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森喜朗公式サイトより
東京五輪3兆円超えの戦犯・森喜朗のもうひとつの疑惑! 五輪の裏でゼネコン、電通と「神宮外苑再開発」利権
http://lite-ra.com/2016/10/post-2601.html
2016.10.04. 五輪3兆円超え戦犯・森喜朗の重大疑惑 リテラ
先月28日に東京都の調査チームが2020年東京五輪の開催費用について「3兆円を超す可能性がある」と公表した。東京招致の際には施設工事費は約7000億円と発表されていたから、じつに約4倍も跳ね上がっている。そうしたなかで小池百合子知事は「海の森水上競技場」「有明アリーナ」「オリンピック・アクアティクスセンター」の3施設の建設中止を含めた検討に入るという。
この方針に予想通り噛みついたのは、大会組織委員会の森喜朗会長だ。森会長は「それぞれの施設には作る理由がある」「本当に都が見直しをするなら大変なことになる」などと猛反発。無論、森会長が施設建設に難色を示すのには、五輪とはまったく関係のない理由があってのことだ。
たとえば、今回調査チームに建設見直しを指摘された「海の森水上競技場」は、大成建設のジョイントベンチャー(JV)が落札率99.99%にあたる約249億円で落札している。そして、新国立競技場問題から囁かれてきたように、大成建設と森会長は“深い関係”にあると見られてきた。
実際、「週刊文春」(文藝春秋)9月15日号では、森事務所で資金集めを行っていたという元関係者が「多くのゼネコンとお付き合いがありましたが、最も近いのが大成」「特に、森氏の元金庫番と大成の幹部とはズブズブと言っていいほどの親しい関係」と証言。森氏の後援会機関誌「春風」では1ページあたり100万円の広告料として受け取っていたというが、この元関係者は「大成には、春風にたびたび広告を出してもらい、見開きの広告をもらったこともあったと記憶しています」と述べている。
しかも、大成建設は、ザハ・ハディド案および白紙撤回後の隈研吾案でも新国立競技場の受注に成功している。安保法制の影響で免れない支持率低下を食い止めるためにザハ案を白紙撤回した安倍首相に、森氏は「業者のことも考えてほしい」と止めに入ったというが、このように森氏の態度はあまりに露骨なものだ。
だが、じつはこうした五輪の施設建設に絡んだ森氏の疑惑にはもっと重大なものがあった。それは、東京五輪招致、新国立競技場建設にともなう「神宮外苑地区の再開発」への暗躍だ。
そもそも、東京都が2020年の前、2016年五輪の招致に動いた際、石原慎太郎都知事はメインスタジアムを神宮外苑地区にある国立競技場ではなくバブル期の臨海副都心構想の失敗で放置状態だった中央区の晴海に新たに建設するとしていた。それは風致・文教地区などに指定され、都市計画公園の建築許可などが必要な神宮外苑一帯では、高さ15メートル制限の厳しい建築制限がしかれており、新国立競技場のような高層建築は条例に引っかかるものだったからだ
しかし、東京五輪決定の2年前にあたる2011年、「ラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟」は、国立競技場を8万人規模に改築する案と神宮外苑地区の都市計画再整備を求める決議案を提出。さらに翌年、新国立競技場の建設が決定し、それを前提に2020年東京五輪の招致活動が始まった。
すると、13年に東京都は建物の高さ制限をそれまでの15メートルから最大80メートルにまで緩和。15年には、東京都とJSC、明治神宮、高度技術社会推進協会、伊藤忠商事、日本オラクル、三井不動産が「神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書」を締結。高層ビル建設を含む神宮外苑地区の本格的な再開発に踏み出した。
そして、この再開発計画こそ、森が東京五輪誘致、新国立競技場建設にこだわった最大の目的だったのではないかと言われているのだ。
