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パリ協定批准の米中共同発表は安倍外交の敗北の裏返しだ
http://xn--gmq27weklgmp.com/2016/09/04/post-5330/
4Sep2016 天木直人のブログ
米中両政府はきのう9月3日、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」を批准することで合意したと共同発表した。
これをきょう9月4日の各紙が、あたかも衝撃的な大事件のように一斉に大きく報じた。
しかし、これは想定できたはずだ。
すでに地球温暖化防止のための温室効果ガスの削減については2014年に北京で行われたオバマ・習近平首脳会談で原則合意していた。
それに基づき、昨年12月の国連気候変動会議(COP21)では、米中主導でパリ協定が採択された。
まもなく任期を終えるオバマ大統領と、G20のホスト国として「責任ある大国」を誇示したい習近平主席が、最後の首脳会談のタイミングに合わせて共同発表することは十分に予想できたのだ。
それだけではない。
中国は1997年の京都議定書を葬り去って、地球温暖化防止は中国主導のパリ協定で行うのだと宣言したのだ。
お粗末なのは安倍政権の対応だ。
山本公一環境相は9月2日の閣議後の記者会見でこう強がりを言ったらしい。
「米中が締結してもまだ発効には及ばない。日本と言う先進国が果たす役割がある」と(9月4日朝日)。
笑止だ。
孤立化をおそれてあわてて批准せざるを得ない。
そうでなくても米国の圧力で批准せざるを得ない。
どうせ批准をしなければならないのなら、米中発表に先駆けて、そして中国がホストするG20に先駆けて、日本は批准の意向を表明をすべきだったのだ。
それが外交というものだ。
笑ってしまうのは、もはやヒラリーもトランプも否定したTPPの批准を最優先して、パリ条約の批准を後回ししようとしていたことだ。
これほどのピント外れはない。
成果のない外遊を繰り返す暇があれば、安倍首相は真っ先に官僚に命じるべきだったのだ。
米中の先を越して発表するように準備を急いでおけと。
中国包囲網づくりにあれほど狂奔する安倍首相をあざ笑うように、習近平主席は安倍首相を地球温暖化問題で包囲した。
今度のパリ条約批准に関する米中首脳の共同発表は、安倍外交の敗北の裏返しに他ならない(了)
◇
アメリカ・中国がパリ協定締結 発効に向け前進へ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160903/k10010667841000.html
9月3日 19時31分 NHK
アメリカのオバマ大統領と中国の習近平国家主席は、日本時間の3日午後8時前から首脳会談を行います。これに合わせて、アメリカは地球温暖化対策を進める国際的な枠組みの「パリ協定」を受諾する文書を国連のパン・ギムン(潘基文)事務総長に提出し、また中国も協定の批准を決定する文書を提出して協定は発効に向けて、大きく前進することになりました。
オバマ大統領は、G20サミットが行われる中国の杭州に3日午後到着しました。オバマ大統領は、日本時間の3日午後8時前から、習近平国家主席と首脳会談を行うことにしています。
首脳会談に先立って、オバマ大統領は習主席とともに、日本時間の午後6時半すぎから、西湖のほとりにある迎賓館で行われた式典に出席しました。
その中でオバマ大統領は、地球温暖化対策を進める国際的な枠組みの「パリ協定」を受諾する文書を国連のパン・ギムン(潘基文)事務総長に提出しました。
また、習主席も「パリ協定」の批准を決定する文書をパン事務総長に提出しました。
これによって、温室効果ガスの世界最大の排出国の中国と、第2位のアメリカが「パリ協定」を締結することになり、協定は発効に向けて大きく前進することになりました。
オバマ大統領は習主席との首脳会談で、地球温暖化対策で米中両国がリーダーシップを示していく姿勢を強調するとともに、南シナ海での中国の海洋進出についても習主席に懸念を伝えるものと見られます。
オバマ大統領「目標に大きく近づいた」
地球温暖化対策を進める「パリ協定」を受諾する文書を国連に提出したオバマ大統領は「アメリカと中国の排出量は40%を占め、目標に大きく近づいた」と述べました。
習国家主席「大きな貢献」
中国の習近平国家主席は、「きょうパリ協定を批准する文書を国連に提出した。中国政府が約束を守ることを示すものだ。中国とアメリカのパリ協定を発効に向けた大きな貢献だ」と述べました。
パリ協定発効に向け大きな前進
地球温暖化対策の新たな枠組み、パリ協定は、2大排出国の中国とアメリカによる締結で、発効に向けて大きく前進することになります。
パリ協定は、発展途上国を含むすべての国が協調して温室効果ガスの削減に取り組む国際的な枠組みで、去年、フランスで開かれた地球温暖化対策をめぐる国連の会議COP21で採択され、ことし4月にニューヨークの国連本部で175の国と地域の代表が署名しました。
パリ協定が発効するには、少なくとも55か国が国内で締結の手続きを行い、その排出量が全体の55%以上になることが条件になっています。国連気候変動枠組条約の事務局によりますと、これまでに手続きしたのは、南太平洋や中央アメリカを中心に24の国と地域で、排出量は全体の1%余りにとどまっています。
国連事務局の去年12月のまとめによりますと、温室効果ガスの国別の排出量は最大の中国が全体の20.1%、次ぐアメリカが17.9%と合わせておよそ38%で、中国とアメリカによる締結でパリ協定は発効に向けて大きく前進することになります。
国連は年内の発効を目指しており、今後、排出量の多いほかの国や地域の動向が注目されます。このうち全体の12%を占めるEU=ヨーロッパ連合では、パリ協定の採択で中心的な役割を果たしたフランスのほか、ドイツやイギリスの動向がカギになる一方で、旧東ヨーロッパ諸国の中には自国の経済成長への影響を懸念して慎重な立場を崩さない国もあります。
4.1%を占める新興国のインドは、先月末、アメリカとの閣僚級の協議で締結に向けて迅速に取り組むことで合意しています。
このほか、全体の7.5%を占めるロシアや3.8%を占める日本についても、いつ締結するのか世界が注目しています。
国連本部では、今月21日、パリ協定をすでに締結した国や地域の代表などを招いて、年内の発効を世界に訴えるイベントを行うことにしています。
専門家「米中先行で締結は実効性へ第一歩」
温暖化対策の国際交渉が専門の名古屋大学大学院の高村ゆかり教授は「世界の温室効果ガスの排出量の4割近くを占めるアメリカと中国が先行して締結したことはパリ協定が実効性を持つ第一歩だ」と評価しました。
高村教授によりますと、パリ協定の年内締結を表明している国は、アメリカや中国を含めブラジルやカナダなど54か国に上り、世界の温室効果ガスの排出量の54.75%に相当しています。また、すでに国内手続きを終えているフランスやハンガリーのほか、早期発効を目指すロシアやインドなどでも、年内発効に向けた動きが加速すると見られるということです。
高村教授は「パリ協定の年内の発効がほぼ確実となる中で、これまで『京都議定書』などで世界の温暖化対策をリードしてきた日本も、国内手続きを速やかに進め、パリ協定のルールづくりに参加していくことが重要だ」と話しています。
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