豊洲市場「空洞」騒動の真実 _ なぜ、デマやウソが阿修羅掲示板を席巻してしまうのか? 【藤井聡】なぜ、デマやウソが世論を席巻してしまうのか? 〜 豊洲市場「空洞」騒動の真実〜 2016/09/21
FROM 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授) 豊洲市場の「空洞」騒動は、未だに一日中テレビ、新聞を賑わせています。 これまでの主な「テレビ」ならびに「新聞」の論調は、おおよそ次の様な雰囲気でした。 「盛り土手抜きなんて。」「ポッカリ開いた不信の洞穴。」(毎日新聞) http://mainichi.jp/articles/20160913/dde/001/070/057000c 「盛り土にうそ」(NHK) http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2016_0914_2.html 「消えた「盛り土」」(中国新聞) http://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=282518&comment_sub_id=0&category_id=142 「封鎖不可避」「汚染水まみれ」(日刊ゲンダイ) http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/189919 要するに、「ウソ」をついて「手抜き」をして、結果「汚染塗れ」になって「閉鎖不可避だ」というのが、メディア上の論調だったのです(テレビはより、ストレートなものでしたでしょう)。 しかし、今、少し雰囲気が変わってきているようです。 事実1:たまり水は「ヒ素は検出されたが、70年間毎日2リットル飲み続けた場合でも健康に影響がないとみなせる環境基準は下回っている」ものだった。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB16HFK_W6A910C1EA1000/
事実2:地下の「空洞」「空間」は、万一の対策のため、だった。 http://mainichi.jp/articles/20160918/k00/00m/040/105000c 事実3:地下空間を設ける方が、盛土構造より、コストがかかるものだった。 http://digital.asahi.com/articles/ASJ9L6QYMJ9LUTIL01L.html?rm=364 http://mainichi.jp/articles/20160918/k00/00m/040/105000c 事実4:「技術系職員は全て地下空間の存在を知っており、通称で呼んでいた」(通称=モニタリング空間) しかも、「技術系職員だけでなく、部局トップが空間の存在を知らないということはないはず」のものであった。 http://digital.asahi.com/articles/ASJ9L6QYMJ9LUTIL01L.html?rm=364 上記は毎日新聞と朝日新聞の記事で報道されたものです。
つまり、地下の「空洞」は「ウソ」や「手抜き」で作られたものでもなく、「汚染塗れ」でもなんでもない、という事が、朝日・毎日の報道で明らかにされているわけです。 その空洞は、技術的には「地下ピット」と呼ばれる極めて一般的な空間であり、かつ、それをつくるのには、盛土にするよりもよりコストがかかり、しかも、万一の場合に備えた「モニタリング」のために必要な空間であり、「手抜き」とは到底言えない存在だったわけです。 もちろん、これまでの都の説明がちぐはぐであったり、建物の下も含めて、さながら全て盛土構造にするということを示唆する内容が都の関係者から発言されていたのは事実のようです。 しかし、そうした説明不足や説明の誤りと、「安全か否か」という技術的な問題は全く別次元の問題です。 言うまでも無く、都民の食の安全にとって何よりも大切なのは、それが「安全で、衛生的なのか?」という一点。