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投開票日は7月31日。都政は誰の手にゆだねられるのか。
岩手県民ですけど増田候補はどうかと思いますよ なぜ都知事選候補者の「言葉」はどれも響かないのか
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47393
2016.7.23 栗澤 順一 JBpress
東京都知事選挙の投開票まで、あと1週間。
都民ではない私には、もちろん投票権はありません。しかし、前岩手県知事の増田寛也氏の立候補によって、がぜん関心が高まりました。在任中に倍増させた県の公債費、非難を浴びた度重なる出張・・・。
増田氏の「実務型」という触れ込みに首を傾げてしまう岩手県民は、私だけではないはずです。
おまけに、総務大臣時代には、東京の税金を地方へ振りまく制度まで構築しています。それを踏まえ、都民の方々がどのような判断を下すのか、北の地から注目しています。
その東京都知事選挙。保守分裂の選挙ということもあり、争点が見えにくい選挙になってしまいました。
また、「あたたかさあふれ、お年寄りも子供も安心できる東京の実現」や「もっと安心、もっと安全、もっと元気な首都・東京」「住んでよし、働いてよし、環境によしの東京を創る」というように、主な候補者の公約や第一声に大きな違いが見られないことが、混乱に拍車をかけています。
先の参議院選挙の時もそうでしたが、人を惹きつける自らの言葉を持った政治家が少なくなった、と感じるのは私だけでしょうか。
■政治家は職業ではなく「生き方」だ
『田中角栄 100の言葉 日本人に贈る人生と仕事の心得』(別冊宝島編集部 編・宝島社)
『田中角栄 100の言葉 日本人に贈る人生と仕事の心得』(別冊宝島編集部 編、宝島社、税別1000円)
没後20年以上を経ても、いまだに多くの人を魅了してやまない元総理大臣の故・角栄氏。本書は、タイトルの通り角栄氏の名言がみっちりと詰まった一冊です。
例えば、<川の上流と下流、両方の選挙民が橋をかけて欲しいと陳情している。田中角栄はまず大急ぎで片方に橋をかける。最初は片方に嫌われるが、もう一方にも必ず橋をかける。言ったことは実行するんだ>というフレーズ。
実現可能か不可能かの以前に、ここまで自信を持って言い切れる政治家が、現在、果たしているでしょうか。加えて、この人なら本当にやってしまうかもしれない、と思わせてしまう熱のこもった語り口。私が選挙区民だったら、迷わず一票を投じていたことでしょう。
本書を読み終えると、本来、政治家は、「職業」ではなく「生き方」なのだ、という思いを強く抱きます。
それに比べ、「職業」としての政治家がなんと増えたことでしょう。行き詰まりを感じるこの現代、そんな政治家としての「生き方」に共感する方が多いからこそ、書店の店頭でも角栄ブームが起こっているのだと思います。
また本書に併せて、『天才』(石原慎太郎 著・幻冬舎)を読むことをお勧めします。角栄の一人称が斬新なこの自伝的小説を通し、数々の名言が生まれた背景を読み解くことで、田中角栄と言う政治家の深みが、より一層増すことでしょう。
そして、今回の東京都知事選。
その引き金になった、舛添洋一元東京都知事は、「都民に対して仕事をしないと、死んでも死にきれない」「(選挙が)リオデジャネイロ・オリンピックと重なるのは公益にそぐわない」といった、どこか傍観者的な言い回しで、延命を図りました。その姿に、多くの方が違和感を覚えたことと思います。
■「東大話法」を生み出した立場主義
『「原発危機と「東大話法」 傍観者の論理・欺瞞の言語』(安富歩 著・明石書店)
『「原発危機と「東大話法」傍観者の論理・欺瞞の言語』(安富歩 著、明石書店、税別1600円)
先の東日本大震災が引き起こした、福島第一原子力発電所の事故。著者は、その事故に関して解説する東京大学関連の識者の存在に、不信感を感じます。
さまざまな言い回しで、決して危機的状況ではないことを伝える識者たち。実は、原発に何らかのゆかりのある人たちだったのでした。
