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勝つまでやめない、しかし勝てない 黒田日銀バクチの末路
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/189939
2016年9月15日 日刊ゲンダイ 文字お越し
7カ月ぶりに首相と会談した黒田総裁(C)日刊ゲンダイ
「これ以上、深みに入るのだけはやめて」――経済同友会の小林喜光代表幹事がこう言っていたが、完全に“博打打ち”になってしまった日銀・黒田東彦総裁の耳には届かない。負けが続いても「次なら」とカネを突っ込み、勝負が見えていても「勝てるはずだ」と博打をやめない。3年半前から続くアベクロの異次元緩和は、まさにそれである。
9日、7カ月ぶりに安倍首相と黒田総裁が官邸で会談した。20、21日に開かれる日銀政策決定会合で、異次元緩和の「総括的な検証」をすることから、その打ち合わせだったとみられるが、破綻が明らかな異次元緩和策に、効果的な手だてが見つかるはずがないのは分かりきったこと。いい加減な総括と付け焼き刃の弥縫策になるのだろうと思っていたら、やっぱりその通りで、メディアが14日、「総括」の見通しを報じ始めた。
それによると、ポイントは3つ。@引き続き物価上昇2%を目指すが、2年程度としていた達成期限は撤回A量的緩和から金利操作の重視に転換し、マイナス金利政策の拡大を視野に入れるB国債の買い入れ手法を柔軟化し、超長期の国債の購入を減らし、中短期の購入を拡充――というものだ。黒田自身が5日の講演で、マイナス金利の副作用について踏み込んで発言していたが、超長期の国債利回りが下がり過ぎて、銀行や生保の資金運用に悪影響を与えたことに配慮するのだという。
東短リサーチ・チーフエコノミストの加藤出氏はこう言う。
「検証するというのは、政策が行き詰まってきた証拠です。今までのように“気合”を示しても、2%の物価上昇を短期間に達成するのは難しいことが分かり、『持久戦』へと軌道修正せざるを得なくなってきたということです。
インフレ率が下がってきた中で、打つ手は限られる。国債の買い入れ手法を柔軟化するとしても、買い入れ枠はいずれ限界がくる。ETFも6兆円まで枠を拡大しているので、これ以上は増やせない。消去法でマイナス金利の拡大しかない。今月の決定会合ではやらないのではとみていますが、必要になれば、追加のマイナス金利のカードを切るつもりでしょう」
■奇策を裏ワザでというデタラメ
2年の期限を撤回した上、副作用対策まで考えざるを得なくなった。本来なら黒田は失敗を謝罪して辞任すべきなのだが、本人はいまだ「この枠組み(国債大量購入とマイナス金利の組み合わせ)は極めて強力だ」と強弁しているのだから、どうしようもない。
打つ手のない日銀は、このままだと「外債購入」だってやりかねない。この奇策は、安倍ブレーンの浜田宏一内閣官房参与がロイター通信のインタビューに答える形で言い出した、事実上の円売り・ドル買いだ。G20で「通貨の切り下げ競争」が改めて禁じられたが、「市場に流すお金を増やす新たな一手として、金融政策が目的だとすれば可能」という期待感が一部市場関係者に膨らんでいる。
前出の加藤出氏はこう言う。
「外債購入オペが話題になっていますが、その実現は困難です。『為替介入ではなく金融政策だ』という“裏ワザ”を使えばいいという意見もありますが、そんなことが表の議論になっている段階で、裏口なのがバレてしまっていて、意味がありません。そもそもG7では、金融政策は国内目的のために国内手段で実施されるべきと合意されています。外債購入オペはその合意に反するため、欧米主要国から批判されるでしょう。そうした国際政治上の摩擦を知らない人が言っているんじゃないですか」