仮に誤った説明を受けていることが問題だとしても、より安全・衛生にすることを十分説明しないという事と、その逆(つまり、より不衛生にすることを十分説明しないこと)とでは、その道義的な「罪」のレベルは全く違うと言うこともできるでしょう。 つまり、今回の件は、少なくとも当方が公表されている情報を見る限り、 「都の技術者に説明不足があったようだが、 悪意があったというよりは、 より安全で衛生的にするという善意に基づくものだったのではないか」 という風に見えるわけです。 ・・・・ しかし、人間というのは、なかなか冷静にこういう風に物事見ることはできません。 なんと言っても、「ウソ」「手抜き」不振」「汚染水まみれ」等と、一週間にわたって朝から晩までよってたかって悪態をつき続けたのに、よくよく調べたら、本質的には「シロ」だったわけですから、なかなか世論の方も「引っ込み」がつきません。 今、「世論」は、事実が明るみに出るにしたがって、 「気まずい」 思いをしているのであって、出来ることなら、東京都の人たちが、やっぱり「悪人」であって欲しいという欲求を、潜在的に強く持つ心理状況に陥っています。 こうした時、人は、この「気まずさ」を解消するために、バッシング対象の「わずかな瑕疵(ミス)」を血眼になって探しだし、ヒステリックにそれを責め立てるという行為に及ぶことになります。 一般的にこうした心理学的現象は、フェスティンガーという社会心理学者の古典的理論である「認知的不協和理論」(cognitive dissonance theory)によってきれいに説明することができます。 これは、人間は、「不協和」な関係にある(つまり、整合していない)認識(認知)を複数持っていれば、その不協和を解消するように動機づけられる、という理論です。 今回の場合は、 認知A:東京都はワルイはずだ! 認知B:東京都が移転先に決めた豊洲は、不衛生的だ! という2つの認知は全て「協和」します。 その結果、「東京都に悪態をつく」という自らの行為は「正当化」されます。 しかし、この認知Aは、次の認知B’とは、全く協和(整合)しません。 認知B’:東京都が市場移転先に決定した豊洲は、やっぱり衛生的だった。 この認知B’は、東京都が悪いはずだ、という「認知A」と不協和であり、したがって、「東京都に悪態をつき続ける」という自らの行為が『正当化』できなくなってしまうのです! つまり、認知B’が正しければ、東京都はワルイ奴ではないし、そんなワルイ奴じゃない東京都に悪態をつき続ける私たちは、実はワルイ人なんじゃないか――という、不安に駆られてしまうことになります。 この時、認知的不協和理論は、次の様に「予測」します。 「人間は、現存する『不協和』を解消できるように、一生懸命工夫して、その『不協和を解消』しようと努める」 さて、この認知Aと認知B’の『不協和を解消』するには、いくつかのパターンがあります。以下、いくつか代表的な「対策」、というか、ありていに言えば、 「ごまかし方」 を列挙しましょう。 対応1(ごまかし方1):認知B’がなかったことにする (一番シンプルなのは、「豊洲は安全」と言っている言葉を「忘れ」たり「聞いてなかったこと」にしたりする一方、「豊洲は危険!」という意見ばかりを無理やり探して、くり返し耳にして安心する、というパターン) 対応2(ごまかし方2):認知B’を主張している人が、邪悪な奴だと決めつける (この場合は、「豊洲は安全だ」と言っている京大藤井等が「邪悪な奴だ」「どうせ、土建屋の回し者だ」「どうせ、東京都と裏でつるんでるんだろ」「あいつは、この問題について専門でも何でもないのに勝手な事を言ってるだけだ!」等と決めつける、というパターン) 対策3:認知B’は認めるとしても、それとは別の認知Cを信ずる(例えば、「豊洲が衛生的かどうかなんて関係ないよ! 問題は東京都が事前にそれを説明しなかったことだ! それは、とんでもない悪いことなんだ!」ということにしてしまったり、実際には安全性にほとんど関係ないデータを無理やり持ち出し、「やっぱ危険だったじゃないか!」