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今さら安倍政権の“共謀罪”に驚く大メディアのオメデタさ
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2016年9月1日 日刊ゲンダイ 文字お越し
悪辣政権は何でもやる(C)日刊ゲンダイ
「戦争のできる国」に突き進む安倍政権がまた、戦時体制下の悪法復活をもくろんでいる。現代の治安維持法といわれる「共謀罪」の新設である。
政府が今秋の臨時国会に提出する予定の法案に記された罪名は、名称こそ「テロ等組織犯罪準備罪」だが、中身は過去3回、廃案に追い込まれた「共謀罪」と何ら変わらない。過去の国会審議の議事録を読むと、その恐ろしい中身が分かる。
2006年5月16日の衆院法務委員会。委員が「共謀罪」の「犯罪の遂行に向けた具体的かつ現実的な合意」について質問すると、当時、法務省刑事局長として答弁に立った大林宏元検事総長は平然とこう答弁していた。
「まばたきであろうとも、あるいは黙示の、うなずくという(行為も)共謀の一部を構成するということは当然ある」
「まばたき」や「うなずき」といった日常の何げないしぐさや、単なる意思疎通が処罰対象になるとは驚天動地ではないか。犯罪が行われて初めて刑罰を科す――という近代刑法の大原則を無視しているだけじゃない。憲法で保障された「信条の自由」も踏みにじる大悪法と言っていい。
法務省はホームページ上で「飲酒の席で、犯罪の実行について意気投合し、怪気炎を上げたというだけでは、法案の共謀罪は成立しません」などと批判の払拭に躍起だが、常識的に考えれば当局が想定するテロのような凶悪犯罪の謀議を「飲酒の席」といった公然の場で行うバカはいない。
日本人7人が犠牲になった7月の「ダッカ人質テロ事件」や、130人の死者を出した「パリ同時多発テロ事件」(15年11月)を見ても、襲撃犯のグループは電話やネットでやりとりしたり、密室を使って計画を練ったりしていた。となれば、仮に「共謀罪」が成立すれば、当局が5月の通常国会で成立した盗聴法の適用範囲を電話やネットだけでなく、室内盗聴まで拡大する可能性は高い。しかも、捜査対象となる「組織的犯罪集団」を認定するのは当局自身だから、やりたい放題だ。
■「共謀罪」で戦前の特高警察が復活する
「最大の問題は『合意』だけで犯罪が成立し、それを判断をするのが捜査側という点です。権力側にとって極めて恣意的な運用ができるわけです。例えば、(成立すれば)国会前で抗議活動している団体を日常的に監視することも可能になるでしょう。監視社会が正当化されることになるわけです」(日弁連共謀罪法案対策本部事務局長の山下幸夫弁護士)
大分県警が公選法違反の捜査と称して、「連合大分」の支部が入る建物の敷地に無断で監視カメラを設置していた事件が発覚したばかりだが、こんなデタラメ捜査が日常茶飯事になってしまうのだ。「監視社会を拒否する会」の共同代表を務める田島泰彦・上智大教授(メディア法)はこう言う。
「テロ対策を掲げていますが、処罰対象になる犯罪の種類はテロに限らず(万引といった微罪を含むなど)広範で、内容は(廃案となった)『共謀罪』と事実上、変わりません。懸念されるのは、これで終わりではないということ。今回の法案が成立すれば恐らく、次は『テロ対策のためには、いちいち裁判所に(傍受)令状を請求していては間に合わない』などと理屈をつけて、捜査機関が裁判所の許可なく自由に盗聴できるような改正法を作ることが考えられます。さらに外国の諜報機関を真似た『日本版CIA』のような組織もできるかもしれません。テロ対策を口実に、国民を監視する仕組みがどんどん強まるのです」
そもそも現行法でも重大犯罪については、例外的に「陰謀罪」や「準備罪」などが規定されているし、テロに使われる銃器に対しては「銃砲刀剣類所持等取締法」で対応できる。わざわざ今、新たに国民を監視する法律を作る必然性はない。
昨年11月のパリ同時多発テロの際、当時の自民党の谷垣幹事長や高村副総裁から「共謀罪」を求める声が相次いだ時も、岩城法務相はすぐに「国会に提出する時期は未定」と“火消し役”に回っていた。安倍政権も「共謀罪」には慎重姿勢だったのに、1年も経たないうちに今度は「国民の安全、安心を確保することは政府の重要な責務」(菅官房長官)と前のめりになっているから、ハチャメチャだ。
現状でも「デッチアゲ事件」や「自白の強要」といった違法な捜査、取り調べを繰り返している当局が新たな“武器”を手に入れれば、ますます市民弾圧を強めるのは間違いない。戦前の「特高警察」復活が現実味を帯びてくるのだ。
悪巧みはいつも選挙後に…(C)日刊ゲンダイ
大マスコミは「共謀罪」を“追認”している
それにしても情けないのは大新聞だ。「『共謀罪』法案 政権の手法が問われる」(朝日)、「テロ準備罪 本当に必要性はあるか」(毎日)と驚いているが、基本的人権や知る権利を踏みにじる特定秘密保護法を強行採決し、集団的自衛権を容認する安保法を成立させた経緯を振り返っても分かる通り、選挙が終わった途端、シレッと悪法をブチ上げる悪辣政権である。「共謀罪」だって7月の参院選の公約では全く触れていないが、今回のような最悪の展開は予想できたはずだ。
独裁者気取りの政権が衆参で圧倒的多数の議席を握ったら、とんでもない暴政を始めるのは火を見るより明らか。「炭鉱のカナリア」じゃないが、大マスコミが仮にもメディアの看板を掲げているなら、参院選では壊憲政権のデタラメぶりや恐ろしさを国民にもっと伝えるべきだったのに、「アベノミクスをふかす」とか言っていた安倍の口車に乗って何ら本質的な報道をせず、争点隠しに加担した。壊憲政権を“信任”する手助けをしておいて今更、やれ共謀罪は問題だ何だと騒ぐのはしらじらしいし、オメデタイとしか言いようがない。
前出の田島教授は「メディアは共謀罪を事実上、追認したと思われても仕方がない」と言い、こう続ける。
「法案が国会に提出されたら、もはや後戻りは難しい。現実的に考えて与野党の力関係で決まってしまうからです。安保法もそうでしたが、メディアはもっと早い段階で法案の問題点を詳しく報じ、国民に提起したり、批判したりするべきなのに、そういった視点はほとんどない。共謀罪は過去に何度も浮上し、当局が成立させるための落としどころを、水面下で探っていたことも把握していたはず。ところが『テロ対策』という文言が出てきた途端、思考停止に陥ってしまった。今になって反対の声を上げても、国民から見れば『メディアは問題の重要性を認識していなかったのではないか』『表層的な弱腰の批判』と受け取るでしょう」
メディアがこのテイタラクじゃあ、安倍政権はすでにナチス・ドイツの「全権委任法」を手にしたのも同然だ。憲法に「緊急事態条項」を盛り込むことだって平気の平左でやってくる。「共謀罪」なんて序の口で、強権政権はさらに大暴走するだろう。つくづく大マスコミの責任は重い。
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