http://www.asyura2.com/16/senkyo213/msg/369.html
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転載する記事に、「政府税調が控除見直しの提言を出しては見送られてきた経緯がある。中低所得層は減税になる一方、高所得層が増税になる「勝ち負け」が出るためだ」とあるが、平然とそう書く記者の思いを想像すると吹き出してしまう。
麻生財政大臣も、
「配偶者控除見直し議論 麻生氏「簡単な話ではない」:寝言!低中所得(ほとんどの)世帯は可処分所得が増加」
http://www.asyura2.com/16/senkyo212/msg/864.html
とおかしな説明をしている。
消費税増税に関しては、「財政健全化」や「社会保障充実」を建前として、さあやれと旗振りしてきた政党やメディアが、極一部の高所得者が“増税になるかもしれない”レベルの政策導入に躊躇する姿を見せているのは醜態である。
何より醜悪に見えるのは、新聞社に消費税制度を通じて利益を供与する「軽減税率」(正しくは複数税率)を声高に求めてきた経緯を考えたときである。
ところで、配偶者の所得にかかわらず一定の税額を控除するという「夫婦控除」は、ほんとうに高所得者に対する増税になってしまうものなのだろうか。
まず、今の時代、高所得者でも、配偶者にそれなりの年収があり、「配偶者控除」(38万円の所得控除)の適用を受けられないという人は少なくない。
このような人たちは元々「配偶者控除」がないのだから、「夫婦控除」に年収制限が付かないか制限以下の年収なら、「夫婦控除」の導入で、その税額控除分だけ“減税”になる。
さらに、高所得者で「配偶者控除」の適用を受けている人でも、「配偶者控除」によって差し引かれる税額のマックスは17万1千円(年収では4300万円超のケース)なので、「夫婦控除」に年収制限が付かず「夫婦控除」で差し引かれる税額が17万1千円なら、誰も増税にはならない。
(勤労者の多くが、「配偶者控除」で差し引かれた税額減少は3万8千円〜7万6千円である。所得が少ない人のほうが差し引かれる税額が少なく、高所得者のほうが多いという現実は、「配偶者控除」の趣旨を考えれば異様なのである)
高額所得者に対する増税は行うとしても他のかたちですべきと考えているので、「夫婦控除」の適用に年収制限を設けることに反対だが、仮に「夫婦控除」が適用されない人の年収が1000万円だとすれば、「配偶者控除」で差し引かれてきた人でもその金額8万7千円が増税になってしまうわけだから、年収に対する増税額は0.87%にとどまる。
「夫婦控除」の導入くらいで高所得者の反発を恐れたり、たぶん高所得者に属すると思われる主要メディアの記者がその導入を牽制する記事を書いたりしているようでは、所得税改革はおぼつかない。
「夫婦控除」は、15万円程度(夫婦それぞれに8万円など)の税額控除とし、年収で制限を付けないかたちが望ましい。
※ 関連参照投稿
「「夫婦控除」、18年1月にも 政府・自民検討:所得再分配強化へ舵、配偶者控除の所得控除方式から税額控除方式に転換」
http://www.asyura2.com/16/senkyo212/msg/795.html
「配偶者控除、なぜ見直し=「女性活躍の妨げ」と批判」
http://www.asyura2.com/16/senkyo212/msg/847.html
「<自民税調>配偶者控除見直し、問われる力量:社会保険料(130万円の壁)と違い少ない高額所得者以外は減税になるのに...」
http://www.asyura2.com/16/senkyo213/msg/235.html
「首相、アベノミクスの果実で社会保障充実:13兆円、アベノミクスではなく国際環境で起きた円安の果実だが再分配政策強化要」
http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/665.html
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所得税、抜本改革には壁 部分実施の可能性も
所得税の抜本改革を巡っては、政府税調が控除見直しの提言を出しては見送られてきた経緯がある。中低所得層は減税になる一方、高所得層が増税になる「勝ち負け」が出るためだ。税調の改革案は最大バージョンともいえるものだが、政治日程も不透明で部分実施や先送りされる可能性もある。
学者や経営者を中心に構成する政府税調は税制のあるべき姿を中長期的な観点から議論する。最終的に決めるのはあくまでも与党の税制調査会で、税制改正大綱に向け各省庁や利害団体と調整していく過程で改革の姿は大きく変わりうる。
政府、党双方の税調を舞台回しする財務省としても、時代にそぐわない所得税改革の遅れを指摘されてきただけに改革実現の思いは強い。
だが、昨年は消費税の軽減税率を巡って買い物の後に軽減税額を還付する財務省案を提案し、官邸や公明党から反発を浴びて撤回。混迷を招いたトラウマが消えない。
所得税改革も個人の家族観や世帯によって受け止め方は様々だ。「軽減税率より舞台回しが難しいテーマ」(財務省幹部)。公明党幹部の一人は「有権者が反発すれば選挙への影響も出かねない。今年中に結論を出すという段階には至っていない」と語る。
与党内には安倍晋三首相が年明けにも衆院解散・総選挙に踏み切るのではないかとの観測もあり、もしそうなれば有権者の一部に痛みを強いる所得税改革を始動させるのは難しくなる。
[日経新聞9月17日朝刊P.5]
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控除制度 一定額差し引き税負担軽減
▽…税金を算出する際に、税負担を軽くするため収入から一定額を差し引いて実際の課税所得をはじき出す仕組み。控除項目は基礎控除、配偶者控除など様々だ。所得税で採用している「所得控除」と呼ばれる方式では、例えば基礎控除ならば38万円を所得から差し引いたうえで課税所得を決め、そこに税率をかける。税率は5〜45%の間で7段階で変わる。課税所得が195万円以下の税率は5%だ。このため同じ金額を控除すると、高い税率を適用されている高所得者ほど税の軽減額が増えて有利になるのが特徴だ。
▽…一方で、欧州などが採用している「税額控除」という方式は、一定額を所得から引くのではなく、まず税率をかけて税額を算出しておき、最後に一律の金額を差し引くものだ。所得の多寡にかかわらず軽減額は同じになるため、低所得層の人への恩恵が相対的に大きくなる。納税をしていない人には現金を支給する「給付つき税額控除」という考え方もある。
▽…16年度当初予算の一般会計税収は57.6兆円。所得税収は18兆円で、全体の約3割を占める。所得税は景気回復による所得増などで09年度以降、増加傾向が続いているが、直近のピークだった1991年度の約7割にとどまる。
[日経新聞9月17日朝刊P.3]
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