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与党がTPP強行採決 悪辣政治に「数の力」を持たせた絶望
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/193203
2016年11月4日 日刊ゲンダイ 文字お越し
弱者イジメの極致(C)日刊ゲンダイ
国民生活はどうなってしまうのか――。スッタモンダの揚げ句、TPP承認案と関連法案が4日、衆院の特別委員会で強行採決された。野党が激しく抗議する中、自公と維新が採決に踏み切り、賛成多数で可決。ハナから見えていたことではあったが、それにしても、この間の経緯はデタラメだった。
山本農水相は先月、強行採決をほのめかす発言で物議を醸し、TPP特別委員会は紛糾。それからわずか2週間後、1日夜の同僚議員のパーティーで、またやらかした。問題視された自らの発言について「こないだ冗談を言ったらクビになりそうになった」とちゃかしてみせたのだ。さらには、「JAの方が大勢いらっしゃるようですので、明日でも農水省に来ていただければ、何かいいことがあるかもしれません」と利益誘導までにおわせた。
野党が反発するのは当たり前で、本来なら採決どころの話じゃない。もう少しマトモな農相に代えて、イチから仕切り直しが筋じゃないかと思うが、与党側は「現地時間の8日に行われる米大統領選が終わる前に本会議採決、衆院通過」というスケジュールを動かす気は毛頭ない。
「クリントンとトランプのどちらが勝っても、勝利会見でTPPについて聞かれたら、『反対』と明言する。次期大統領の意向に日本国内のTPP推進も影響を受けかねない。そうなる前に批准を決める必要がある。タイムリミットが近づいている」(与党国対関係者)
日本時間の9日昼ごろにはおおよその情勢が判明する。だから、8日の衆院通過が既定路線だ。本会議採決の前に特別委での採決を済ませなければならず、それが4日夕なのか、週明けに先延ばしするかというだけの話だったが、結局、4日に強行した格好だ。
■大臣の失言が表す政治の真実
安倍首相は特別委で強行採決の可能性について問われると、「我が党において、結党以来ですね、強行採決をしようと考えたことはないわけであります」とかフザけた答弁をしていたが、昨年の安保関連法や13年の特定秘密保護法で、国民と野党の反対を無視し、審議を打ち切って採決を強行したのは一体どこの党だったか。
いざ採決になれば、与党の数の力で必ず可決する。TPPを参院に送ってしまえば、条約は30日後に自然成立する。すでに、与党内では今月30日までの今国会の会期を小幅延長する案が浮上している。TPP批准は衆院を通過した時点で“決まり”なのだ。
「TPPの影響は国民生活全般に及びます。問題は農業や食の安全だけではありません。ところが、知財や医療、保険制度、ISD条項などについて審議が尽くされたとは言い難い状況です。米国による経済的な植民地支配と言ってもいいような内容なのに、その危険性は国民に明示されていない。交渉妥結に至るまでの長い時間を考えたら、少なくとも数カ月間は審議を続けないと、TPPは本当に国益にかなうのか、判断がつかないはずです。ただのお題目でルーティンを積み重ね、目安の審議時間に達したら、野党がどれだけ騒ごうが数の力で押し切るというのでは、何のための特別委員会なのか。もっとも、結局こうなることは、最初から分かりきっていました。山本農相の失言にしても、決して個人の資質だけの問題ではない。背景には、圧倒的な多数派だから何でもできると居直っている今の政権の傲慢な姿勢があります」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
国民の声は届かない(C)日刊ゲンダイ
55年体制よりひどい国会形骸化と無責任政治の横行
こういう独裁的な政権に「数の力」を持たせることが、いかに危ういか。世論調査などでは、TPP承認は「急ぐべきでない」が多数派なのに、その声はまったく国会に届かない。
