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3つある自民党の勝敗ラインのうち、安倍首相が死守したいのが「改憲勢力で3分の2」に達すること。これが達成できなかった場合、安倍自民は一気に弱体化することになる 写真:伊藤真吾/アフロ
参院選「改憲勢力3分の2」が安倍政権の命運を分ける
http://diamond.jp/articles/-/94188
2016年7月4日 西山大樹[清談社] ダイヤモンド・オンライン
7月10日の参院選投開票まで、残り10日を切った。選挙に先立ち、自民党の安倍総裁は「自公で過半数を獲る」との目標を掲げているが、党内では「自民単独での過半数を」との声も上がっている。果たして、与野党それぞれの実質的な「勝敗ライン」とはどこにあるのか。政界の動向に詳しいジャーナリストの鈴木哲夫氏に聞いた。
■自民に内在する3つの勝敗ライン
焦点となるのは“憲法改正”
各党、様々な思惑がせめぎあう参院選の勝敗ラインだが、もっとも気になるのは与党である自民党の設定値。鈴木氏によると、自民には3つの勝敗ラインが存在しているという。
「まず1つ目は、安倍首相が公言している『自公での過半数』。しかしこの勝敗ラインには、大きな問題点があります。3年に1度の参院選は定数242名のうち、毎回、半分の121名しか改選されないのですが、安倍首相が掲げているのは、その『改選121名の過半数』なのです。法案を通すためには非改選の議席も含め、参議院全体で過半数を占める必要があるのに、改選される121名だけで過半数をとっても意味がない。明らかに勝敗ラインを低く見積もっています」
鈴木氏によれば、「この設定値は選挙結果が責任問題にならないようにまずは低くしているという狙いがあるのでは」とのこと。
安倍首相も党首として、また、自身の進退がかかっている以上「迂闊なことは述べたくない」というのが本音だろう。
「2つ目の勝敗ラインは『自民の単独過半数』。参議院では現在、自公で過半数である135議席を占めていますが、自民単独ではやや足りない。この状態では、法案を通すために公明党に気を使ったり、彼らの提示する条件を飲まざるを得ないケースが出てきてしまいます。そんなふうに公明党の意向を気にせずに議会運営をするためには、今度の選挙で自民党は『57議席』を獲得する必要があるんですね。そうすれば単独で過半数に届きます」
昨年の「軽減税率の導入」についても、公明党は「やりたい」、自民党は「やりたくない」と、真っ向から意見が分かれたが、自民党は公明党に配慮して導入を決めざるをえなかった。自民が単独過半数を獲得しない限り、こういった問題は今後もなくなることはない。
「3つ目は『改憲勢力で3分の2』に達すること。これは安倍首相の政治家としての信条でもある“憲法改正”を実現できるかどうかの勝敗ラインです。日本国憲法は最高法規なので、改正のためのハードルは高く、過半数でなく衆参それぞれで3分の2の賛成が必要。それをクリアして初めて、国民投票で問えるわけですね。この場合は自公のみならず、おおさか維新の会や、日本のこころを大切にする党など、他の改憲勢力と合わせて『78議席』に達すればクリアできます」
憲法改正は、安倍首相が「在任中に成し遂げたい」と語るほど思い入れがあり、自民の公約にも含まれている政策だ。そうであれば、この3つ目こそが自民にとっての「実質的な勝敗ライン」と言えるだろう。
■勝利の凱歌をあげる日も近い?
野党が目指す勝敗ラインとは
自民が3パターンも抱えている勝敗ラインだが、野党にとってのボーダーはどこになるのか。自民の勝敗ラインと、どう関わってくるのだろう。
「自民だけでなく、野党にとっても最大の焦点は憲法改正です。ですから改正に反対する勢力からすれば、勝敗ラインは必然的に『改憲勢力が3分の2に達するのを防ぐこと』になります。野党にとっては阻止できなくはない目標といえるでしょう」
この勝敗ラインは、政権奪取を狙う野党陣営のものとしては、やや頼りなくも思える。しかし、憲法改正が「難しい政策」である以上、逆に、阻止することは「容易」なのだ。では、野党が大幅に議席を伸ばすチャンスもあるのか。
「それは一概には言えません。戦況はかなり拮抗しているからです。理由はいくつもありますが、もっとも大きな要因として『いまの自民は地方で弱い』ということが挙げられます。アベノミクスの恩恵は、大企業と都市部では顕著でしたが、地方では3年経ったいまでもアベノミクスの恩恵は少なく実質賃金なども上がっていません。農家もTPPには絶対反対ですし、東北では秋田を除いて自民は1人区で、厳しい戦いという政党マスコミの世論調査も出ているぐらいです」
今回の選挙では、メディアの多くが“改憲勢力で3分の2を伺う勢い”と報道しているが、自民が行った世論調査では『1人区では10以上も議席を落とす』と出ているという。
「しかし今回、選挙区では野党の選挙協力がうまくいきましたが、比例では統一名簿ができなかったので、野党はバラバラになっています。そのため与党への批判票がバラけてしまい、相対的に自民党がガッと得票を伸ばすことになるんですね。つまり、選挙区では野党が挽回しているものの、比例区では依然として自民が強い。与野党ともに、互いに気の抜けない選挙になるでしょう」
いくつかの複数区においても、自民は候補者をだいたい2名出しているが、鈴木氏によると「1人目は大丈夫だが、2人目がギリギリの当落線上にいる」とのこと。1人区も含め、選挙区において野党が票を伸ばす可能性が高い以上、複数区でも自民党は気が抜けないといえるだろう。
今回の選挙では、勝敗ラインがいくつも存在し、どれをもって「勝った」「負けた」と判断してよいものか、非常に分かりづらい状況となっている。
「ここまで、複数の勝敗ラインを挙げてきましたが、やはり、もっとも注目すべきは、『自民を中心に改憲勢力で定数の3分の2を占める78議席を獲得するか否か』というボーダーが、今後の政局を大きく左右することは間違いありません。憲法改正できないとなると、安倍首相の求心力は弱まりますし、本人のマインドも下がるかもしれません。そういった意味では、今回の参院選が非常に大きな分岐点となります」
安倍首相の憲法改正を阻止できたとなれば、野党も大手を振って勝利を宣言でき、「勝った」という大義を得て、政権交代に向けて勢いがつく。つまり、安倍首相が自ら掲げる勝敗ラインである「自公で過半数」を満たせたとしても、改憲勢力で3分の2に達しなければ、安倍政権は終わりなのだ。目前に迫った参院選、各党の動きに注目したいところだ。
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