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野田幹事長の本心は根深いものがある(C)日刊ゲンダイ
ごちゃごちゃ言って民進党の足を引っ張っているのは誰か 永田町の裏を読む
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2016年10月13日 日刊ゲンダイ
民進党が8日の全国幹事会で、次期衆院選でも野党統一候補の擁立を目指す方針を決めた。野田佳彦幹事長は、昨年末の自分のブログでは「共産党とは思想も政策も全然違うので、共闘することはありえない」と言っていたし、今年春には生活の党を含む野党結集について「一番ごちゃごちゃ言って(自分の政権の)足を引っ張った小沢一郎さえ来なければ、生活の党を受け入れる」と言っていたのだから、これはほとんど“変節”と言えるほどの路線転換である。
しかしそれは当然で、目前の2つの衆議院補選も新潟知事選も、さらに1月と噂される総選挙も、独力で勝つ可能性が絶無なのだから、野党選挙協力をさらに深化させていくほか民進党の生き残る道はない。ところが、野田の本心である「反共産・反小沢」感情は根深いものがあり、そのためこのせっかくの路線転換もまだいくつもの問題点を残している。
第1に、自力で勝てないからこそ他党に頭を下げて協力をお願いする立場だというのに、野田は補選に関して「政策協定は結ばない」「推薦は受けない。支援は自由だ」などと偉そうな口をきいている。政治家という以前に社会人としての礼儀を欠いている。
第2に、参院選の場合には各選挙区ごとに候補者調整をしたり政策協定を結んだりしたのだが、次期衆院選についてはそのような“地方自主権”を認めず、すべて野田幹事長=馬淵澄夫選対委員長が取り仕切るという制約条件をつけた。しかし参院選の多くの1人区では、候補者は単に「野党統一候補」だったのではなく「野党プラス市民の統一候補」だった。地元で安保法制反対のデモ・集会を組織してきた市民団体などが積極的に政策協定の議論に加わり、場合によっては全国レベルの「市民連合」も出かけて行って市民と政党との調整役を果たすことで、それぞれに特徴のある政策協定と選挙体制が出来上がった。中央で仕切ったのではこういう知恵はむしろ圧殺される。
第3に、野田も蓮舫代表も「共産党とは選挙協力はしても連立政権は組まない」と繰り返し述べている。党内反共派を安心させるためだろうが、思想や基本政策が違う党とも当面の課題で一致する限り、政策協定を結んで政権交代を図るのが連立で、それが違わないのなら1つの党になればいいのである。何を言っているのか分からない。
「一番ごちゃごちゃ言って民進党の足を引っ張っている」のは野田である。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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