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ドゥテルテ、プーチンにへつらう中国包囲網外交の弊害
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/192785
2016年10月28日 日刊ゲンダイ 文字お越し
ドゥテルテ大統領を国賓扱い(C)AP
まるで「国賓」待遇の扱いだった。27日、3日間の訪日日程を終えて帰国の途に就いたフィリピンのドゥテルテ大統領。安倍首相との首脳会談では、大型巡視船2隻の供与や海自練習機TC90の貸与のほか、約50億円の円借款を約束させ、「日本は兄弟よりも親しい真の友人」「来月も良かったら日本に呼んでくれ」と上機嫌で日本を去っていった。
そりゃあそうだ。例えば今回、「ミンダナオ島の和平支援」と称して供与が決まった高速小型艇は、ドゥテルテが8月に岸田外相と会談した時に直談判したものだ。ミンダナオ島はドゥテルテが長く市長を務めたダバオ市があり、政策的に最重視している地域――とされる。「お願い」から、わずか2カ月余りで望み通りの“手土産”をポンとプレゼントされて悪く思うハズがない。
さらにドゥテルテ滞在中の日本政府の対応は、異例とも言える「もてなし」ぶりだった。25日に来日した夜、岸田外相は東京・銀座の高級料亭「東京吉兆本店」の前に立ち、予定時刻に15分も遅刻したドゥテルテを笑顔で出迎えた上、好物という和食や日本酒をバンバンふるまった。おそらく歴代のフィリピン大統領で、訪日の際に今回ほど「厚遇」された人物はいないだろう。元外交官の天木直人氏がこう言う。
「まさしく、安倍政権のドゥテルテ大統領に対する外交姿勢は『媚びへつらう』という言葉がピッタリでした。『米国との決別』や『米国は地獄に落ちろ』などと暴言を繰り返すドゥテルテ大統領が訪日中も反米感情ムキ出しの暴言を吐いたら、日米同盟を重視している安倍政権の面目は丸つぶれになると思っていたのでしょう。滞在中は静かにしてほしい、というのがホンネだったに違いありません。ドゥテルテ大統領を厚くもてなしたのは、米国に対して、せめて日本とフィリピンは友好関係にある――とアピールしたかったのだと思います」
プーチンにも接近(C)AP
ドゥテルテのシタタカ外交手腕を見習うべきだ
安倍政権が「腫れ物に触る」ようにドゥテルテを歓迎したのは、米国のプレッシャーを忖度しただけじゃない。安倍政権が掲げる「中国包囲網」をこれ以上、失敗させないようにするためだ。
「法の支配こそ、国際社会で貫徹されなければならない普遍的な原則だ」
9月8日にラオスの首都ビエンチャンで開かれた東アジア首脳会議。安倍は南シナ海や東シナ海で海洋進出を強める中国を強く批判。7月にオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所(PCA)が、中国が主張する南シナ海の領有権を全面的に退ける判決を出したのを、“奇貨おくべし”とASEAN(東南アジア諸国連合)の首脳に向かって「中国包囲網」の必要性を訴えた。
ところが、フタを開けてみれば中国に自制を求めた国はゼロ。安倍の思惑はものの見事に外れたのだ。
「当たり前ですよ。中国は今や米国に次ぐ世界第2位の経済大国です。中国との経済的パイプを切っても切り離せないASEAN諸国が、安倍首相の呼び掛けに応じて中国に盾突いたところで国益に結びつかないことは分かり切っている。理解していないのは、コブシを振り上げて『中国包囲網』などと叫んでいる安倍首相だけですよ」(天木直人氏=前出)
中国を訴えていた当事国のフィリピンでさえ、ドゥテルテが訪日直前に習近平国家主席と電撃会談し、PCA判決の「棚上げ」を決めてしまった。安倍政権は「中国包囲網」の中核にフィリピンを位置付けていただけに、驚天動地の出来事だったろう。もはや、媚を売ろうが何だろうが、これ以上、ドゥテルテにソッポを向かれるワケにはいかなかったのだ。
それにしてもシタタカ外交の手腕を見せたのが、ドゥテルテだ。反米姿勢とPCA判決の「棚上げ」で、あの中国から総額240億ドル(約2兆5000億円)もの経済支援を引き出すことに成功したのだ。マフィア風の風貌と乱暴な言動から、日本では米大統領候補のトランプのような印象が強いが、「暴言」なんて表面だけ。中身は国益を最優先する現実路線の政治家なのだ。それに比べて安倍外交は「中国包囲網」なんて独り善がりの幻想にのめり込み、国益を無視して突っ走っているからメチャクチャだ。
■「中国敵視」政策がすべての迷走外交の悪因
南シナ海問題だけじゃない。「AIIB」(アジアインフラ投資銀行)の不参加にしたって、日本が中核的な役割を担ってきた「ADB」(アジア開発銀行)の座が中国に脅かされかねない――との理由だけで、米国と一緒にイの一番に不参加を決めてしまった。ところが、英国やドイツなどの先進国は続々と参加を表明。日米は完全にハシゴを外された格好になった。
「AIIB」の金立群総裁は19日に北京市で開いた国際諮問委員会で、参加国が創設時より26カ国増え、来年には「ADB」の67カ国・地域を上回る80カ国以上になる見通しを示したという。安倍政権が「嫌中」という狭いモノサシで世界を見ている間に、日本はどんどん取り残されてしまっているのだ。
黒塗りの「のり弁資料」で情報開示もロクにせず、審議時間も不十分のままで与党が「強行採決」をにおわせているTPPだって根っこは同じ。米国のオバマ大統領が訴えている「TPPが失敗すれば中国主導の通商ルールに席巻される」というセリフに踊らされているだけだ。
ロシア外交だってそうだ。安倍とプーチン大統領は9月にウラジオストクで首脳会談を行い、12月15日にはプーチン大統領が訪日して、安倍の地元・山口県を訪れることが決まっている。ロシアはクリミア併合やウクライナへの介入で世界から批判を浴び、欧米諸国が経済制裁を科している。そんな中でプーチンに近づくのは、国民ウケを狙った北方領土の返還に加え、ロシアが急速に関係を深める中国を牽制するためだ。だが、安倍政権は中国の海洋進出について「法の無視」と激しく非難していたはずだ。ロシアのクリミア併合だって「法の無視」は変わらないのに矛盾した対応だろう。要するにどれもこれも、安倍政権の「中国敵視」政策が、すべての迷走外交の悪因なのだ。政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「今の世界情勢の中で、大国である中国を『包囲』するという非現実的な発想自体が破綻している。ドゥテルテ大統領のように中国と敵対するのではなく、うまく取り込みながら自国の権益を確保する。それが最善の外交戦略です。しかし、安倍政権はそれが分からない。『中国敵視策』を取り続けないと、悲願の憲法改正ができないからでしょう」
安倍政権の「中国憎し」の歪んだ外交によって日本は世界から孤立し、国民生活もズタズタにされるのだ。
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