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佐藤優が見た小池都知事の「巧みな戦略」〜狙うは次期総理の座!? 「日本の小池百合子」へ着実な足場固め
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49835
2016.10.08 佐藤 優 作家 現代ビジネス
020年に控えたオリンピックの開催費用が、当初の予定より約4倍に膨れ上がるとして、コスト削減の検討に入った小池知事。このニュースを受け、佐藤優氏は、小池知事は現職の次のステップとして総理大臣も視野に入れている可能性があると指摘。その理由を文化放送「くにまる・じゃぱん」の番組内で明かした。
※本記事は、『佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」』に収録している放送内容(2016年9月30日放送)の一部抜粋です。
■手持ちのカードの使い方がうまい
砂山圭大郎(以下砂山): いま東京都の問題がさまざま出ていますけれど、オリンピックの問題では、予算が膨らみに膨らんで、代替地という話まで浮上してきました。佐藤さんはいかがお考えでしょうか?
佐藤優(以下佐藤): 小池さんはものすごく頭のいい人です。このオリンピック・パラリンピック競技会場のニュースは豊洲の問題とも絡んでいますが、お金がほぼ4倍になるなんて、メチャクチャな話ですよね。
砂山: そうですね。
佐藤: しかし、これが2倍で収まるかといえば絶対にならない。そうとうのお金はかかりますが、小池さんは東京ではなく、地方にお金を落とすことを考え始めているのだと思います。
砂山: ほお。
佐藤: そうすれば、「東京の小池百合子」ではなく、「日本の小池百合子」になる。彼女は東京都知事からのステップとして次は総理大臣を狙っているから、こういうことを始めているのだと思うんです。だから、東日本大震災の被災地の宮城や、あるいは新幹線が近くを通っている場所、つまり地方に分散させる。
日本は毎年、47都道府県で持ち回りで国体を開催していますから、47年のサイクルで一度は施設を更新しています。過去10年以内に新しくした施設であれば、手を入れずにそのままオリンピック会場にできるわけです。
そうやって、東京都が持っているお金を地方に渡し、経済負担はかけさせない。選手団が来ることによる経済効果もありますよね。これによって小池さんの評判はうなぎ上りになります。
砂山: それを狙う小池知事は、ボート会場を宮城に、という話をした。
佐藤: そうです。言い方は悪いですが、宮城県にしてみれば棚からぼたもちですよね。
砂山: すべてを都で開催したら、得をするのは東京だけじゃないか、という意見がありました。それを分散させようということですね。
佐藤: はい、新幹線という便利な乗り物がありますからね。新幹線を使えば、都内をバスで移動する時間と大して変わらない。
砂山: はい。
佐藤: こういう理由で、頭のいい人だと思います。今の手持ちのカードでWIN−WINゲームを作っていくという発想です。
砂山: オリンピック組織委員会としては、現在まで東京開催で進めていた競技団体やIOCになんて説明したらいいんだということですが。
佐藤: はい。ですが、民意を味方につけたほうが勝ちなんです。その意味においては、小池さんは田中真紀子さんに学んでいると思います。
砂山: なるほど。
佐藤: 田中真紀子さんが今から15年前に外務大臣として登場した時は、大変なフィーバーでしたよね。
砂山: はい。
佐藤: 外務省の機密費問題にテコ入れし「外務省は伏魔殿だ」となった。これと同様の感覚で捉えれば今、都庁は伏魔殿です。その背景があるから、言えば何でも通りますよね。ですから豊洲問題ととても関連しているんです。
砂山: では、その豊洲の問題にまいりましょう。
■小池知事の「ヤブヘビ」戦略
西川文野(以下西川): 築地市場の移転先となる豊洲市場の建物の下に盛り土がなかった問題について、小池知事は今日(9月30日)午後の定例記者会見で、地下空間の設置を決めた責任者を特定できなかったとする報告書を公表します。
報告書によりますと、地下空間は地下水のモニタリングや新たに汚染が見つかった際に重機を入れて浄化作業をするスペースとして設置されましたが、決定した責任者や時期は特定できなかったということです。
一方、豊洲で東京都が実施した地下水のモニタリング調査で、環境基準を上回る有害物質のベンゼンとヒ素が検出されたことを受け、小池知事は会見で今後の方針についても説明すると見られます。
砂山: この問題も、どこから手を入れればいいんだという話になっていますが、いかがですか?
佐藤: 私はこれを「ヤブヘビ戦略」と呼んでいます。
砂山: ヤブヘビ戦略とは?