黒田がバズーカ砲を逐次投入してきたから、市場は次々緩和を催促し、それに応じなければ株価が上がらないという悪循環。最近は「バースデー緩和」なんて言葉まで囁かれている。安倍の今月21日の誕生日に合わせ、黒田が緩和のプレゼントをするというものだが、いやはや、こんなのは、もはや政策とはいえない。
未来投資会議にまた竹中平蔵(左)/(C)日刊ゲンダイ
企業が儲けるための規制改革で堂々巡り
金融政策が行き詰まっているのをゴマカす目的もあるのだろう。ここへきて安倍政権は、成長戦略に向けた会議を活発化させている。
これまでほとんど成果が出ていないアベノミクス3本目の矢の「規制改革」なのだが、12日には「未来投資会議」と「規制改革推進会議」の2つの会議が始動した。
しかし、メンバーを見るとア然とする。未来投資会議は、以前の「官民対話」と「産業競争力会議」を統合させたものだからと、榊原定征経団連会長や竹中平蔵東洋大教授という代わり映えのない顔ぶれ。規制改革推進会議は議長が大田弘子政策研究大学院大教授で、格差を拡大させた悪名高い「小泉・竹中路線」の申し子である。
こんなメンバーが規制改革に手をつけて、景気が上向くのか。経済評論家の斎藤満氏は否定的だ。
「景気が上向くわけがありませんよ。未来投資会議にしろ規制改革推進会議にしろ、目的は『企業を儲けさせるための改革』であって、国民生活のためではないからです。自ら会長を務めるパソナのために派遣法改正の旗を振ってきた竹中さんや、経済界のトップがメンバーなのですから当然です。企業が利益を得ても、人件費に還元されることなく、むしろ労働者は搾取されてきた。これが第2次安倍政権3年半の現実です。新しい会議といっても同じメンバーで堂々巡り。批判されるから会議の名前だけ変える。その実態は何も変わりません」
2つの会議は、例えば「観光」分野を双方が扱うというし、安倍政権が新たな目玉とする「働き方改革実現会議」とのすみ分けも不透明。“焼き直し”の会議を、ただただ乱立させるのは、アベノミクス失敗を隠すための時間稼ぎでしかない。
■そして、ツケは庶民へ
それでなくても世界経済は、恐慌寸前の惨憺たる状況だ。中国で開催されたG20は、〈その事実を改めて確認させられる場となった〉と本紙コラムで、エコノミストの高橋乗宣氏が嘆いていたが、そんな中で、安倍の無力が際立ったことを次のように書いていた。
〈新しく起こり、勢いが盛んになるという本来の意味での「新興国」は、もはや世界に存在しない。世界経済はグローバル・デフレの時代に突入してしまった。新たな機関車役が現れない限り、グローバル・デフレは払拭できない。グローバル・アベノミクスでは絶対に太刀打ちできない〉
安倍が5月の伊勢志摩サミットに続き、「政策総動員」を各国首脳に呼びかけたことへの強烈な皮肉だ。
無策の無能首相と亡国の日銀総裁が、揃って「道半ば」と掛け声を上げ、破綻した政策に突き進み、国民生活はますます困窮させられる。
「かつて日銀総裁だった福井(俊彦)さんが、こう言っていました。『ゼロ金利にすれば預金者の収入がゼロになる。それが何年も続けば預金者の生活は回らなくなる』。当時、預金金利は年間20兆〜30兆円ありました。今、ゼロ金利政策になって、預金者はその分、増税されたようなものです。それでも日銀は、バカな金融緩和をやめられないから、マイナス金利を拡大するという。銀行は一般預金者の普通預金や定期の金利をマイナスにしにくいので、代わりに預金者から取る手数料を増やすでしょう。そうなると、タンス預金が増えるだけです。将来不安もますます高まり、消費は増えず、物価も上がりません。安倍首相も黒田総裁も、こんな当たり前のことがどうして分からないのでしょうか」(斎藤満氏=前出)
道連れはまっぴらゴメンだ。博打で身を滅ぼすのは、自分だけにしてくれ。
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