とやってしまう、というパターンです) 理論的には、今、東京都を豊洲問題について徹底的に批判し続けてきた人々やメディア関係者は、上記の対応1、2、3をやりたくてやりたくてうずうずしている……という状況に置かれているのです。 そして、(実際、豊洲が危ない、という決定的な証拠が出てくれば別ですが)安全だという認知B’の説得力が高く、「対策1」をとりずらくなればなるほど、人はみな、 対策2:豊洲が安全だと言ってるやつは、邪悪な奴だ! と思い「たく」なってしまうのであり、それすら困難になってしまえば、最終的には、 対策3:安全かどうかなんて、関係ない、手続きが最初から問題だったんだ! という「ごまかし」をしてしまうように「動機づけられて」しまうのです。 したがって、これから、世論は、 「対策3:手続きが最初から問題だったんだ!」 という東京と批判に収斂していくであろうことが、認知的不協和理論から予測されることになります。 。。。。。さて、これから、事態はどのように進展するのでしょうか。。。。? 是非、皆さんも冷静沈着な「社会心理学」の目線で、ことの推移をウォッチいただければと思います。 ・・・・ ところで、なぜ、今回のこの様な不条理極まり無い「豊洲が危ない」というデマを導く、 認知A:東京都はワルイはずだ! 認知B:東京都が移転先に決めた豊洲は、不衛生的だ! という「2つの認知」が、人々に共有されていたのでしょうか? これもまた、認知的不協和理論に視点から、次の様に説明できます。 1.東京都民は、東京都知事選で、小池知事を選んでしまった。 2.そして、自分達が選んだ小池知事(都議会)は、東京都と対立している。だから人々は、小池知事を選んだ自分たちを正当化する(=認知的不協和を低減する)ために、「東京都はワルイはずだ(認知A)」と思いたい、という欲求を潜在的に持っている。 3.一方、自分達が選んだ小池知事は、豊洲移転を「延期」といった。だから人々は、小池知事を選んだ自分達を正当kする(=認知的不協和を低減する)ために、「豊洲は不衛生的だ」(認知B)と思いたい、という欲求を潜在的に持っている。 。。。。以上、ご理解いただけましたでしょうか? 要するに人々は、いいか悪かわからないうちに選んじゃった小池知事をイイ人にし、それを選んだ自分たちもイイ人にするために、小池知事の判断をサポートする認知(東京都は悪い&豊洲は不衛生)を形成するように「動機づけられて」しまっているのです! ・・・以上、少々ややこしいお話しでしたが、お判りいただきましたでしょうか? いろいろとお話ししましたが、要するに、人間の判断なんて時に、全く合理的でも理性的でもなく、感情や欲求にゆがめにゆがめられてしまうものなのだ——ということでありました。 皆さんも是非、そういう「真実」を理解いただいた上で、可能な限り理性的な政治的判断を下していただきますよう、お心がけください。 http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/09/21/fujii-215/ 2016年09月20日 豊洲の水溜りはただの水だった 豊洲の辺野古化
言動が鳩山元首相や翁長沖縄知事とそっくりな小池東京都知事 引用:http://www.sankei.com/photo/images/news/160816/sty1608160021-p1.jpg
水溜りに大騒ぎ 築地魚市場の移転先である豊洲市場が、沖縄の辺野古基地とそっくりな展開になってきている。 辺野古問題を引き起こしたのは2009年に総理大臣になった鳩山由紀夫氏で、日本から在日米軍を撤退させると言って、辺野古移設中止を表明した。 豊洲問題を引き起こしたのは東京都知事の小池百合子氏で、当選早々に2ヵ月後に決まっていた移転中止を表明した。 鳩山首相はサンゴとかジュゴンの保護とか、次々に理由を変えては中止の理論付けをしていました。 小池知事は土壌汚染の疑いがあるとして中止させたが、今のところ調査しても何も出て来ていない。 汚染水が見つかったと大騒ぎした建物下の水溜りは、成分を調べたところ、ただの水だったようです。 報道された「汚染水」の成分は東京都の水道水や、清涼飲料水と、有害物質の含有量は変わらなかった。
