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「五輪予算」膨張の裏で都議会ドン〈関係企業〉続々受注 7300億円が2兆円に!
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「週刊文春」2016年9月8日号 :東京新報
二〇二〇年の東京オリンピックでもっとも頭の痛い問題が開催費用の膨張だ。一兆円以上と言われる増額分のほとんどは、我々の税金でまかなわれることになる。膨らむ施設整備費用を小誌が調べてみると、都議会のドンと関係の深い企業の名前が浮かび上がってきた。
報道陣の前を通り、次々にホテルに吸い込まれていく国会議員たち。
八月二十四日の夜、東京・丸の内のパレスホテルは、永田町が引っ越してきたかのようだった。
開かれていたのは、“都議会のドン”こと内田茂都議(77)の「政治活動40年を祝い励ます会」。駆けつけた菅義偉官房長官はこう語った。
「総務大臣の時、実力者と言われる内田先生のところへ恐る恐るお願いに行ったんです。私が思っていた内田茂という政治家像と違って、気持ちよく会っていただいた。(略)これからも元気いっぱいオリンピックを目指して、頑張っていただこうじゃありませんか」
二階俊博自民党幹事長も、こうあいさつした。
「(党本部と)同じ建物に都連がありますから、たまにお電話いただいて。内田御大から電話があれば、私が降りていくことの方が多いんです」
安倍政権の二大実力者が駆けつけた政治資金パーティは、“都議会のドン”の権勢を見せ付けるのに十分だった。事務を一手に担うベテラン女性秘書の元には後援企業の担当者が列を成していた。
その女性秘書が語る。
「私たちは勉強会でも九百人は超えますが、今回は大台(千人)超えたわ」
この日のパーティ券は一人二万円(千代田区民は一万円)。招待客を考慮しても、一晩で千五百万円前後を集めた計算になる。
娘二人とともに出席者を見送った後、一口サイズのカツを一気に掻き込んでいた内田氏を直撃した。
――週刊文春ですが。
雑誌名を名乗ると、一瞬記者の腕を掴もうとした内田氏。スタッフが止めに入ると、以降は何を問いかけても無言のまま、カツを頬張り続けたのだった。
その六時間ほど前――。リオデジャネイロ五輪から帰国した小池百合子都知事(64)。閉会式では着物姿のまま雨に打たれて、軽い風邪を引き、スタッフに風邪を移したものの、本人はすっかり回復したという。
「守屋(武昌元防衛事務次官)と戦っていた時のことを思い出すわ」
周囲にそう漏らす小池氏は、自らが本部長の「都政改革本部」を九月一日付で設置した。
「小池氏が最も力を注いでいるのが、五輪予算の透明化です。橋下徹前大阪市長のブレーンだった上山信一慶応大教授を改革本部の取りまとめ役に据え、すでに都の担当部局からのヒアリングを開始しています」(都政担当記者)
五輪予算にメスを入れるのには訳がある。
招致レースの立候補段階では約七千三百億円だった予算が、五輪組織委員会の森喜朗会長も「二兆円を超える」と認めざるを得ないほど膨れ上がっているのだ。
「五輪予算全体で一兆円増はほぼ間違いないでしょう」(都庁関係者)
都が負担する五輪予算も当初は約千五百億円だった。しかし、新国立競技場の負担分などが加わり、すでに倍増の三千億円を超えるのは確実だ。
「森氏は都のさらなる負担を求めている。都の追加負担は数千億円に及ぶと見られています」(同前)
■五輪施設建設に前のめり
なぜ、このようなズサンな予算がまかり通ったのか。
「立候補時点では、『こんな感じのデザインで』などと類似施設を参考に数字を並べただけのドンブリ勘定の予算でした。しかも、周辺設備の費用や警備費用を考慮しておらず、資材価格や人件費も高騰していったのです」(同前)
こうした負担増に対して、東京都議会はまったくチェック機能を果たせなかった。それどころか、
「内田氏や側近の高島直樹前都議会議長はコスト意識に乏しく、舛添要一前知事が五輪会場の見直しを宣言した時も猛反発していました」(同前)
