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国民の安全安心よりもゾンビ企業・東電の再建なのか
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/192125
2016年10月19日 日刊ゲンダイ 文字お越し
国民の命よりも…(左は当選した米山隆一氏)/(C)日刊ゲンダイ
安倍首相の所信表明演説の途中、自民党議員が一斉に立ち上がって拍手した光景はナチス・ドイツの「ヒトラーユーゲント」のようで気持ち悪かったが、この国のメディアの報道姿勢も戦時下の「大本営発表」とソックリの状況になってきた。
東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な米山隆一氏が与党候補を破り、劇的な勝利を収めた新潟県知事選。共同通信社が行った出口調査では、柏崎刈羽原発の再稼働に「反対」と回答した有権者は7割近くに上り、その7割余りが米山氏に投票した。米軍普天間基地の辺野古移設が争点となった2014年の沖縄県知事選で、反対派の翁長雄志知事が賛成派の与党候補に大差で勝利した時と同様、柏崎刈羽原発再稼働に対し、新潟県民は明確に「ノー」の意思を示したのである。
曲がりなりにも報道機関が「公器」を標榜するのであれば、県民の強い思いを尊重し、安倍政権や東電に対して再稼働中止を求める論陣を張るのがフツーだ。ところが、知事選翌日の新聞各紙を見ると、思わずのけ反ってしまうような見出しや記事ばかりだったから驚愕だ。
〈原発再稼働 首長の壁〉(読売)、〈「知事リスク」拡大恐れ〉(産経)……。揃って安倍政権の「御用メディア」と揶揄されているとはいえ、民主主義の土台である選挙で選ばれた新知事を「壁」や「リスク」と評するのは暴論だろう。ここまで酷い表現は見られないものの、他の大マスコミでも共通しているのは、米山新知事の誕生が東電の経営に及ぼす影響を懸念する論調だ。
〈大幅な収支改善が見込める同原発(柏崎刈羽)の再稼働が遅れれば、東京電力ホールディングスの経営再建に打撃となる〉(日経)、〈東電 遠のく経営安定化 東電の収益基盤が不安定になると、廃炉費用の利用者へのツケ回しが増えかねない〉(毎日)
要するに東電は柏崎刈羽原発の再稼働で年間2400億円の増益を見込んでいたが、この先、再稼働が難しくなって自主再建ができなくなれば、電気料金などで国民の負担が増える――というのである。だが、ちょっと待て。本気で言っているなら、これぞ「大本営発表」というものだ。
■新潟県民の「再稼働反対」は選挙結果以上に意味がある
2011年3月の福島原発事故では、直後に16万5000人もの福島県民が避難生活を余儀なくされた。まき散らかされた放射性物資の除染は進まず、5年経った今も約9万人(7月時点)が故郷を追われたままだ。原発は事故が起きれば近隣住民の生命、財産に甚大な被害をもたらす。そんな危険な原発が7基もあり、世界最大級といわれる柏崎刈羽原発では、02年に原子炉のひび割れを隠していた問題が発覚し、07年の中越沖地震でも火災発生の通報が遅れる事態が起きている。新潟県民にしてみれば「再稼働」など論外だろう。ところが大マスコミは、県民の不安や怒りに目をつむってでも再稼働させろ、東電の救済が最優先だ――と言わんばかり。恫喝まがいの報道だ。元東大教授の桂敬一氏(ジャーナリズム論)はこう言う。
「新潟県知事選の結果は、やれエネルギー政策うんぬんだ、やれ国民負担が増えるかも、なんて話ではない。安倍政権が進めている政策に対し、まず県民が痛烈に『ノー』を突き付け、野党共闘を後押しした。そういう大局的な見方で考える出来事です。ところが大メディアの報道には、そういう視点は感じられません。今の政治情勢は、原発再稼働だけでなく、あらゆる意味で危うい状況にある。大メディアがここで踏ん張らないといけないのに、形だけの批判記事を載せつつ、政権にすり寄っている。先の戦時下と同じ状況になりつつあるのです」