佐藤: 東京都にはいくつものヤブがあるんです。オリンピックもヤブ、豊洲もヤブ。
ヤブを揺さぶれば確実にヘビが出てくる。仮に豊洲のヤブから出てきたヘビがアオダイショウくらいなら「ああ、そうですか」という程度で何もなかったかのように移転を進める。ヤマタノオロチ級のものが出てきたならば、移転はストップです。
今、揺さぶって出てきたのは、キングコブラ級のヘビなんです。
砂山: ヤマタノオロチまではいかないけど、アオダイショウではない。
佐藤: そう、そのキングコブラがカマ首を上げている。でもキングコブラ一匹では足りない。ヒ素やベンゼンが出てきて、次々とハブ、マムシ、ガラガラヘビが姿を現せば「とんでもない」という話になりますよね。
その「とんでもない」という話を作り、やめさせることによって都民の支持を得ていく。ですから、小池さんは作戦どおりに進んでいくと思います。
■現実味を帯びる関係者逮捕
砂山: 今ひとまず、地下空間があった。これはキングコブラですよね。
佐藤: はい。その先に続くのが、談合ですよね。入札で落札価格が99.7%なんていうのは、もうそれだけでかなり不思議な話ですよね。
砂山: 裏でつながっていたんじゃないか、ということですよね。
佐藤: その辺りのことを危惧する人がいると思うんですよ。そういう人の特徴は、あくまで特定の人ではなく一般論ですが、大きなマスクをかけているんです。
砂山: ひとり、顔が浮かんだんですが。なぜマスクをかけるんでしょうか。
佐藤: 質問された時の表情を隠すためです。無言で通しても表情には出る。それを東京地検特捜部の検事たちが見ているんです。「こいつ、この問題で顔色が変わっていたな」と。だから、大きいマスクをかけるんです。
まったくの一般論ですが、マスクをかけている人は逮捕されることもあり得ると考えているんですね。地検に捕まったことのある私としては、それが非常によくわかります。
砂山: 偶然かもしれませんが、昨日、都議会のドンと言われている内田議員がマスクをされていましたね。
佐藤: あくまで、特定の人のことではなく一般論です。
砂山: はい。
佐藤: もう少し先のこともあるかもしれないんですよ。
砂山: 先とはどういうことでしょうか?
佐藤: 東京地検特捜部は、国の機関ですよね。ところが警視庁の捜査二課も同じことができるわけです。二課で捜査した場合、東京都の公安委員会は知事から独立していますが、警視庁の予算はすべて知事が握っている。
警視庁が捜査を始めるということになれば、都知事が考えていることと偶然に一致する方向になると考えてます。ところが、捜査二課がやるという時には、検察庁に相談するんです。「やっぱり、これは大きい案件だから、特捜部じゃないか」となれば行かざるを得ない。でも、そうなった場合は大技の可能性があります。
砂山: 大技とは?
佐藤: 西川さん、捜査四課ってご存じですか?
西川: あまり聞かないですね。
佐藤: ですよね。これは広域団体の方たちです。
西川: ああ。
佐藤: 捜査四課絡みの話が出てくると、検察も特捜も触らないんです。広域団体が絡んだ反社会系の組織と都議会の誰かが関係しているという話が出てくれば、一挙に四課と二課の合同捜査といった形になってくる。
そうすれば、完全に警視庁がすべてを担当することになりますよね。こういうことになれば、ほぼ小池さんの思惑どおりになりますよ。
■着実に足場を固めている
佐藤: 小池さんはかつて、こういうすごい戦いをしたことがあるんです。防衛省のドンと言われ、組織のすべてを完全に押えていた守屋武昌さんという人が過去にいたんですね。この守屋さんがある会社と癒着しているということを見つけて、追い出したんですから。
ウィキリークスでアメリカの秘密電報が漏れたことがありましたよね。「モリヤ、近く捕まるから」とアメリカ人に話しているんです。そうやってアメリカのほうから雰囲気を臭わせてくる。
仮に今、小池さんからターゲットにされている人がいれば、ジワジワと包囲網が迫り、守屋さんと同じ運命を辿るんじゃないか、と考えています。
砂山: なるほど。いわゆる伏魔殿というものが明らかになっていく。
佐藤: 伏魔殿には伏魔殿の争い方があります。味方をつくらなくてはいけないんです。伏魔殿にいて、魔王と一緒に仕事をした人のなかから、裏切り者を早く出すやり方です。
スターリン時代のソ連では「告発者は告発されず」という言い方があったんですね。「あいつはこんなに悪いんです」と早く石を投げる。「心ならず、協力していました」と言えばその本人は大丈夫なんです。
「心ならず、鈴木宗男に協力せざるを得ませんでした」と、いつもは「先生、先生」と秘密電報を持って行ったような人がコロッと寝返る。これと同じことが都庁や都議会でも起き始めているのではないか、と私は見ています。
砂山: そういうふうに、小池さんの思いどおりになっていく。
佐藤: 豊洲の盛り土問題もコンクリートの構造物の問題も、小池さんがリオにいる時に起きました。こんな問題が起これば、通常は慌てて帰ってきますよ。帰ってこなかったということは、彼女は知っていたということです。
ほとんどの人は、小池さんが東京にいない間に自然発生的に問題が沸いてきたと思いますよね。でも今は携帯電話でいくらでも遠隔操作ができる時代です。しかし、ぶら下がりの記者はリオにまでは来ず、周辺にいるのは運動部の記者ばかりです。
記者は縦割りですから、周りにいる人たちに社会部的関心はありません。となると、自分が仕掛けているわけではない、何か情報を流しているわけではない、という印象の流れをつくれる。これは推定ですが、あの時期に外国にいたというのはすごくうまいやり方です。
小池さんは自分自身の支持基盤がないところで、着実に一歩ずつ足場を固めている。だから私は、ポスト安倍として小池さんが半年後に頭角を現す可能性があると見ています。
特にトランプ大統領が誕生すれば、日本は小池さんか、橋下さんか、ということに徐々になってくると考えているんです。
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」(2016年10月6日配信)より
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