原発に深い知識を持つ著者が、その無責任とも言える言説を分析した結果、東京大学という権威に依拠した言い回しである「東大話法」の存在にたどり着きます。
東京大学に在籍している著者だったからこそ、気が付けたその視点。
<自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する>
<わけのわからない見せかけの自己批判によって、誠実さを演出する>
・・・といった欺瞞(ぎまん)的で傍観者的な東大話法の規則が、全部で20個もあるとのこと。残りの規則は本書に譲りますが、きっと誰もが、職場や家庭内で思い当たる節があるはずのものばかり。
ちなみに本書の続編として、『もう「東大話法」にはだまされない』(講談社)も出版されています。
「東大話法」を生み出した「立場主義」という切り口から、サラリーマンや男女関係を解析している本書。その試みはすばらしいのですが、データや実例に乏しい展開に、いかんせんムリがあるように私には思えてしまいましたが・・・。
ちなみに、前述の舛添前東京都知事も東京大学の出身。そして、なんと今回の都知事選候補者の増田氏も。さて増田氏は「東大話法」を使っているのか、いないのか。見どころがまた増えました。
■自分の言葉で語れるか
ところで毎回、作家の立候補が目立つ東京都知事選。猪瀬直樹氏や石原氏の前にも、直木賞作家の故・青島幸男氏が務めていました。
その故・青島氏が無党派旋風を巻き起こし、都知事に当選した1995年。その年に大学を卒業した私は、地元の小さな広告代理店に入社しました。月に何日かは徹夜しながらも残業代は出ず・・・などと、今思えば黒い匂いがプンプンする会社でしたが(笑)。
そこで営業として走り回りつつ、たまにパンフレットやチラシの製作にも関わっていました。その時に、制作の責任者である当時の社長から言われ続けたのが、「自分の言葉を持て」。今でも胸に残っているフレーズです。
広告の対象が食品であれば、飽きて戻してしまうくらいまでその食品を口にし、筆記用具であれば、何本もインクを使い切るまで使用し・・・。その商品と、そこまでとことん向き合うことで、初めて自分の内側から言葉が生まれてくるものだ、と。
『こだわりバカ』(川上徹也 著・KADOKAWA)
『こだわりバカ』(川上徹也 著、角川新書、税込864円)
例えば、前掲の主な候補者の公約や第一声。ただ並べてみる限りは、どれが誰のものなのか分かりにくく、また印象に残らないという方が多いと思います。
なぜなら「あたたかさ」や「安心」「安全」といった言葉を安易に使用することで個人の属性を失い、説得力を欠いてしまっているからです。
「昔ながらの製法」「心づくしの」「はばたく」・・・。
このように選挙での公約に限らず、飲食店や旅館、はたまた自治体や、大学にまで空疎なコピーが蔓延している日本社会。
コピーライターの第一人者でもある著者は、その現状を憂いながらも、きっちりと成果に結び付けているさまざまなコピーを紹介しつつ、その作り方を丁寧に教えてくれています。
と、ここまで紹介しながら、少し冷や汗が出てきている私。使い古された言葉で原稿が埋め尽くされてはいないかと、あわてて読み返しています(笑)。
日常生活の言葉遣いにしても、よく考えて口にすることが増えれば、いつもと違う潤いが出ること間違いなし。そのためにも、まずは本書をぜひ手に取ってみて下さい。
* * * *
いかがでしたでしょうか。今回は「言葉」をキーワードにした3冊を紹介してみました。あ・うんの呼吸を大切にする文化が日本には残っています。しかし都市化が進んだ現代では、「言葉」の存在がますます重要になってゆくことでしょう。
そのような意味でも、今度の東京都知事には、自分の言葉で都政を語れる方に就任してもらいたいと思います。
欲を言えば、書店の店頭に並べたすぐ脇から売れて行く、そんな書籍が執筆出来る方であれば、言うことなし。しかも、シリーズものを執筆できれば・・・(笑)。
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