小池知事が問題にしたのは建物下に盛り土がなかった点で、委員会の提言や職員の説明と食い違っていた。 その後の報道によると、建物下に盛り土をしなかったのは石原慎太郎都知事の了承を得ていて、手続き上の問題はなかった。 「水溜りの水に基準値の4割のヒ素が発見された!」とマスコミは大喜びで報道していたが、市販の飲料水と同じレベルだった。
水がアルカリ性だったとか六価クロムが見つかったとも言っていたが、そのまま東京都の水道水にしても問題ないレベルだった。 微量の化学物質は建物のコンクリートから自然に染み出したもので、水そのものに問題はなかった。 つまり何も出なかったのだった。 汚染がないのが不満な小池知事
あれだけ大騒ぎしたマスコミと小池知事は、水溜りがただの水だったと分かると、今度は別な「移転しない理由」を探し始めた。 今度は「汚染がなくても説明と違っている」と言い出して、説明とか手続きを問題にしはじめた。 職員による住民への説明と違っているとか、有識者会議の提言どうりにしなかったから移転しないと言っている。 有識者会議や専門会議は助言をするための会議で、助言を聞いてどうするかは役所や議会が判断する事です。
こういう事は福島原発事故でも起きていて、「日本政府は有識者会議の提言に従っていない」とマスコミは大騒ぎしました。 いうまでもなく日本政府が上であって、有識者会議や専門家の審議会は、ただの参考人に過ぎません。 そして小池知事が問題視している盛り土ですが、石原元知事側によると、盛り土によって新たな汚染の懸念があった。
盛り土にどこの土を使うか分からないが、どこかか出た残土だろうから、安全だという保証は何も無い。 訳の分からない場所から持ってきた土を盛るよりは、建物の床のコンクリートで塞いでしまおうという議論になった。 もうひとつ盛り土には予算の問題があって、建物下にすべて盛り土をすると1500億円多くかかったと報道されている。
東京五輪に使う国立競技場の当初費用が2520億円だったのを1490億円に減らしたのは記憶に新しい。 必要かどうか分からない盛り土のために1500億円使うのを、恐らく石原都知事は疑問に思ったでしょう。 その代わり、建物の下は分厚いコンクリートで塞がれるのだから必要ない、こういう事だったようです。
汚染物質は発見されず、地下に存在するとしてもコンクリートで仕切られていて、地表に出てくる恐れはとりあえず無い。 汚染がないのが不満なのか、汚染があったら嬉しいのか、小池知事とマスコミの言い分はさっぱり分からない。 まるで「中国軍に占領してもらい日本軍を追い出そう」と言っている沖縄の知事と同じではないか。 http://thutmose.blog.jp/archives/66004413.html 2016年09月28日 豊洲問題に飽きてきた都民 都政ほったらかしの小池都知事
学生時代からずっと、ブームに乗っては途中で放り出して、次のブームに乗って来た。 引用:http://rpr.c.yimg.jp/im_siggu94FUcbNqGXX6DWnm0SDPg---x800-n1/amd/20160827-00061576-roupeiro-000-3-view.jpg 掘っても何も出てこない「土壌汚染」
小池東京都知事が就任したのは8月2日だが、以来豊洲の盛り土だけに掛かりっきりで、他に何もしていない。 豊洲移転が中断した事で東京五輪の準備も中断し、最悪の場合一部競技や施設、交通網に支障が出るかも知れない。 その豊洲だが移転を中止させて調べた結果、今までに何も検出されていない。 建物地下の水溜りは「高濃度汚染水だ」と大騒ぎしたが、ただの水以上のものではなかった。 地下から湧き出た地下水で、豊洲以外の地下水の水と成分はあまり違わなかった。 検出された化学成分はどれも基準値以下で、建物のコンクリートや建設工事で染み出たと推測されている。 肝心の盛り土は小池知事自らが人選した専門家会議から「盛り土はしない方が良い」と否定されてしまっている。