組織委の関係者が内情を明かす。
「五輪組織委員会の森喜朗会長とも内田氏は親しい間柄。組織委理事の二名の都議枠には、内田氏側近で知られる高島前議長と川井重勇(しげお)議長が並ぶ。高島氏は組織委の入札に関して、『中小企業が不利益にならないように。締め出されるのは困ります』などと発言している。さらに、都の五輪予算を審議するオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会も、高島氏が委員長で、川井氏が委員に入っています。内田氏率いる都議会自民党は、負担増を抑えるよりも、計画された通り五輪施設の建設を進めることに前のめりなのです」
こうした負担増の原資は、言うまでもなく都民の税金だ。一方で、得をするのは誰なのか。
「それは工事を受注する業者です。資材や建設作業員の人件費の高騰などもあって、当初の予算では、黒字が出ない。そのために、予定価格を上げてもらう必要があるのです」(建設コンサルタント会社社長)
五輪施設整備の中でも、とりわけ予算が大きく膨らんでいるのが、都の負担で建設する恒久施設だ。東京五輪に向けて、七件の恒久施設が建設される予定だ。
「新規の恒久施設は、そのあとのメンテナンスなども受注業者が担当することが多く、長期でうまみのある工事と言われています」(同前)
その一つ、バレーボール会場の「有明アリーナ」の整備費は立候補時点では百七十七億円だったが、現在公表されている数字は四百四億円。
同じく水泳会場の「オリンピックアクアティクスセンター」。三百二十一億円の予定が、六百八十三億円にまで膨らんだ。この両施設の整備費だけで、当初見込みより約六百億円も予算が膨れ上がっている。
この二施設については、ご記憶のある読者もいるかもしれない。両施設の工事を大手建設会社とジョイントベンチャー(JV)を組んで受注したのが、内田氏が役員を務める東光電気工事(千代田区)であることは、小誌がこれまで報じてきた。
内田氏は落選中の一〇年に東光の監査役に就任。以降、同社は売上高を急増させ、都が発注する工事を次々受注してきた。
■「都議会で内田氏の見解を」
特に有明アリーナの受注を巡っては、東光が竹中工務店と組んだJVは、鹿島建設のJVより九億円以上も高い価格で入札し、価格点では後塵を拝した。だが、技術点で六十点満点を叩き出し、“逆転落札”に成功。敗れた鹿島のJVの技術点は五十三・四点に留まった。
建築エコノミストの森山高至氏が指摘する。
「竹中のJVと鹿島のJVで六十点中、七点もの差がつくこと自体が非常に珍しい。しかも技術審査委員五人のうち、二人は都財務局幹部。普通なら、価格点を重視するはずです。今回の審査結果には、技術提案以外の要素が影響した可能性もある。入札の過程に問題がなかったか、検証する必要があるでしょう」
都財務局の回答。
「落札者の決定は適正に行われております」
東光が内田氏を役員として迎え入れたのは、馬田榮社長の判断だったという。
「営業畑を歩んだ馬田氏は、〇一年の就任以来、十五年間にわたり社長を務めてきた。ワンマン経営者で、役員も入社年次が離れたイエスマンで固めています。だから、都議を監査役に置き続けるという常識外れの行為にも誰も逆らえないのです」(東光の元役員)
地方自治法では、地方議員は自治体の事業を請け負う企業の役員を兼ねることを禁じ、違反すれば、その職を失うと定められている。ただ、これに該当するか否かは、議会で出席議員の三分の二以上の同意が必要だ。内田氏が君臨するこれまでの都議会では、議論すら不可能だった。
だが、ついに“東光問題”を都議会でも取り上げる動きが出てきた。知事選で小池氏を支援した都議会会派「かがやけTokyo」の上田令子幹事長が言う。
「東光の役員問題は九月末から始まる都議会で、全面的に検証すべきだと考えています。親族が実質的に経営に携わる関係私企業等は、公共工事の請負を辞退するよう条例を定めている自治体もある。これまで都議会では我々が質問しても、自民党が数の力で勝手に議事を進めてきました。しかし、これだけ世間の注目が集まる中、内田氏に見解を問い質す必要があります」
