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政府税調
夫婦控除、年収の線引き焦点 税額控除も検討
毎日新聞2016年9月17日 東京朝刊
2017年度の税制改正を巡る議論は、女性の社会進出にブレーキをかけてきたとの指摘もある配偶者控除の見直しが最大のテーマとなる。政府税制調査会(首相の諮問機関)は、配偶者控除に代わって夫婦を対象にする「夫婦控除」の導入を軸に検討。対象世帯拡大による税収減を防ぐため年収制限を設ける方針で、年収の線引きが焦点だ。低所得層ほど恩恵が大きくなるよう実際に支払う税額から一定額を差し引く税額控除方式に切り替える案も浮上している。【横山三加子】
「高所得者も控除するのは適切か」「税を支払う余裕のある人に負担してもらう方式がいい」。15日に開かれた政府税調の総会では夫婦控除を巡って年収制限の導入などを求める意見が相次いだ。
配偶者控除は、年収103万円以下の配偶者がいる世帯を対象に、世帯主の所得から38万円を差し引いて課税する制度。制度の恩恵を受けるため、妻が年収を103万円に抑えようと勤務時間を調整する一因とされる。
また、年収制限が無く高所得層の恩恵が大きいため「格差拡大の一因」との見方もある。例えば夫の年収が550万円の場合、配偶者控除による減税額は7・2万円程度だが、夫の年収が1200万円だと12・2万円程度の減税となる。
このため政府税調や与党は、夫婦控除に年収制限を設ける方針。また、低所得層ほど減税の恩恵が大きい税額控除方式に切り替える方向で検討している。税負担の不公平感を和らげるとともに、対象者が配偶者控除の約1500万人から約2400万人に大幅拡大することが見込まれるため、税収減を防ぐ狙いもある。今後の議論では年収制限の線引きが課題となる。自民党の茂木敏充政調会長は「800万〜1000万円程度」と制限をかける目安を示した。
総務省の統計によると2人以上の世帯のうち、収入が1000万円以上の世帯は約13%に過ぎない。夫婦控除の年収制限を仮に1000万円とすると恩恵を受ける人が多く、税収としては大幅な減少となる。
一方、年収制限を低く設定すれば夫婦控除の対象とならない増税世帯が増えて反発が強まる可能性もあり、議論は曲折も予想される。
■ことば
税額控除
納税額から一定額を差し引く制度。納税額の多少に関わらず一定額が減税されるため、低所得層ほど恩恵が大きいとされる。カナダなどが個人所得税の算出にあたって税額控除方式を採用している。日本の所得税は、年間所得額から「配偶者控除」などを差し引き、残った金額に税率を掛けて納税額を算出する所得控除方式が基本で、例外的に住宅ローン減税は税額控除方式だ。所得控除は高所得層の恩恵が大きいと指摘される。
http://mainichi.jp/articles/20160917/ddm/008/020/056000c
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