ルポライターの鎌田慧氏は18日の東京新聞のコラムで、米山の勝因について〈政府・東電が強行を図る原発再稼働への不安と批判が強かったから〉と分析し、こう書いていた。
〈再稼働の欲望とは、破綻したアベノミクスの押しつけであり、電力経営者のいまさえよければの偏執である。会社の一瞬の利益のために地域の将来といのちを犠牲にする〉〈原発は非合理、不道徳、無責任。その現実が世論に浸透して批判票につながった〉
これが、新潟県知事選の投票結果に対するまっとうな見方だ。この期に及んでも「原発再稼働」なんてトンチンカンな主張をしている大マスコミは、報道機関の看板を早く下ろした方がいい。
国民にツケ回しするな(柏崎刈羽原発)/(C)日刊ゲンダイ
廃炉費用を新たに国民にツケ回しするな
そもそも柏崎刈羽原発を再稼働しないと福島原発の廃炉費用が賄えず、東電が潰れてしまう――との発想自体がデタラメだ。マンガのセリフじゃないが、東電は「すでに死んでいる」のである。
例えば、福島原発の廃炉作業をめぐっては、肝心要の溶融核燃料(燃料デブリ)の詳しい位置や状況がいまだに分かっていない。作業の妨げとなる汚染水の対策で“切り札”とされた「凍土壁」も、原子力規制委員会の外部有識者から「破綻」と断じられている。東電は14年の「新総合特別事業計画」で、廃炉・汚染水対策で2兆円、賠償・除染費用で9兆円――と見積もっていたが、今後、数兆円規模で膨らむのは間違いない。
本来であれば、責任を明確化させるためにも東電を破綻させ、一切合財の保有資産を没収するのが筋だ。ところが、そんなゾンビ企業を救済するために経産省がヒネリ出したのが、廃炉費用の新たな「国民ツケ回し」。今月初めに発足した「東電改革・1F問題委員会」が廃炉費用の在り方について検討を始めたが、浮上しているのが新規参入の電力小売会社(新電力)に負担を求める方法だ。新電力が大手電力の送電網を使用した際に支払う「託送料」を引き上げる案だが、原発を持たない新電力に廃炉費用を求めるのは、どう考えても筋違いである。
しかも、この委員会は財界幹部と有識者、東電の広瀬直己社長がオブザーバーで、会議内容は原則非公開だ。つまり、またぞろ出てきた「原子力ムラ」のメンメンが、ゾンビ企業を生き永らえさせるため、「密室」で好き勝手なスキームを作り上げようとしているわけで、許し難い蛮行だ。前出の鎌田氏は東電について、コラムで〈広大な地域を汚染し、人びとを離散させ、大量の動物を殺し、補償も満足にできず、国におんぶにだっこの経営。とはいっても、実際はそのツケは巧みに消費者にまわす〉と喝破していたが、その通りだろう。
■民進党は「電力総連」を斬り捨てろ
大マスコミは国民を愚弄している経産省や東電の薄汚い思惑を暴くべきなのに、あろうことか「原子力ムラ」の世論誘導のお先棒を担いでいるのだから情けない。新潟県知事選の取材を続けてきたジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「メディアは本質を捉えていない。柏崎刈羽原発で事故が起きれば、新潟だけの問題では済みません。関東にも被害が及ぶのです。東京都の小池知事の動向も大事でしょうが、それ以上に米山知事誕生の意味は重いのです」
「反原発」を掲げる知事の当選は、7月の鹿児島県知事選で九州電力・川内原発の一時停止を公約に掲げた三反園訓知事に続く。ともに民進党の支持団体「連合」の支援が得られなかったにもかかわらず、野党が共闘すれば与党候補を十分負かすことができる、ということを示した。しょせん「連合」は大企業や財界の代弁者に過ぎない。国民の生命、財産より「自分たちの目先のカネ」が大事なのだ。鹿児島、新潟の両知事選では、そんな「連合」の“卑しい本性”が国民に見透かされたと言っていい。
「鹿児島、新潟の両知事選の結果は、もはや民進党が『連合』に気を使う必要がないという、ひとつのモデルになったと思います」(前出の横田一氏)
となれば、野党は今がチャンス。民進党は「電力総連」なんて利権団体をバッサリ斬り捨て、「反原発」の一点集中で共闘してガンガン攻めるべきだ。
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