建物地下ががらんどうになっているのは重機を入れたり、将来汚染物質が染み出したときに対策しやすくするためと判明している。 そこに数メートルの盛り土をしても、化学現象として地下の水は地上に染み出すので、対策の意味を成さない。 例えば庭の5メートル地下に毒を含んだ土があり、上に土を被せても雨が降れば水が染み出すので対策にならない。
それよりは地下を空洞にしておいて、地表はコンクリートで塞ぐほうが、気が利いている。 それに肝心な事は、問題の汚染物質は既に除去されていて、問題はないと結論付けられている。 問題が出てこないとあら捜し
空洞は適切な対策で、盛り土をすると却って悪化させるからしなかった、地下水に汚染は(今のところ)発見されなかった。 では小池知事が何を問題にしているのかが、さっぱり分からなくなってきている。 専門者会議に石原慎太郎知事が従わなかったと言うが、専門家会議は提言をするので、それを元に決定するのは知事の役割りです。 安倍首相が召集した専門家会議は、憲法を改正しろとかするなとか騒がしいが、取り上げるか取り上げないかは首相が決めることです。
説明では盛り土をすると言っていたのにしなかったのは、確かに悪いがそれは説明が悪いので、盛り土に問題はなかった。 沖縄では「米軍基地絶対反対」と騒ぐ連中がいるが、あんな連中にいちいち詳細な説明をしたら、混乱を招くだけです。 豊洲移転絶対反対を唱える市民団体には、適当な説明をして早期移転を図ったのは止むを得ない。
聞く耳を持たずに騒いで政治利用するだけの「市民」を相手にする事はできないからです。 それでは何が問題なのかというと、小池知事は今度は「手続き」が問題だと言い始めた。 汚染は出ない、地下水はきれいだった、空洞は必要だった、盛り土はしないほうが技術的によかった。
だから今度は承認手続きが問題だと言い始めたところで、まるで民主党政権とそっくりだと気がつく所です。 民主党政権は色々と理由を変えては「資本主義」「自衛隊」「日米同盟」を廃止したり解消しようとしました。 途中で放り投げる癖がある小池知事
最初は国民のためとか市民のためと言っていたが、反対すべき理由を全て論破されると、今度は手続きを問題にしていた。 小池百合子氏が知事になるまでの経歴を見ると、ある異常な事に気づかざるを得ない。 関西学院大学社会学部を5ヶ月で中退、カイロ大学卒、通訳、ニュースキャスターと職を変えた後、日本新党で初当選した。 日本新党、新進党、自由党、保守党、保守クラブ、自民党と政党を移り、現在は無所属になって「小池党」を旗揚げすると言っている。
何かを成し遂げたり、最後までやり遂げた事が一回もなく、必ず途中で放り投げて、もっと条件が良いほうに移っている。 こうした渡り鳥は政界に結構いるが、周囲の評判が悪い人ばかりです。 こうした過去の実績を考慮すると、本当に豊洲や東京都民のためにやっているのではなく「都民のため」と言えば受けるから言っているのではないかと受け取れる。
猪瀬、舛添に続いて都民はまた「ハズレくじ」を選んだ気がしてしかたがない。 http://thutmose.blog.jp/archives/66191477.html ベンゼンやヒ素が出た豊洲市場は危険なのか 報道から受ける印象と異なる実態 BuzzFeed Japan 10月1日 「盛り土がされていない」「土壌汚染対策は十分なのか」と注目が集まる豊洲市場。9月29日には、敷地内の地下水のベンゼンやヒ素の値が「環境基準」をわずかに上回ったという調査結果も発表された。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】 メディアの報道には「汚染水」「危険物質」の文字が躍る。豊洲市場は、本当に安全なのか。不安に思う人が多いだろう。 しかし、専門家たちに取材すると、違う側面が見えてくる。 . 地下水は安全なのか? 今回問題になった「環境基準」は、飲料水として飲めるのかどうか、環境省が定めている値だ。 「そもそも、あの地下水を飲むわけではないし、市場で使うわけでもないのだから、危険か安全かの議論で言えば、安全であると言えます」 環境リスクマネージメントを専門とする横浜国立大名誉教授の浦野紘平さんは、BuzzFeed Newsの取材にこう語る。 