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イラク戦争は妥当とした噴飯物の安倍政権と打つ手のない野党
http://xn--gmq27weklgmp.com/2016/07/08/post-4912/
8Jul2016 天木直人のブログ
英国のイラク戦争独立調査委員会が8年越しの検証を重ねてついに検証結果の報告書を公表した。
何をいまさらという思いだが、その内容には驚かされる。
ここまで厳しく当時の英国の責任者の判断を断罪するとは思わなかった。
新聞が報じるその概要はほんの一部に過ぎないが、この膨大な報告書を丹念に読み解けば、あの米国のイラク攻撃が如何に間違っていたが証明されるだろう。
そして小泉政権時の日本の対応の無策ぶりがあぶりだされてくるに違いない。
だからこそ、安倍政権ははやばやと「日本政府はこれ以上検証しない」と幕引き宣言をした。
すなわち世耕弘成官房副長官は7月6日の記者会見で、小泉政権時の判断はいまでも妥当性を失うものではないと言い切ったのだ。
その言い草が噴飯物である。
つまり日本を英国と同列には論じるのは適切ではない。
人道支援と後方支援だけしかしていないだ。
だからこれ以上検証しなくてもいいと言ったのだ。
逆だ。
英国は米国の戦争に苦渋の決断で参戦した。
だからこそ、その苦渋の決断の背景を詳細に検証して、その判断の誤りを認める勇気を示した。
ところが日本は初めに支持表明ありきだった。
検証すべき内容がないほど無責任な支持表明だった。
それがばれると国民を裏切ることになる。
世界に恥じをさらすことになる。
だから検証しないのだ。
検証しようにも検証するほどの材料さえないのだ。
そのようないい加減な政策決定だからこそ、いまあらためて検証されなければいけないのだ。
それを封印する安倍政権は噴飯物である。
しかし、そんな噴飯物の安倍政権を、野党は追及できない。
安倍政権が。これ以上検証しなくていいとする最大の根拠は、既に2012年に外務省が検証報告書を出したからだ。
ところがこの検証報告書は外務省の下っ端官僚が鉛筆をなめて書いたわずか17ページのものだ。
対米従属だけでイラク戦争を支持を決めた当事者が、みずから書いた検証報告書など、泥棒が縄を編むような笑いものでしかない。
しかし、それを認めたのが当時の民主党政権だ。
その民主党政権の主要な連中が居座る今の民進党が、安倍政権に検証を求める事がどうしてできるというのか。
すべてがそうであるように、ブーメランのように跳ね返ってくるのがオチだ。
それなら民進党がやり直せばいいじゃないかとなる。
そして、その民進党と野党共闘を組む共産党がイラク検証を安倍政権に求めても、「野党内部で調整してから出直せ」となる。
英国のイラク戦争検証報告書が突きつけたもの。
それは噴飯物の安倍政権と打つ手のない野党共闘の惨状だ。
日本の政治の救い難さである。
それだけではない。
きょうの朝日新聞も毎日新聞も、日本も検証しろと求めている。
安倍政権がそれに応じるとでも本気で思っているのだろうか。
メディアもまたおためごかししか書かない憤懣ものである(了)
◇
イラク戦争 日本も検証すべきだ
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=com_gnavi
2016年7月8日(金)付 朝日新聞社説
イラク戦争への参加は正しかったのか。英国の判断を7年間検証してきた独立調査委員会が下した結論は明快だった。
「平和的な方策を尽くす前に侵攻した」と、過ちを認めた。フセイン政権による大量破壊兵器の保有を示す確かな情報はなかったのに、武力行使という重大な決定に踏み切ったのだ。
英国が「米国の戦争」に巻き込まれる過程も調べられた。開戦8カ月前にブレア首相はブッシュ大統領に「何があっても行動を共にする」と約束。強固な同盟国も米国をいさめるどころか追従した現実に慄然(りつぜん)とする。
国民の求めに応じて政府が設けた独立調査委が、政治家や官僚の抵抗に屈さず、過ちを暴いた努力は評価されるべきだ。
「学びうる教訓を特定し、将来同様の状況に置かれた際に適切に対処するため」。委員会の趣旨説明はそう明記している。
過去の政策を冷徹に評価し、過ちを繰り返さない努力を尽くす責任は、どの国家にもある。
残念ながら、日本政府にはその自覚がうかがえない。今回の検証について高官は「(イラクで)人道支援と後方支援のみを行った我が国を同列に論じるのは適切ではない」と語った。
そもそも安倍首相が昨年夏の国会答弁で、イラク戦争について、フセイン政権の責任を強調し、米英などの武力行使は国連安保理決議で正当化されていたとの認識を示している。
戦争を主導した米英も過ちを認める開戦の根拠について、安倍首相はじめ日本政府はいまだに正当化し、自ら加担した責任も認めようとしていない。
開戦直後、当時の小泉純一郎首相は大量破壊兵器の拡散を防ぐのが戦争の目的だとして、武力行使への支持を表明した。国際社会の合意を得られなかった米英を明確に支えたのだ。
大量破壊兵器はなかった。何を根拠に「大義なき戦争」を支持し、自衛隊を派遣したのか。戦争そのものが国際法に抵触しないか検討を尽くしたのか。
日本国民はいまなお納得できる説明を受けていない。外務省が4年前に公表した省内対応の検証でも「米英支持」の是非については対象外とされた。
「日米同盟ありきの判断だったのでは」との疑念がぬぐえないまま今年、安全保障法が施行された。自衛隊が米軍と一体化した軍事行動をとるシナリオはより現実味を帯びている。
「米国の戦争に巻き込まれることはない」。安倍首相の断言に説得力をもたせたいなら、日本にとってのイラク戦争を検証することから始めるべきだ。
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