新国立競技場を核とする神宮外苑再開発計画は、いまから10年以上前にすでにもちあがっていた。04年6月、あの巨大広告代理店・電通が「GAIEN PROJECT「21世紀の杜」企画提案書」なる企画書を作成して、ゼネコンや都庁、政界関係者などに持ち込んでいたことがわかっている。
この問題を報じた当時の「週刊金曜日」2005年3月18日号によると、企画書にはこんな文言が躍っていたという。
〈「最近の再開発はビルは高いが志が低い」とお嘆きの諸兄に 東京のド真中から 日本を変える 都志再開発のすすめ〉〈新しきビジネスモデルの原型は、故き神社の縁起にあり〉(原文ママ)
再開発の企画書とは思えない文言が躍っているが、これには理由があった。この企画書には、外苑誕生100周年と東京五輪招致を組み合わせて、神宮球場をドームにする計画などの明治神宮が所有する土地を含む神宮外苑の再開発プランが示されていた。その上、こうしたプランと申し合わせるかのように、明治神宮は財産処分に口を出すことができる神社本庁を04年7月に離脱していた。このとき明治神宮の進退を決める総代会で総代を務めていたのは、石原慎太郎だ。
実際、この問題に注目した「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)15年10月3日号の記事では、当時の明治神宮側の目論見について、こう記している。
〈当時、ドーム化に要する費用は300億円と見積もられたが、神宮単体でこれほどの資金は用意できない。そこで、100億円は神宮所有の総合宴会場、明治記念館が捻出。もう100億円は国費で、残り100億円を民間投資で賄う計画が立てられていた。この民間投資の呼び水として、大手広告代理店(引用者注・電通のこと)を使った神宮外苑再開発プロジェクトがぶち上げられたという〉
ようするに、招致活動で2億3千万円もの裏金ばらまきをはじめ、東京五輪をめぐるさまざまな疑惑に関わっているとされる巨大広告代理店が、明治神宮と組んで、東京五輪招致を大義名分に神宮外苑再開発にもからんでいたのだ。
しかも、この企画にはさらに元があった。それは、電通の企画提案書が作成される1年前、JEM・PFI共同機構というゼネコンなどが加盟する団体が提案した「東京都防災まちづくり計画事業提案書」だ。この計画は、神宮外苑を防災拠点とするという名目で高層マンション建設を提言するもので、電通の「GAIEN PROJECT」はこの計画を発展させたものだと思われる。
しかし、問題はこれを作成したJEM・PFI共同機構の正体だ。まったく聞きなれない名前の団体だが、この団体の代表は、米田勝安氏(故人)といって、森喜朗会長の親友と言われていた人物だ。
「米田氏は不動産フィクサーとして一部では名の知られた人物でしたが、森氏とは早稲田大学雄弁会時代からの親友で、森氏の結婚式では司会を務めたこともあるほどの仲だったようです」(週刊誌記者)
また、米田氏は名門神社の家系で、各神社に太いパイプをもっていた。ルポライターの古川琢也氏が「ZAITEN」(財界展望新社)に発表した記事によれば、米田氏は江戸時代後期の国学者・平田篤胤を祀った平田神社の宗家6代目当主。過去には「山王パークタワー」の開発にからんで日枝神社の代理人とビル地権者と間に入って交渉をまとめたこともあるという。
ここまでくればもうおわかりだろう。この神宮外苑再開発はもともと、明治神宮に太いパイプをもつ米田氏が立ちあげ、森会長が米田氏の協力依頼を受けて電通やゼネコンを巻き込んで本格的なプロジェクトに発展させていったと考えられるのだ。
JEM・PFI共同機構の構成幹事会社には、森氏と関係が深い大成建設をはじめとする大手ゼネコンなども名を連ねていたという(「週刊金曜日」07年3月16日号)が、もちろん森会長の狙いは、再開発にからむ建設利権だろう。
そして、その後の経緯を見ていると、東京五輪やラグビーW杯は、むしろこの再開発計画のために、ぶちあげたものではないかという気さえしてくる。