「飲み水ではない地下水から、環境基準以上の数値が出ることは頻繁にある。『排水基準』を満たしていれば、河川などに流しても問題はありません」 「排水基準」とは、工場などの設備から排出された水に求められている基準値だ。環境基準のおよそ10倍がその指標で、これを満たしていれば、その排水は外部に流しても良いことになる。 浦野さんが指摘するように、豊洲市場では地下水を使うことはない。ただ、念には念を入れて、建物下の地下水を環境基準以下に、建物外では排水基準以下にし、処理したうえで将来的に環境基準以下にすることを目指している。 9月29日に、ベンゼンとヒ素の値が環境基準を超えているとわかったのは、建物下の地下水ではなく、屋外の観測井戸から見つかったものだった。 東京都議の音喜多駿議員はこの点について、自身のブログでこう指摘している。 ”そもそも専門家会議では、建物下以外の地下水浄化は「環境基準の10倍以下(飲料基準ではなく、排出基準)」を目指すと提言していた” ”環境基準値の10倍以下(排出基準)+地下水管理システム+盛土で、専門家会議は「安全」と結論している” ”そして今回、環境基準値を上回った地点は、建物・地下ピットの下ではなく「盛土」の下、つまり排出基準を目指していた地点である” つまり、今回、「環境基準」をわずかに上回るベンゼンなどが検出されたことは、もともとの想定と照らし合わせても問題がない、という指摘だ。 建物の下から見つかった地下水は?
では、建物の下、本来は盛り土されるはずだった「地下空間」に溜まっていた水はどうなのか。浦野さんはこれも「本質的には安全です」という。 各調査結果を見ると、ヒ素や六価クロムは環境基準値を下回っている。シアン化合物や鉛も検出されたが、いずれも、ほとんど不検出とみなされる値だった。 共産党都議団の発表にならい、「ヒ素が環境基準値の4割検出された」という新聞やテレビ報道もあった。このような表現に浦野さんは批判的だ。 「自然界にもヒ素はあります。過度に危険をあおる言い方で流しているように思います」 一方で、地下水から気化したベンゼンの危険性を指摘する声もある。それについてはどうか。 「仮にベンゼンが地上に出ても、風などによってすぐ希釈されるため、食品に影響を及ぼすほどの危険性はない。都議から依頼されて調べた地下水からはアンモニアも見つかりましたが、これも同じ。ただ、市場周辺の大気が汚れていないか測定、監視し続けることは大切です」 . ベンゼンやヒ素が出た豊洲市場は危険なのか 報道から受ける印象と異なる実態 地下の「モニタリング空間」
地下空間は当たり前の存在
では、「地下空間」があること自体は、危険ではないのか? 9月30日に発表された報告書では、この空間は万が一汚染があったときに作業をしたり、普段から地下水の汚染をモニタリングしたりする場所だった、とされている。 「そもそも、どんな建物であっても、その下に空間が必要とされているのは、技術者としてみれば当たり前の話」 そうBuzzFeed Newsの取材に語るのは、東京電機大学非常勤講師もつとめる建築家の片山惠仁さんだ。 「地下ピット」と呼ばれるこうした空間は、配管のメンテナンスのためにマンションなどにも設けられる、一般的な空間だ。報告書でもこの点について「地盤を掘り下げてピットを設け、各種ライフラインを設置・管理することは基本的な措置」と触れられている。 「あらゆる機械は、壊れたときのために分解できるように作られていますよね。それと同じように、将来的に何かがあったときのため、建物の下に広めの作業空間を用意することは、技術者としては極めて真面目な態度だとも思います」 「耐震性を下げる」との指摘もあるが、それは大丈夫なのか。 「建物は杭で支えられているため、地下ピットがその耐震性を下げるということはありません。耐震性の心配をするのなら、むしろ老朽化が進む築地市場からいち早く出るべきでしょう」 ベンゼンが空間に溜まってしまうとの指摘については? 