これは野党の責任も大きい。与党の圧倒的多数を前に、少数派の野党にできることは限られているが、それにしても、民進党が1日の時点でいったんは「2日に特別委採決、4日に本会議採決」の日程に合意したことには驚き、失望した国民が多いのではないか。
「野党の見せ場をつくるとか、どういう形で野党に花を持たせるかという55年体制そのままの茶番を見せつけられ、TPPに反対して国会前で座り込みを続けている人たちもガッカリしたはずです。山本農相の自爆発言で合意が崩れ、命拾いしましたが、少数派だからと野党が簡単に諦めてしまうようでは、国民の代表として失格ですよ。TPPがスタートして深刻な問題が起きた時、誰が責任を取るのか。泣かされるのは国民です。安倍首相は『担当者に任せていた』とでも言うのでしょうが、特別委には、TPP交渉を仕切った甘利前担当大臣も鶴岡首席交渉官も出てこない。誰も責任を取らない体制になっています。派閥がせめぎ合っていた昔の自民党は、おかしな政策には公然と意見をする空気がありましたが、今の自民党の国会議員は、有権者から選ばれた代表というより、“党の一員”という意識が強く、サラリーマン化している。党が決めたことに唯々諾々と従うだけで、賛成票を投じる頭数でしかない。そのうえ野党も無力で、国会が形骸化している現状は、55年体制よりひどい。官邸が『こうだ』と決めれば、それが間違った方針であっても、数の力で何でも可決という状況には空恐ろしいものを感じます」(山田厚俊氏=前出)
TPPではグローバル企業の儲けが最優先される。食の安全も、先端医療もカネ持ちだけの特権になっていく。新自由主義経済の下、格差は拡大し、中流層が貧困に突き落とされる。TPP強行採決の先に待っているのは、日本国民がグローバル企業の奴隷と化す絶望の未来だと覚悟しておいた方がいい。
■年金カットも税制見直しも強行
2日には年金カット法案も審議入りした。安倍政権は所得税の配偶者控除見直しも進めている。TPPで海外の安い労働力と競うことになれば、賃金低下は避けられない。それに合わせて年金支給額も下げていく。女性も高齢者も、グローバル企業の犠牲になって、死ぬまで低賃金で働けという布石だ。
「安倍政権下で貧困世帯が増えていますが、それがTPPでますます加速する。毎年3000億〜5000億円の社会保障費削減も決めていて、とことん弱者に冷たい政権です。それでいて、自分がいい格好をするために海外では大盤振る舞いする。国民に増税した分は大企業に減税したり、公共事業でゼネコンにバラまいてしまう。国民イジメの極致のような悪辣政権なのに、どんなむちゃでも数の力で通ってしまう。それだけの数を与えた国民の自業自得と言えばそれまでですが、いつか本当に身ぐるみはがされてしまいます」(政治評論家・本澤二郎氏)
3日は憲法公布からちょうど70年。新聞各紙に憲法関連の記事が載ったが、安倍周辺の右派勢力は「文化の日」を「明治の日」に変える動きを本格化させている。11月3日が明治天皇の誕生日でもあるからで、日本国憲法の公布日として「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ための祝日を戦前の「天長節」に戻そうというのだ。いつの間にか「山の日」なんて祝日ができていたことを考えれば、これも実現する可能性がある。
「復古主義の政権に多数派を持たせると、こんなトンデモ計画も現実になってしまいかねない。憲法改正も数の力で押し通すつもりでしょう。国民生活を破壊するTPP批准を強引に進める手法を見て分かるように、自分たちの目的のためには、国民の反対などお構いなしです。今後も強行採決を連発してきますよ。暴政を止めるには選挙で意思表示するしかありませんが、議席を大量に失うと分かれば、なんだかんだ理由をつけて選挙を先送りし、その間に数の力で自らの野望を次々と達成しようとするはずです」(本澤二郎氏=前出)
本来なら再来年までだった総裁任期は、延長があっさり決まった。この悪党政治はあと何年続くのか。TPPの強行採決はまだ序の口だったと、後になって思い知らされるのかもしれない。
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