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小林節「自民党改憲草案を糺す」 <第12回> 日の丸と君が代は国民的合意が形成されていない
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/188921
2016年8月31日 日刊ゲンダイ 文字お越し
自民党は数の力で押し切ろうとしている(C)日刊ゲンダイ
平成11(1999)年に国旗・国歌法が制定された。それまでは慣習法上の国旗・国歌とされていた日の丸と君が代については、それらには法的根拠がないとする国民が多く、紛争が絶えなかったために、それらに法的根拠を与えようとして制定されたものである。
しかし、それでも、日の丸は平和主義に反しており、君が代は国民主権に反しており、だからいずれも違憲だと確信する国民は多く、いまだに紛争は絶えていない。
そこで、自民党改憲草案は3条で「国旗は日章旗……国歌は君が代とする」と明記した。確かに、そうなれば形式上は違憲性の問題は生じようがなくなる。
しかし、こうした強引な事の運び方に、自民党の、「問答無用」とばかりに数の力で押し切ろうとする姿勢が露骨に表れている。何よりも、この問題については議論が尽きていないのである。まず、日の丸は「太陽」を象徴するそれ自体は良いデザインであろう。しかし、先の大戦で「侵略者」と呼ばれた日本軍の先頭に日章旗が掲げられていたことを好ましく思わない人は今でも多い。だから今でも紛争が絶えないのである。そういう意味で、あの大戦の総括と日の丸の歴史と意味の確認が先決問題であろう。
他方、君が代については、それが明治憲法下の宮内省と陸軍省の中で天皇制を賛美する歌曲として合成された事実がある以上、今の国民主権国家・日本の国歌にふさしいか? 甚だ疑問である。
自民党は、自らの改憲草案を公刊してからも、常に、反対派との本格的な論争からは逃げ続けている。それでいて、内輪の会合では「美しい日本の憲法を作ろう」などと一方的に語り合って盛り上がっている。そして、議論が噛み合わないままで一定の時間が過ぎたら「議論は尽くした」とばかりに数の力で決定する、いつものやり方を貫くのであろう。
だから、日の丸と君が代のような重要な事項についても、自民党は、国民的合意の形成に向けてまっとうな努力をせず、論点そらしの選挙で勝った数の力で押し切ることであろう。この非民主的な手法に主権者国民はいつまでもだまされ続けていて良いのであろうか? それでは私たちは愚民ではないか。
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