「建物内は常に外気を取り入れて換気される設計になっているので、地下からの影響よりも、外気の影響をはるかに大きく受けるはずです。害がないというわけではありませんが、地下のベンゼンよりも、周辺の空気のことが重要に語られるべきではないでしょうか」 都が8月23日から24日にかけて測定したベンゼンの濃度を見ると、室内の値は、市場の沿道と同じか、低いことがわかっている。この数値は、東京の都心部と比べても同様。片山さんの指摘通りだ。 「そもそも、豊洲市場は気温を保つことができる閉鎖型の市場です。汚染が広がらないような区分けもある。トラックの排気ガスなどが敷地内に入る築地市場よりも、衛生的で清潔な建物です」 安全=安心ではない
なぜ、問題はここまで拡大するのか。浦野さんは言う。 「飲まない、使わない水が安全なのか安全ではないのか、飲めるか飲めないかという議論をすること自体、おかしい。しかし、安全と安心は同じものではありません」 どういう意味なのか。 「専門家や技術者は、環境基準値や排水基準値を下回れば、それで良いという。でも、あそこは何十年と、東京の毎日の食事を扱うことになる施設です。市場関係者や都民は、数字上の安全よりも、”安心”できる施設であることを重視します」 「汚染がまた見つかったときのため、安全性を考えてピットを作るのは、技術者としては当たり前だし、慎重で良いことかもしれない。しかし、『また汚染が見つかるかもしれないという考え』自体が、市場関係者や一般の人からするとナンセンスなのです」 とは言え、数字が一人歩きし、不安が不安を呼んでいる。報道が招いた事態とも言えるのではないだろうか。 「安全なのに、安全と理解してもらえない。ただ、なぜそうなったのかが問題です。それは、都がこれまで正しい情報を正直に、オープンに伝えなかったために、信用されていないからでしょう」 「都は都議団の発表や報道に対しても、具体的に反論や説明ができていなかった。担当者が地下ピットの存在や地下水、ベンゼンについての具体的な改善策をしっかりと説明し、理解を求めることが不可欠だったにもかかわらず、です」 都は9月30日の会見でも、地下空間が建物全体に及ぼす危険性について、今回の調査の対象ではないと、明言を避けている。 だからこそ、浦野さんは今回のケースを「リスクコミュニケーションの失敗だった」と評価する。これは、片山さんも同じ意見だ。「今回の問題は、コミュニケーションの問題だった」と。 「専門家の当たり前の知識と、公開されている生情報があれば、こうしたことは十分に理解できる。しかしそれだけではなく、都は、第三者である一般の人たちがきちんと理解し、広がった不安を解消できるように、丁寧に説明をする必要があったのかもしれません」 安心を勝ち取ることは可能なのか 小池知事も9月30日、「安心と安全」を説明する必要性について、こう語っている。 「ヒ素とか聞くと、それだけでも『えっ』とびっくりするわけですが、水の中には環境基準以下で(物質が)入っているケースは非常に多い。要はゼロリスク、ゼロはないのですが、国民の皆さんは敏感に感じ取られる。そこはきっちり説明しないといけない」 「地下水のモニタリングを引き続き行う。その結果は年明けになります。その他の安全性、『地下空間によって耐震性はどうなるのか』なども含め、 安心、安全が科学的に説明でき、皆様に感覚的にも分かってもらえるような、説明の努力をしなければと思う」 では、豊洲市場はいつ開くのか。 「安心、安全の確保なしに市場を開くことはあり得ない。これからもモニタリングを進め、専門家、プロジェクトチームなどの判断を待ちたい」 小池知事自身も語ったように「ゼロリスクはない」。 科学的に安全を説明できたとしても、説明を聞く人の感情が関わる「安心」を勝ち取ることはできるのだろうか。ハードルは高い。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161001-00010000-bfj-soci&p=1 アホの小沢信者は事実を無視して、政府批判できそうな事なら嘘でも大騒ぎするというのが結論
|