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2016/07/06 04:09
<「全く筋違いの発言。強い憤りを感じる」。村井嘉浩宮城県知事は4日の定例記者会見で、共産党の前政策委員長が防衛費を「人を殺すための予算」と発言したことに怒りをあらわにした。
陸上自衛隊出身の村井知事。「防衛予算を使って仕事をした人間だが、人を殺すための訓練は行っていない。いかに平和に貢献するかを念頭に教育、訓練を受けてきた」と力説した。
10日投開票の参院選宮城選挙区(改選数1)で共産と共闘する民進現職候補に触れ、「候補者本人が発言したわけではない。共産もすぐ訂正した。あくまで一個人の発言と受け止めている」との見方を示した>(以上「河北新報」より引用)
共産党議員の「人を殺すための予算」との発言に対して元自衛隊員の宮城県知事が「全くの筋違い。強い憤りを感じる」という発言の両者とも似たようなものだといわざるを得ない。
防衛戦争にしろ侵略戦争にしろ、戦争にどれほどの違いがあるというのだろうか。実態は兵器や弾薬を用いて相手を殺害して地域を制圧することに他ならない。
特攻隊賛美などの戦争を美化するのも戴けない。戦争は戦争だ。そのための予算は「人殺しの予算」といわれればまさにその通りだが、日本の場合は「専守防衛」であって、他国の領海や領空を犯そうと企てているわけではない。
だから他国軍と交戦して他国軍人を殺害する訓練はしているが、だからといって「人殺しの予算」と誹謗するのは正しくない。しかし、それに対して「自衛隊は人殺しの組織ではない」というのなら、何のために破壊兵器を装備したり隊員が銃を所持して出動するのだろうか。
いずれの場合であれ、戦争は人の命のやり取りだという現実を忘れることの方が危険だ。現実世界ではテレビゲームのようにリセットすれば死者や消滅した軍隊は復活しない。テレビゲームでは硝煙の臭いや血や死体の放つ悪臭はしないが、現実世界の戦争は反吐が出るような悪臭を伴う。
いずれの戦争であれ、戦争はしないに越したことはない。そのための外交であり、国際協調だ。特定の団体や宗教を「敵」と認定して「戦う姿勢」を鮮明にすることが「格好良く」「潔い」と賛美する風潮は危険だ。
米国のテロとの戦いに参戦表明した安倍氏は自身が銃の照準に捉えられて銃弾を浴びせられる事態を全く想定していない。いや、彼以外の誰かが殺し合うことすらも想定していないかも知れない。
そうした安易な「テロとの戦い」に友軍として参加表明し、2兆円もの予算を出すと約束したことに米国と戦っている団体を刺激することを安倍氏は全く想像していなかったに相違ない。さもなくば、イスラム国家に日本政府がODA支援したり、人員を派遣することがどれほど彼らを危険に曝しているのかを想像すらしない、無防備な状態で派遣した人たちに対して「身の安全確保」の警告すらしていなかった事実が理解できない。
戦争に対する覚悟も用意もなしに安倍氏が米国のテロとの戦いに「友軍」として参加表明した。それも外遊先の中東トルコでだ。テロとの戦いに2兆円の援助するとも言った。
その瞬間に日本国民のすべてがテロの標的とされる危険性、とりわけイスラム圏にいる日本国民に及ぶであろう殺害の危険性が格段に高まったことを、防衛省は外務省を通じて警告したのだろうか。元自衛官の宮城県知事が「自衛隊は人殺しの訓練はしていない」というのなら日本の防衛に対して全くの役立たずだと表明したのと同じだ、という論理が解らないのだろうか。
安倍自公政権は安倍氏の不用意な米国ポチ発言と、勝手に日本国民の税金2兆円をドブに捨てるという、格好良くも愚かな行為により日本国民を危険に曝した。テロとの戦いを宣言したのなら、なぜ自衛隊員が彼ら海外で働く邦人保護のために装備して護衛していないのだろうか。それとも「テロとの戦い」という宣言は安倍氏特有の口先だけの戯言だったのだろうか。しかし宣言された方はそうは受け取っていないだろう。宮城県知事の認識と同様な、能天気な平和日本の住民と、戦乱の続く地域に暗い住民とでは戦争に対する日常性と具体性が全く異なることを知るべきだ。
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