1929年の世界恐慌を40%もの高関税で逃げ切った米国 商品の優位性がアダとなり,大企業の交代劇が発生した。2006年、包括関税引下げ交渉は行き詰まり、二国間の交渉に中心が移った。そして2016年,TPP関税ゼロの挫折,これは第一次世界信用大恐慌前後と同じ状況に突入したことを意味する。かくして、ドルと株の暴落で、第二次世界金融大恐慌の妖怪の姿は、誰の目にも見えてくる。今度の悲劇は二番底・三番底です。この対策はキン本位制か日銀がプレミヤつけてキンの買上げと産業革命の加速しかない。 前回の世界経済は関税と通貨切下げ競争で、10年間も悪夢にうなされた。しかも第一次世界金融大恐慌から脱出するのに何十年もかかつた。そして政府と日銀は金融緩和とばら撒きだけなので,消費者の購買力を縮小させたまま,これでは日本の大企業の消失を体現する。しかし国民はこの失政を誰も追求しない。 1929年の第一次世界信用パニックの震源地となった米国を観察すると商品の優位性が原因である。優位性とは、技術から流行まで、あらゆる分野で、世界をリードしていることである。当時の米国は、世界の技術から流行までをリードしていた。この原動力は、新しい商品を世界で一番積極的に受入れた消費者=消費市場だった。
しかし、このことを米国の国家と産業・企業の指導者は認識していなかった。だから、40%もの高関税障壁に固執した。固執して、欧州からの投資と自国農業を保護した。当然、他国は高い関税で報復した。にもかかわらず、米国商品は高関税障壁を乗り越えて輸出を延ばした。この米国商品の優位性を指摘している歴史家は米国でも皆無だ。 その理由は、1929年から四年間の株価十分の一、工業生産半減の激烈な経済現象の縮小にとらわれているためだ。 経済学が、第二次世界信用収縮恐慌の到来を、認識できないのはナゼか? その第一の原因は、結果を原因に倒置するアト学説に支配されているためだ。アト学説から脱出するには、面倒臭くても、国家・企業・個人のレベル別に分析し、そのエゴの論理と行動が、時間的に反転する過程を観測すればよい。 歴史は、現象の結果を原因として書かれているため、金の役割は見えません。そのため、30 年代の恐慌の結果から経済学は「関税高くしたり、通貨を切下げたり、自国経済の救済のみを優先させたために、恐慌は発生した」という教訓で一致している。これは旧基軸通貨と新基軸通貨の金保有高をみれば間違いが誰にでもすぐにわかる。 しかも2008 年のリーマンショック後も、世界の政治と経済の指導者は、自国の農業畜海産と対外競争力の低い中小企業を犠牲にしても、関税障壁を低くし、外資を導入し、土地や株のバブルを復活させれば、恐慌にはならない、と確信しているのです。これがアベノミクスの正体です。こうして日本は世界でもまれな,世界信用虚構から脱出できなくなり,もがき,ジレンマから戦争軍需の道に必然的に嵌りこむ。しかも戦争待望論者が多数派となっている。歴史は繰り返すというが本当にそうなるのだろうか。
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