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2016.7.12 14:30
【正論】まずは「緊急事態条項」が焦点 速やかに憲法改正の国会発議を 日本大学教授・百地章
百地章・日本大学教授
≪護憲派の壁を突き崩した≫
参議院で改憲勢力が3分の2を超えることになった。これにより、公布以来70年、ようやく憲法改正が現実味を帯びてきた。
憲法改正の決定権を持つのは、主権者国民である。この憲法改正のための国民投票は、単に人を選ぶだけの選挙と異なり、国民一人一人が直接、国のあり方や将来を決めることができる、極めて重たいものである。その重要さについては、先の欧州連合(EU)離脱をめぐる英国の国民投票からも想像できよう。
ところが、憲法制定以来、国会は一度も改憲のための発議を行うことがなく、国民は国民投票を行うことができなかった。その原因は、世界で一、二を争うほど厳しい改正手続きにある。憲法96条によれば、衆参両院のそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成が得られなければ発議できない。逆にいえば、両院のいずれか3分の1以上(参議院でいえばわずか81人)が改正に反対すれば、改憲を阻止することが可能である。
そこで、旧社会党などの護憲派や共産党などは、常に国会で3分の1の反対勢力を確保することに全力を注ぎ、その結果、国民は少数の反対派のために主権行使の機会を奪われ続けてきた。
しかし、今回の参議院選挙によって、ようやく反対派の壁を突き崩すことができたわけである。それ故、主権者国民の負託に応えるべく、国会は速やかに憲法改正を発議すべきである。
≪9条2項は喫緊の課題≫
問題は、どこに焦点を絞るかだが、真っ先に考えられるのは、9条2項を改正して「軍隊」の保持を明記すること、および緊急事態条項ということになろう。
特に、最近の中国による軍事的脅威の増大、とりわけ中国の軍艦がとうとう尖閣諸島周辺の接続水域や口永良部島周辺の領海にまで侵出し始めたことを考えれば、9条2項の改正は喫緊の課題である。今後の成り行き次第では、一気に改憲のテーマに浮上する可能性があろう。
ただ、現状で改憲発議の可能性を考えた場合、果たしてどうだろうか。改憲勢力と頼む公明党が、早々と「9条改正には当面、反対」の方針を打ち出したからである。この点、緊急事態条項であれば、公明党も「加憲」の立場であり無碍(むげ)に反対できないだろうし、平成26年11月の衆議院の憲法審査会では、共産党を除く7与野党が必要性という点で一致している。これだけの一致をみたテーマは緊急事態条項以外には存在しない。
さらに、例えば衆議院の解散中に大規模地震が発生し、総選挙を実施することができない場合などのために、国会議員の任期を延長するといった特例を憲法に定めておくことについては、民進党の一部議員を含む与野党議員の間で共通の理解ができつつあるようだ。
とすれば、例えば緊急事態における国会議員の地位についてであれば、国会の3分の2を確保することは可能かもしれない。問題は国民がどのように考えるかだ。
恐れるのは、国家的緊急事態が発生したにもかかわらず、国会議員はいかにして危機を克服し国民の生命や安全を守るかということより、自らの身分の方が心配なのかといった誤解を招きかねないことである。もしそうなれば、国会の発議に成功したとしても、国民の支持は得られないだろう。
他方、改正反対の共産党などは、一字一句たりとも改正させまいとしているから、支持者は必死になって投票に向かうであろう。その結果は、容易に想像できる。
それ故、緊急事態条項から取り組むにしても、まず危機を克服するための規定を明記し、その上で国会議員の地位や選挙の特例を定めるべきであろう。
≪超党派議連で原案の作成を≫
次に、憲法改正原案のとりまとめ方であるが、安倍晋三首相は秋の臨時国会から、衆参両院の憲法審査会で具体的な改正項目の検討に入ることを期待しているようだ。それ故、今後、憲法審査会が中心になって改憲論議がなされることは間違いなかろう。
しかし国会法をみれば明らかなとおり、憲法改正原案の発議権は第一に国会議員にあり、衆議院で100人、参議院で50人の賛成があれば憲法改正原案を提出できる(68条の2)。憲法審査会も憲法改正原案を提出することはできるが(102条の7)、これはあくまで二義的なものと考えられる。
つまり、憲法改正原案の作成は憲法審査会のメンバーでなくても、国会議員であれば誰でも自由に行うことができるわけである。
それ故、憲法審査会に丸投げしてしまうのではなく、緊急事態条項や9条2項の改正、天皇の地位の明確化、家族保護条項など、それぞれ積極的に賛同者を集めて超党派の議連をつくり、憲法改正原案の作成に当たるべきである。
そのためにも、地元や支援者からの国会議員への積極的な働きかけは不可欠である。また、発議の先には国民投票が控えており、1千万賛同者拡大運動をさらに推進していく必要があると思われる。(日本大学教授・百地章 ももち あきら)
http://www.sankei.com/column/news/160712/clm1607120011-n1.html
- 福田元首相 憲法改正急ぐべきでない〜「イラク戦争支持もよかったのか悪かったのかは分からない」と/nhk 仁王像 2016/7/13 20:37:40
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