実は内田氏と東光の親密さを示すエピソードはそれだけではない。取材を進めると、内田氏の次女の夫、A氏が東光の社員であることが判明したのだ。
入社の経緯を知る東光関係者が明かす。
「Aさんは故郷で内装業に携わっていたのですが、あの業界は不景気が続いていた。そこで今から十年近く前、義父の内田氏が馬田社長に『面倒を見てくれないか』と相談し、入社したのです。最初は総務部に配属され、伝票の処理などの仕事をしていました。Aさんは当初埼玉に住んでいましたが、その後、内田氏の選挙区のある千代田区に住民票を移したと聞いています。
東光としても内田氏の選挙に協力しようとしていましたが、社員に千代田区在住は極めて少なく、担当者は結構苦労していました」
小誌は何度も馬田社長の自宅を訪ねたが、夫人と思しき女性が「いません」と答えるばかりだった。
東光はこう回答する。
「(娘婿の勤務については)弊社の役職員の情報は公表しておりませんので、ご了承下さい。(内田氏から選挙の票の取りまとめの依頼を受けたという)事実は承知していません」
■落選中に支援していた業者が
ほかにも、内田氏の親族は東京都の政治や行政に関与している。次女の夫は東光の社員だが、長女の夫は内田直之千代田区議だ。内田氏の後継者と目されている。
さらに三女は、都が五割超の大株主である東京港埠頭に勤務。同社は〇八年に民営化されるまで都の外郭団体の財団法人だった。
この東京港埠頭の工事を請け負っているのが、「内田氏との関係が深い」(地元支援者)と言われる造園業の富士植木(千代田区)だ。
同社は新国立競技場や環状二号線関連の工事を受注する一方で、成家岳社長が、内田氏が代表の政党支部に計三十万円(一三年、一四年)献金している。富士植木は先週号の取材に、内田氏との関係は落札に影響していないと否定した。
東京港埠頭の回答。
「富士植木さんには一一年からの三年契約で、臨海副都心の公園などの緑地業務を七千九百万円で発注しました。内田氏の三女は正規の手続きを踏んだ中途採用です。〇九年まで公園事業課でしたが、その後、経理課に異動している。内田氏の口利きはございません」
神戸学院大の上脇博之教授はこう指摘する。
「内田氏は娘婿の就職の面倒を見てもらった上、自身も落選中に監査役に就任させてもらった。つまり、東光には“借り”があることになります。一方で、東光は都の工事を次々受注している。内田氏がその借りを返そうとしたのでは、と疑念を持たれても仕方がありません。内田氏の三女が勤務する東京港埠頭のケースも同様です。特に、五輪関係の事業には巨額の税金が投入される。内田氏には説明責任が求められます」
五輪事業を巡っては、落選中の内田氏を支えた東京ビルメンテナンス政治連盟の影もちらつく。同連盟は落選していた内田氏に月五万円の顧問料を支払うなど、その間、二百万円近い支援を行なってきた。
今年二月、カヌー・スラローム会場の施設運営計画に係る業務を約二百八十万円で受注したのが、ビルメン連盟の理事が社長を務める協栄(中央区)という企業だ。しかも同業務は、随意契約での受注だった。
このカヌー・スラローム会場の整備費も当初は二十四億円だったのが、七十三億円にまで膨らんでいる。
さらに、カヌー関係者はこう疑問を呈する。
「スラロームは急流の中でタイムを競う競技。リオ五輪では羽根田卓也選手が銅メダルを獲得しました。しかし、急流を人工的に造るため、莫大な建設費がかかってしまう。電気代など大会後の維持費もバカになりません。本来は山間部で行なう競技の会場を海抜ゼロ地帯に設けること自体、おかしいという声も上がっています。せめて、負の遺産とならないよう仮設施設にするべきでしょう」
協栄はこう回答した。
「内田都議とは会議の席上、お会いする程度で、会社及び個人的なお付き合いはございません。内田都議への働きかけは一切行っておりません」
小池氏の地元、豊島区に本社を置く株木建設も、内田氏と関係する企業の一つだ。同社のグループ企業の子会社、日立資材販売(豊島区)は、内田氏が代表の自民党東京都千代田区第二支部に一二年から一四年にかけて、毎年十二万円献金している。日立資材の社長は株木の社長の実弟だ。
