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大企業を優遇、社会保障カット…同胞を見捨てる安倍政権 日本外交と政治の正体
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/188607
2016年8月26日 孫崎享 外交評論家 日刊ゲンダイ 文字お越し
かつての自民党政権は弱者を見捨てるような政策はしなかった(C)日刊ゲンダイ
米紙「ウォールストリート・ジャーナル」が、「同胞を見捨てる世界のエリート」という論評を掲載していた。
執筆したのは、レーガン元大統領のスピーチ・ライターを務めた女性作家のペギー・ヌーナン氏である。1986年1月28日のスペースシャトル・チャレンジャー号の打ち上げ失敗事故を受け、レーガン元大統領の追悼演説を担当した。この演説は後に「20世紀の政治的名演説」の8番目にランクされている。ウエブ・サイト「デイリー・ビースト」は、彼女を米国の保守系論客の第4位に位置づけている。
論評の主要点は次の通りだ。
▽西側では今、社会の頂点に立つ人々(強者)と社会の底辺(弱者)に生きる人々に距離が生まれている。社会が比較的安定していた時代には、こうした現象が起きることはなかった。
▽大きな問題は、強者が弱者を切り離し、愛着も仲間意識を持つこともほとんどないという事態が至るところで起きていること。こうした現象は西側の権力の中枢全体に広がっている。問題の根本は、強者が自己中心的で善人を装い、弱者を見捨て、関心すら失っていることだ。
▽ウォール街では強者はかつて、指導者としての資質を備えていたが、今は生きるだけで精いっぱいである。
▽今はビジネスでも政治の世界でも、権力の座にある強者が、同じ国に住む弱者を同胞だと思っていない。本来、同じ国に住んでいるのだから、違う立場の存在であっても、その気持ちをくみ取る努力をしなければならない。
▽強者と弱者を生んだ原因が富だとすれば、距離をつくったのは権力である。
仮にヌーナン氏が日本で同様の主張をすれば、おそらく、「共産主義者ではないか」「共産党と同じ主張だ」などと非難されるだろう。しかし、「同胞を見捨てる世界のエリート」という論評を、米国の代表的な保守派の論客が主張している意味は重い。
日本では、かつての自民党政権は弱者を見捨てるような政策はしなかった。しかし、今の安倍政権は違う。大企業を優遇し、消費税を引き上げる一方、社会保障費を大幅に削減するなど、弱肉強食の格差社会を進めている。日本でも「同胞を見捨てる」現象が起きているのである。
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