≪憲法審査会の怠慢は否めない≫ 私は、憲法改正問題の解決をここまで引き延ばしてきた最大の原因は、衆参両院に設けられている憲法審査会が本来の機能を果たしていない点にあると考える。憲法改正の争点は、すでに5年の歳月をかけてまとめられた各院の憲法調査会の『報告書』(各院ともに平成17年4月作成)に整理されている。衆議院憲法調査会の『報告書』は683ページ、参議院憲法調査会の『報告書』は298ページに及ぶ膨大なものだ。 各院で平成19年8月に憲法審査会が設置されたのはこれらの『報告書』をもとに憲法改正原案を作成することを目的とするものだったはずだ。それからすでに約9年を経ようとしている。同審査会の怠慢は否めない。 2016年の次の臨時国会では本来の目的である憲法改正原案の取りまとめに動くことを強く期待したい。 ≪超党派議連で原案の作成を≫ 憲法改正原案のとりまとめ方であるが、安倍晋三首相は秋の臨時国会から、衆参両院の憲法審査会で具体的な改正項目の検討に入ることを期待しているようだ。それ故、今後、憲法審査会が中心になって改憲論議がなされることは間違いなかろう。 しかし国会法をみれば明らかなとおり、憲法改正原案の発議権は第一に国会議員にあり、衆議院で100人、参議院で50人の賛成があれば憲法改正原案を提出できる(68条の2)。憲法審査会も憲法改正原案を提出することはできるが(102条の7)、これはあくまで二義的なものと考えられる。 つまり、憲法改正原案の作成は憲法審査会のメンバーでなくても、国会議員であれば誰でも自由に行うことができるわけである。 それ故、憲法審査会に丸投げしてしまうのではなく、緊急事態条項や9条2項の改正、天皇の地位の明確化、家族保護条項など、それぞれ積極的に賛同者を集めて超党派の議連をつくり、憲法改正原案の作成に当たるべきである。 そのためにも、地元や支援者からの国会議員への積極的な働きかけは不可欠である。また、発議の先には国民投票が控えており、1千万賛同者拡大運動をさらに推進していく必要があると思われる。 国会法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO079.html 第六十八条の二 議員が日本国憲法 の改正案(以下「憲法改正案」という。)の原案(以下「憲法改正原案」という。)を発議するには、第五十六条第一項の規定にかかわらず、衆議院においては議員百人以上、参議院においては議員五十人以上の賛成を要する。 第百二条の七 憲法審査会は、憲法改正原案及び日本国憲法 に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案を提出することができる。この場合における憲法改正原案の提出については、第六十八条の三の規定を準用する。 ○2 前項の憲法改正原案及び日本国憲法 に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案については、憲法審査会の会長をもつて提出者とする。 現在の憲法96条では、 衆議院で憲法改正賛成316人(66.52%)VS憲法改正反対159人(33.47%)、 参議院で憲法改正賛成161人(66.52%)VS憲法改正反対81人(33.47%)、 の場合この状態では憲法改正の発議ができない。 直ちに「憲法96条」の改正にも取り組んでもらいたい。 改正箇所は <改正前:各議院の総議員の「三分の二以上」の賛成> <改正後:各議院の総議員の「過半数」の賛成> なお、国民投票に関する部分はそのままだ。 そして何と言っても憲法改正の論点の「一丁目一番地」となるのは言うまでもなく憲法9条である。 憲法9条を改正して自衛隊を正式に軍隊と位置付けることのメリットと目的は交戦権・自衛のための先制攻撃・敵基地攻撃を認めた上で現在の警察準用のポジティブリスト方式から諸外国と同等のネガティブリスト方式に変わることにより活動の制約を少なくして国防力や国際平和貢献への力が高まることにある。 「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という規定は自衛隊を軍として明確に位置付けていない。 自衛権についても抑制的に解釈され防衛政策や防衛力の充実は制限されてきた。 自衛隊の存在や国連憲章も認める集団的自衛権の行使に対し憲法9条を理由に野党から異論が出ること自体憲法改正の必要性を示していると言える。 緊急事態条項の追加も必須である。戦争や災害など国家の平和と独立を脅かす緊急事態に際して政府が平常の統治秩序では対応できないと判断した際に憲法秩序を一時停止し、一部の機関に大幅な権限を与えたり、人権保護規定を停止するなどの非常措置をとることによって秩序の回復を図る権限で、例えば瓦礫撤去などの際に土地や物件の所有者に許可を取るまで作業できないと作業が進まないため、所有者の許可なしに作業を進める場合などに適用する。法律で対応すればいいという意見もあるが憲法違反嫌疑をかけられるの未然に防ぐために憲法に組み入れ憲法で担保する必要がある。
