http://www.asyura2.com/16/senkyo211/msg/323.html
Tweet |
劇場型ケンカ政治の末路は? 小池百合子と橋下徹の共通項
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/187791
2016年8月15日 日刊ゲンダイ 文字お越し
大阪都構想もマヤカシだった/(C)日刊ゲンダイ
また同じことの繰り返しになるんじゃないか。東京都の小池百合子知事が立ち上げる「都政改革本部」のことだ。小池は12日の定例会見で、改革本部の顧問に就任予定のメンバーを発表。橋下徹前大阪市長の政策ブレーンを務めてきた慶大教授の上山信一氏や、政府調達に詳しい弁護士の加毛修氏ら5人で、9月から“改革”に着手するという。
小池は「都政改革本部が扱う問題は、都の業務や予算など都政に関わる全て」と言い、情報公開のあり方や東京五輪・パラリンピックの予算などにもメスを入れると言っているが、巨大な利権構造に本気で切り込むつもりがあるのかどうか。
改革本部には、今後も外部から新たなメンバーを加え、庁内の局長も登用するという。このやり方には既視感がある。小泉政権時代の道路公団民営化委員会だ。
道路公団民営化は「聖域なき構造改革」のスローガンの下、内閣の目玉として進められたが、絵に描いたような「骨抜きの民営化」に終わった。
「小池知事は“東京大改革”を掲げて当選しましたが、本気度が問われています。『立ち止まって考える』と明言した築地市場の移転問題ひとつ取っても、明らかに選挙中からトーンダウンしている。12日に築地の市場関係者と都庁で意見交換をしましたが、これも中身は非公開でした。小泉内閣の道路公団民営化委員会が、曲がりなりにもマスコミにフルオープンだったことを考えると、小池知事が都政改革本部の審議をオープンにするかどうかで、まずは覚悟が試されます」(ジャーナリスト・横田一氏)
■改革の急先鋒がいつしか利権を守る側に
忘れてならないのは、道路公団民営化の過程で大きな役割を果たしたのが、東京都の猪瀬直樹元知事だったことだ。
民営化委は2002年に、当時の小泉首相が委員を直接任命してスタート。その中に猪瀬もいた。会議のフルオープンを主張したのも猪瀬で、マスコミの前で国交省幹部や道路公団理事とやり合うパフォーマンスで注目を集めた。民営化委は同年末に意見書を取りまとめて提出したが、何と小泉は民営化法案の作成を国交省に丸投げ。おかげで民営化はすっかり骨抜きにされ、道路族はニンマリの結果になった。
道路役人が作った民営化法案を見て、意見書をまとめた委員は抗議の辞任、あるいは以後の委員会への欠席を表明したが、最後まで残って、民営化の成果をアピールし続けたのが猪瀬だ。改革の急先鋒だったはずの“気鋭の作家”が、いつの間にか道路族の代弁者となり、偽りの改革を称賛して世間の目をごまかす役割を買って出るようになっていた。
「当時の国交相は石原伸晃さんで、元幹事長の古賀誠さんら道路族から突き上げられて困っていた。表では強硬な発言を繰り返した猪瀬さんですが、裏で道路役人や族議員と話をつけ、伸晃さんを助けた。その論功行賞で、父の慎太郎さんが副知事に抜擢、後継知事に指名したといわれています」(自民党関係者)
民営化委員会を通して、権力との関係を深めていった猪瀬。小泉にとっても、改革はスローガンでしかなかったのだ。支持率を上げるための演出ができれば、それでよかった。だから、道路族と妥協し、骨抜き法案を通した。民営化の骨抜き改悪案を擁護して小泉の顔を立て、同時に利権構造を守る側に回った猪瀬が都知事に上り詰め、「政治とカネ」で失脚したのは何の因果と言うべきか。
五輪は巨大な利権(森喜朗会長と会談する小池知事)/(C)日刊ゲンダイ
改革幻想を振りまいて政権維持の道具にする欺瞞
既得権益を厳しく追及する丁々発止の改革ショーに、国民が目を奪われている裏で、利権は温存され、あるいは新たな利権が生まれ、悪いやつらがほくそ笑む。小池の「改革」にも、同じにおいがするのだ。