事実、その後も、森氏は一貫して国立競技場の改修および神宮外苑地区の再開発を訴えてきた。たとえば前述した16年五輪招致にあたっては、森氏が石原氏に対して「国立競技場や岸記念体育館の建て替えが、政治家の私が(日本体育協会の)会長になった意味。東京に五輪が来れば、全部できる」と話して東京への五輪招致を焚きつけたと報じられた。これは、五輪はいわば言い訳に過ぎず、新競技場や関係施設の建築や再開発こそが目的ともいえる発言である。
実際に日本オリンピック委員会(JOC)が国内候補地を福岡ではなく東京に選んだのは、JOC本部がある東京・渋谷区の岸記念体育館を高層化するというJOC側からの条件を東京都が呑んだ結果だとも言われている
また、明治神宮の総代として神宮外苑再開発に関わっていると見られている石原氏にしても、森氏と同じように再開発にからんで名前が上がる大手ゼネコンの鹿島建設との癒着が取り沙汰されている。そういう点でも、森氏と石原氏に意見の相違はなかったのだろう。現に05年10月16日にふたりが行った会談では「大がかりな再開発が不可欠」とふたり揃って指摘し、同28日には東京都による神宮外苑地区を含む1兆円規模の大開発構想案が新聞に躍った。そこには、電通の企画書と同様に神宮球場のドーム化も明記されている。
さらに、規制の壁を越えられず16年五輪招致のメイン会場が晴海案となっても、森元首相はラグビーW杯日本開催にかこつけて「ラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟」として11年に国立競技場の8万人規模のスタジアムに改築と神宮外苑地区の再開発を決議。12年2月には石原都知事も同じように競技場を8万人収容のスタジアムに全面建て替えする構想をぶち上げた。
そして、決定打となったのは同年4月に開かれた新国立競技場の有識者会議で飛び出した、「再開発等促進区」の提案だ。この「再開発等促進区」というのは、それまでの高さ15メートルまでという制限を75メートルに引き上げるように提言するものだった。この制度を提案したのは、東京都の都市整備局技監だった安井順一氏。じつはこの安井氏は森氏との関係が取り沙汰されている都議会のドン・内田茂都議とも親密であるといい、昨年には〈都知事、副都知事に次ぐナンバー3の都技監に昇進〉している人物だ(前出「週刊ダイヤモンド」)。
さらには、この「再開発等促進区」の提案と同時期にあたる12年7月に発表されたJSCによる新国立競技場のデザインコンペ募集要項では、高さについて〈h=70m〉と記されていた。つまり、当時はまだ15メートルまでという規制があったにもかかわらず、それに違反する高さをJSCはすでに設定していたのだ。
その後、13年に東京都は建物の高さ制限を75メートルから80メートルにまで緩和。15年には、前述のように、神宮外苑地区の本格的な再開発に踏み出したのだ。
この規制緩和の裏についてもさまざまな疑惑がささやかれており、さらなる取材は必要だが、いずれにしても、この神宮外苑地区再開発もまた、森会長と親しいゼネコンが建設を受注する可能性はかなり高い。
東京五輪開催という祝祭ムードの陰で、森・石原という政治家とゼネコン、明治神宮、伊藤忠、三井不動産などの土地所有者たちの思惑が一致し、強行されてしまった神宮外苑再開発。一方、地元では、新国立競技場の改築のために都営霞ヶ丘アパートでは住人への強引な立ち退きや行われ、再開発地となった明治公園の野宿者の追い出しがいまも行われている。
3施設の建設中止ぐらいではけっして取り除かれない、五輪利権への不信感。そしてこれは築地市場移転とも通底する問題だ。はたして、小池都知事は五輪開催を口実に反対住民を無視して推し進めた神宮外苑再開発をどう考えるのか。この問題にメスを入れなければ、本当の「都民ファースト」とは言えないだろう。
(編集部)
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