「改憲論議に期待」70%…読売参院選世論調査 2016年7月12日 特集 世論調査 http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000302/20160712-OYT1T50120.html
読売新聞社は11〜12日、参院選結果に関する緊急全国世論調査を実施した。 自民党と公明党の与党が、目標としていた改選議席の過半数を獲得したことを「よかった」と思う人は54%と半数を超え、「よくなかった」の35%を上回った。自民党の獲得議席は「ちょうどよいくらいだ」が44%、「少ない方がよかった」が39%、「多い方がよかった」が10%だった。 自民党の勝因を聞くと、「ほかの政党よりましだと思われた」という消極的な理由が63%と際立って多かった。 参院選の結果、自民党、公明党、おおさか維新の会など憲法改正に前向きな勢力が、参院でも改正発議に必要な3分の2を超えたことについては「よかった」が48%、「よくなかった」が41%だった。 今後、国会で憲法改正に向けた議論が活発に行われることを「期待する」と答えた人は70%に上り、「期待しない」の25%を大きく上回った。 内閣支持率は53%となり、参院選公示直前の前回調査(6月17〜19日)の49%から上がった。不支持率は34%(前回調査38%)。政党支持率は自民党が41%、民進党が10%、おおさか維新の会が5%、公明党と共産党が各4%などの順だった。 *本社緊急全国世論調査結果 ()内の数字は前回6月17日〜19日の結果 ◆あなたは、安倍内閣を、支持しますか、支持しませんか。 ・支持する 53%(49%) ・支持しない 34%(38%) ・その他 4%(4%) ・答えない 10%(9%) ◆【前問で「支持する」と答えた人だけ】支持する理由を、次に読み上げる6つの中から、1つだけ選んで下さい。 ・政策に期待できる 17% ・首相に指導力がある 12% ・首相が信頼できる 10% ・閣僚の顔ぶれがよい 1% ・自民党中心の政権だから 18% ・これまでの内閣よりよい 38% ・その他 1% ・答えない 3% ◆【前問で「支持しない」と答えた人だけ】支持する理由を、次に読み上げる6つの中から、1つだけ選んで下さい。 ・政策に期待できない 34% ・首相に指導力がない 3% ・首相が信頼できない 22% ・閣僚の顔ぶれがよくない 3% ・自民党中心の政権だから 26% ・これまでの内閣の方がよい 3% ・その他 4% ・答えない 5% ◆安倍内閣の経済政策を、評価しますか、評価しませんか ・評価する 44% ・評価しない 42% ・答えない 14% ◆参議院選挙で、自民党と公明党の与党は、目標としていた改選議席の過半数を獲得しました。あなたは、この結果を、よかったと思いますか、よくなかったと思いますか。 ・よかった 54% ・よくなかった 35% ・答えない 11% ◆自民党の獲得議席は、もっと多い方がよかったと思いますか、もっと少ない方がよかったと思いますか、それとも、ちょうどよいくらいだと思いますか。 ・多い方がよかった 10% ・少ないほうがよかった 39% ・ちょうどよいくらいだ 44% ・答えない 6% ◆自民党が勝利した最大の理由は何だと思いますか。次の4つの中から、1つだけ選んでください。 ・経済政策が評価された 6% ・安倍首相の政治姿勢が 評価された 8% ・政治の安定が期待された 15% ・ほかの政党よりましだと思われた 63% ・その他 1% ・答えない 7% ◆参議院選挙で選挙協力を行った民進党や共産党などの野党4党は、今後、4党による政権を目指すのがよいと思いますか、思いませんか。 ・思う 35% ・思わない 51% ・答えない 14% ◆憲法改正を国民に提案するには、衆議院と参議院で、それぞれ3分の2以上の賛成が必要です。参議院選挙の結果、憲法改正に前向きな勢力が、参議院でも3分の2を超えたことを、よかったと思いますか、よくなかったと思いますか。 ・よかった 48% ・よくなかった 41% ・答えない 11% ◆あなたは、今後、国会で憲法改正に向けた議論が活発に行われることを、期待しますか、期待しませんか。 ・期待する 70% ・期待しない 25% ・答えない 5% ◆今回の参議院選挙で、投票できる年齢が18歳以上に引き下げられたことを、よかったと思いますか、よくなかったと思いますか。 ・よかった 69% ・よくなかった 24% ・答えない 7% ◆あなたは、イギリスがEUから離脱することで、日本の経済に悪い影響が生じるという不安を、感じますか、感じませんか。 ・感じる 64% ・感じない 26% ・答えない 10%
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