政治学者の五十嵐仁氏が言う。
「声高に改革を叫び、派手なパフォーマンスを繰り出すリーダーほど、ウサンくさいものはありません。小泉元首相は『自民党をぶっ潰す』と叫んで支持率を上げ、結果的に自民党を延命させた。党内権力が経世会から清和会に移っただけです。小池知事に対しても同じことが言える。都議会のドンを敵に見立て、都政をブラックボックスと批判して支持を集めた手法は、小泉元首相の劇場型ケンカ政治の焼き直しです。改革幻想を振りまいて、現状に不満を持つ人を取り込んだ。次は有識者をかき集めて改革らしきものを演出し、利権の網を広げて、自分たちの都合で分配し直す。目の前には東京五輪という巨大な利権がある。今は女王バチが、甘い蜜を分け合う働きバチを集めている段階でしょう。自民党との対決を期待して一票を投じた有権者は、小池知事の今後の動向に、ガッカリさせられることになるかもしれません」
小池は9日、知事就任後初めて東京五輪組織委員会の森喜朗会長を訪ね、意見交換。会談の終了間際には丸川珠代五輪担当相も同席した。森は会談後、小池も丸川も清和会(かつての森派)に所属していたことを念頭に、「2人とも森商事の社員さんだった。話せばすぐ分かる」と記者団に話した。「だいたい意見の合うことばかり。大事なことはしっかり協力し、成功させることで一致」とも言っていた。
例えが「商事」とくれば、金儲けの話しかないだろう。小池と森は、IR(統合型リゾート)利権で同じ方向を見据えている。
安倍政権は、東京五輪とタイミングと合わせたカジノ解禁などのIR構想を進めていた。舛添要一前都知事がカジノに反対で頓挫したが、小池はIR積極派。森も石原都政時代、お台場カジノ構想を国政に持ち込んだ自民党きってのIR族。利害は一致する。
IRといえば、お台場にカジノ誘致を働きかけてきたフジサンケイグループは大喜びだし、日本市場への参入を狙う外資も大歓迎。ここにまた新たな利権が生まれる。都政改革本部が、利権再分配のブラックボックスにならないことを祈るばかりだ。
■結局は与党の補完勢力になるだけ
改革本部のメンバーに、橋下前大阪市長と近い上山氏がメンバーに入ったことも臆測を呼んでいる。上山氏は、地域政党「大阪維新の会」の結党から関わり、国政政党にまで押し上げた。維新がIR推進派で大阪でのカジノ解禁を働きかけていることもあるが、上山氏の助言を得て、「小池新党」が加速するという見方が広まっているのだ。小池と橋下維新の連携というのが、ますますいかがわしい。
「橋下氏も“抵抗勢力”をつくって戦う姿勢をアピールするのがうまく、改革を叫ぶことで支持を集めてきた。しかし、大阪都構想はマヤカシだったし、府知事・市長としての実績は特にない。ムードを煽るのに長けているだけなのです。それは、小池知事や小泉元首相、安倍首相にも共通するところです。彼らにとって改革は目的ではなく、政権維持の道具でしかない。改革をブチ上げ続けていれば、国民の支持を得られるという打算であり、究極のポピュリズムです。敵をつくって戦う政治は分かりやすいので、国民は劇場型政治に引きつけられがちですが、改革の成果など何もなく、利権は温存されて大企業がボロ儲けという元の木阿弥になる。国民は何度も改革派に裏切られてきたことを冷静に思い返すべきです」(五十嵐仁氏=前出)
ケンカ政治は結局、自民党内の利権の奪い合いでしかないということだ。維新もそうだし、みんなの党や新党改革など、改革を訴えて票を集めた小政党はみな自民党の補完勢力に成り下がった。おこぼれを待っているだけなのだ。仮に「小池新党」ができたところで同じこと。小池自身、ゴリゴリの改憲派だし、国政に何人か送り込んでも、与党の補完勢力になるだけだ。
自称「改革派」の欺瞞に国民が気づかなければ、何度でも同じことが繰り返される。劇場型ケンカ政治の末路はいつも同じなのだ。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK211掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。