http://www.asyura2.com/16/senkyo212/msg/803.html
Tweet |
築地移転と都政の深い「闇」〜1200万人をダマし続けた犯人は誰か こんなに汚染されていたなんて…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49716
2016.9.15 伊藤 博敏 ジャーナリスト 現代ビジネス
■4万3000倍のベンゼンという汚染された土
「なぜ、いつ、誰が専門家会議の提言から逸脱し、盛り土を行わないことを決めたのか。小池(百合子)都知事に、事実解明と公表を求める」
豊洲新市場の主要施設の下で、専門家会議が提言していた盛り土が行われず、コンクリートで覆われた空洞になっていたことを暴露した共産党都議団の尾崎あや子議員は、都庁の会見でこう訴えた。
犯人探しはこれから始まる。
「築地移転」とは、土壌から有害物質のベンゼンが、環境基準の4万3000倍も検出された汚染地の豊洲に、世界ブランドになった魚河岸の「築地」を移転させる話である。
東京都は、誰もが抱く不安を払拭する目的で、土壌改良の専門家集団に諮り、「元の地表から2メートル下までの土地を入れ替え、さらにきれいな土地を2・5メートル分盛ること」という提言を受け、工事を始めたハズだった。現に、今も東京都のホームページでは、盛り土の上の“安全”な施設をアピールしている。
「なぜ、いつ、誰が」を知りたくなるのは、都民に共通の思いである。
しかし、結論から言えば、特定の個人を弾劾はできない。もし、小池都知事が責任者を公表したところで、それは「尻尾切り」に過ぎず、本来、問題にすべきは「ごまかしと隠蔽に走る東京都というシステム」である。
まず、あげるべきは「政」の責任である。
99年4月、東京都知事に初当選した石原慎太郎氏が、最初に手掛けたビッグプロジェクトが築地移転だった。当選直後に築地を視察した石原氏は、「狭い、古い、危ない」と感想を漏らした。
現場での建て替えか湾岸部への移転かを検討していた築地市場再整備協議会は、同年11月、移転の方針を固めるが、その時、既に、意中の移転地は豊洲だった。東京ガスのガス製造工場跡地で、汚染は想定されたが、石原氏の側近の浜渦武生副知事(肩書は当時、以下同)が中心となって東京ガスとの合意に漕ぎ着け、01年12月、豊洲への移転が正式に決定する。
一度、移転が決まれば、ゼネコンなど業界の再開発事業への願望を生み、そこに業界各社の陳情を受ける政治家の思惑が重なって、各種プロジェクトが動き出す。
この後、16年東京五輪誘致(正式表明は05年9月)の動きが始まったこともあって、築地には高層の2棟が建設され五輪メディアセンターとなり五輪後は渋谷のNHKが移転して「放送の街づくり」が行われることになっていた。NHK跡地は、代々木体育館や岸記念体育館などを含む代々木再開発に重なっていた。事業計画の“玉突き”である。
五輪メディアセンターは16年五輪招致の失敗で潰えたが、公共工事に「後戻り」という選択肢はない。移転反対運動を和らげ、説得するために、07年4月、土壌汚染対策のための専門家会議が設置される。
環境水理学の専門家である平田健正・和歌山大システム工学部教授が座長となって、09年7月まで会議を繰り返し、その間には、4万3000倍のベンゼンという度肝を抜く調査結果も判明し、出した結論が汚染土の総撤去と盛り土だった。
専門家会議は、最終報告書を出して活動を終え、都は、08年8月、環境や土木の専門家6名で構成した技術会議を発足させた。都の役人が、この会議に工法変更を諮らず、ごまかす形で進めていたのが主要施設の下を空洞とする設計だった。
■都民1200万人が騙されている
実は、この専門家会議から技術会議への入れ替えに“作為”がある。移転反対運動に関わってきた市場関係者が解説する。
「技術会議で座長を務めた原島(文雄・東京電機大)教授は、ロボット工学が専門で環境問題に詳しいわけではないし、任期中の09年4月に首都大学学長に就任した東京都の利害関係者。他のメンバーも概ねそうで、都の役人にとっては与し易かった」
処理範囲を拡大した専門家会議の最終報告に厳格に沿えば、対策費は1300億円に達する可能性が出ていた。技術会議は09年2月、除去方法を取りまとめ、対策費586億円と発表。これを受けて石原都知事は、「世界に誇る最先端技術を最適に組み合わせて大幅に経費を削減できた」と自賛、14年12月の豊洲新市場開場をぶち上げた。
技術会議のメンバーは、今、「聞いていない」「了承していない」と、答えているが、都の担当者とすれば、対策費の削減と工期の短縮は命題に等しいもので譲れず、技術会議はごまかしが効く相手だった。
盛り土の上に建物があるのと、砕石層の上にあるのとでは、地下水管理が全く違う。どこまでごまかし続けるのか。(図は東京都の「工事概要パンフレット」より抜粋)
拡大画像表示
そのごまかしのまま設計作業を進め、11年6月までには日建設計によって基本設計が作成され、11年8月、3街区に分けて汚染対策工事が入札にかけられる。
その結果、青果棟のある5街区は鹿島JVが119億円で、水産仲卸売場棟の6街区は清水建設JVが334億円で、水産卸売場棟の7街区は大成建設JVが89億円で落札。東日本大震災の直後とあって、人手も機材も資材も足りずに談合が復活。落札率は94%以上だった。
除去工事が進んだ14年2月には施設建設の入札が行われ、汚染対策を請け負ったゼネコンを筆頭するJVが継続受注。5街区が鹿島JVで259億円、6街区が清水建設JVで435億円、7街区が大成建設JVで339億円。落札率はもっと露骨でいずれも99%以上だった。
都民をごまかす盛り土なしの工事を行うのだから、汚染対策と施設建設は連続していた方が、都合いい。ゼネコン側も、都がホームページで示す工法でないのは承知。「官」と「業」が共犯関係となる官製談合だ。
特定の誰かを罪に問うのが難しいというのは、こういう意味である。
石原都知事と業界の意向を汲んで、浜渦氏は築地移転に動いて豊洲に決定。汚染は想像以上だったものの、後戻りはできず、土壌改良工事で対処しようとした。ところが、あまりに費用がかさむので、与し易い技術会議をごまかす形で設計を進めて入札を実施。官製談合によって蓋をした――。
市場関係者はもとより、1200万人の都民を騙す形で6000億円もの巨大で空虚なハコが出来上がり、それに「政官業」の誰もが、少しずつ関わった。責任が分散している分、罪悪感はない。
その象徴が、問題発覚後のテレビ番組で、「騙された。都の役人は腐敗している」と語った石原氏である。汚染地の豊洲に移転する流れを作り、莫大な土壌改良費用を余儀なくさせたうえに、その削減を現場に押し付け、役人をごまかしと隠蔽に走らせた張本人の言葉とは、とても思えない。
これを一体、どうするのか。作ったものは仕方がないと、時間を置いて開場するのか。また、責任は誰に取らせるのか。
「いったん立ち止まる」というぐらいの気持ちで開場を延期した小池都知事は、いきなり都政が抱えるシステム的な闇にぶち当たったが、ここを突破しなければ、選挙で圧倒的に支持した都民の気持ちに応えられない。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK212掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。