情もある。まだ開票もしていないのに落選が決まってしまうのである。理不尽な話ではないか。
実は私自身、二十数年前の中選挙区時代に衆議院の東京一区で3度立候補して、すべて落選したのだが、当時はまだ翌日開票だった。それでも開票率1%ぐらいで落選が決まりがっくりしたものである。それが今や開票率0%で大半の議席が決まってしまう。いくらなんでもやりすぎだろう。
開票速報を楽しむのは有権者の権利である。それをテレビ局が奪っている。「出口調査」など禁止すべきである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48324
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