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TPP承認を急ぐ安倍首相(C)日刊ゲンダイ
大戦前夜を彷彿…TPPに躍起になるほど世界の分断を招く 日本経済一歩先の真相
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/192181
2016年10月21日 日刊ゲンダイ
今国会の最大の焦点だというTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の審議が始まった。米国の次期大統領候補2人がそろってTPPに反対する中、政権与党が承認を急ぐ理由が分からない。
安倍首相は「日本が先行する形で承認し、米国に促していく」と言っていたが、TPPへの傾倒は世界の分断に手を貸す結果を招くだけではないのか。
世界各国の21世紀に入ってからの経済成長率を眺めると、日本が0%前後でへばりついているのは承知の通りだが、米国も欧州も低成長が続いている。リーマン・ショックを経て、低迷にさらなる拍車がかかり、深刻な長期化の様相を示しているのだ。世界唯一の成長国だった中国も昨年、上海バブルがはじけ飛び、低迷期に突入した。
かような現況は1920年から30年にかけての世界の姿とダブって見える。1925年に英国が金本位制を復活させながら、29年からの世界恐慌により、31年には再び金本位制からの離脱に至った時期だ。ちょうど両大戦間の端境期にあたり、金本位制の消滅が他国通貨の不信感を生み出し、過剰な保護貿易を招くことになった。そして愚かな第2次世界大戦への突入を防げなかった。あの時代にどうも似ているのだ。
このままだと、世界の経済を前進させる新たな歯車は再び動くことはない。各国が景気の見通しを立てられず、「資本主義の終焉」まで叫ばれる今、日本がTPPに躍起になることは、どのような意義を持つのか。
TPPの協定を発効するには、参加12カ国が全て国内承認を得る必要がある。米国は不参加の公算が高い以上、無効になる可能性もある。それでも日本が米国抜きの新たな経済連携を求めるのなら、経済活動圏として環太平洋諸国を囲い込むことになる。日本経済がこれから生き延びるための「絶対国防圏」という位置づけだ。
欧米諸国は「雇用守れ」の大合唱で反グローバル化に傾斜し、国境の“戸締まり”が厳重になりつつある。中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立など独自の経済圏を構築しようとしている。そんな中、日本が先の大戦前夜を彷彿させる「ブロック経済」に動きだせば、世界はますます分断されていく。
さすがに世界大戦には至らないことを祈るが、世界の趨勢は「グローバルVS反グローバル」という経済闘争に、どうやら向かいつつあるようだ。
4年後に東京五輪を迎えるころには、かつての自由主義陣営も一枚岩とは絶対に言い切れなくなっているのではないか。実にうっとうしい時代が訪れつつある。
高橋乗宣 エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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