一方で、株木建設が竹中工務店などと組んだJVは一三年十月、バドミントン会場となる「武蔵野の森総合スポーツ施設」の新築工事を約百五億円で受注している。
その後も、同施設の内部整備工事を約六億三千万円、外部整備工事を約七億六千万円で受注。また、株木は大成とJVを組み、豊洲新市場の工事も約三百三十九億円で受注しているのだ。
株木建設の回答。
「他の同業者同様献金はしているが、(内田氏と)付き合いはない。働きかけを行なったことはない。競争入札で受注しているが、採算は全く厳しい状況」
各社、内田氏と事業受注の関係を一様に否定している。だが、ある献金企業の関係者はこう明かす。
「うちは大手ゼネコンに薦められて、内田先生に献金するようになりました。資金パーティが近づくと、女性秘書から『〇〇枚お願いできますか』という電話がかかってきます。実力者の内田先生と付き合うことで、少なくとも仕事を外されることはない、という期待感はありました。頼みごとは断らない人だし、五輪の追い風もあり、最近は利益も上がっている。内田先生の政治力を感じます」
こうした政治力に期待が集まり、国会議員をしのぐ資金力を持つにいたった内田氏。そして、結論が注目される築地移転問題も東京五輪と密接にリンクしている。
内田氏ら都議会自民党が築地市場の移転を求める背景には、先週号でも詳報したように、現在工事中の環状二号線の存在がある。この二号線は晴海の選手村と新国立競技場を結ぶ、いわば“オリンピック道路”なのだ。
「ところが、二号線は築地の敷地内を通っているため、築地が移転しないと工事を進められない。ただでさえ、工事は遅れ気味です。五輪までに道路を開通させたい内田氏らは予定どおり、十一月七日の移転を求めてきました」(都庁幹部)
実は、内田氏が取り仕切る自民党東京都支部連合会(都連)の収支報告書に意外な団体からの寄附が記載されていた。
一三年五月三十一日付で、築地・水産仲卸政策協力会という団体が二百万円献金しているのだ。時期は、落選中の内田氏が再起を期した都議選の直前である。
■築地の事業費も千六百億円増
この政策協力会の代表として記されているのが、伊藤淳一氏。東京魚市場卸協同組合の理事長だ。
卸組合の理事の一人に献金の事実を伝えると、
「政策協力会は組合の団体ですが、都連への献金は全く知らなかった。かつて組合員から集めていた会費が流れているのでしょう。伊藤氏は知事選で増田寛也候補の応援演説も行なった移転推進派。とはいえ、多くの業者が移転に反対なのに、隠れて都連に献金していたとは信じられません」
献金直後の都議選で内田氏は復活当選。豊洲新市場の関連工事が次々と発注されるなど、築地移転は着々と進み始めたのだ。
伊藤氏を電話で直撃したところ、「献金のことは知らない。会費はもらっていない。私は代表じゃないから」と答えるばかり。政策協力会は「担当者は不在です」との回答だった。
都知事選の公約で、築地移転について慎重な姿勢を示していた小池氏は、豊洲市場の安全性の確認を慎重に行なう必要があるなどとして移転延期の方針を決めた。内田氏らの反発を招きかねないが、
「五輪予算同様、築地移転の総事業費も、〇九年二月時点では約四千三百億円でしたが、約五千九百億円と大幅に増えている。小池氏は『築地の問題も解明しないと』などと力をこめています」(小池氏周辺)
内田氏は一連の報道に対し、「みんな分かってねぇな、ハハハ」と笑い飛ばしているという。
内田氏に改めて取材を申し込んだところ、以下のような回答があった。
「(娘婿の東光勤務について)親族に関することは回答しておりません」
巨額の税金が投入される五輪事業に築地移転。透明性が求められるのは言うまでもない。そして、万が一にも、その一部が有力者に還流するようなことがあってはならない。
九月一日からスタートする都政改革本部。その名の通り、「改革」を進められるのか。小池知事の覚悟と手腕が問われている。
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