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負け比べと化した今度の東京都知事選挙
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2Jul2016 天木直人のブログ
私が東京都知事選挙について書くのはこれで三度目だ。
そしてこれが最後だ。
私が三度も東京都知事選について書くのは、今度の東京都知事選挙を重視しているからではない。
その逆だ。
私は今度の東京都知事選には関心が無い。
それは、与野党やメディアが騒ぎ立てるのとは真逆に、今度の東京都知事選挙の結果は日本の政治にとってほとんど関係ないと思うからだ。
日本の国政にとってはるかに重要なのは今度の参院選だ。
その参院選への関心を分散させるタイミングで行われる今度の東京都知事選は、むしろない方がよかった。
しかし、それが意図されたものだったのか、事の成り行きでそうなったのか知らないが、舛添騒動の結果、こうなった。
そして、与野党とメディアが、政局と結びつけて大騒ぎし、迷走している。
それを見ていると、この国の政治の不毛さが、そっくりそのまま東京都知事選にあらわれている事が分かる。
私は最初に片山善博相乗り候補で決まりだと書いた。
民進党が片山善博氏を本気で口説き、安倍首相が相乗りを決めれば、そして私が安倍首相ならそうするが、いくら片山氏にその気がなかったとしても、応じざるを得なかっただろう。
それが私は一番よかったと思っている。
ところが、そうはならず、いきなり小池百合子が手をあげた。
これには心底驚いた。
そして、私の片山善博で決まりだという予想は見事に崩れた。
それだけではない。
自民党と民進党の立場が逆転したのだ。
私は、「相乗り候補は認めない」と早々と宣言しておきながら、その人選にいつまでたっても勝てる候補を見つけられない民進党を、愚の骨頂だと書いた。
今度は自民党がその愚をおかす事になった。
そして小池百合子に不快感を持つ自民党東京都議連は増田寛也元岩手県知事、総務大臣を擁立する動きに出たという。
これには笑ってしまった。
増田氏の擁立を笑ったのではない。
その話をメディアに聞かれた増田氏が、喜びを隠しきれず、要請があればいつでも立候補すると言わんばかりに答えた姿を見て笑ったのだ。
おなじ官僚出身で、知事、総務大臣経験者で、そしていまでは評論家としてテレビに出まくっている片山氏と増田氏は、似て非なるものがある。
旧自治省出身の片山氏と旧建設省出身の増田氏とでは官僚の格が違う。
与野党双方から距離を置く片山氏と、与党べったりの増田氏とは見識が異なる。
増田候補に野党共闘が相乗りすることはないが、片山候補であれば自公は相乗りできる。
だから私は先に民進党が片山氏を擁立すれば、私が安倍首相なら片山候補に相乗りして、これで今度の東京都議会選は決まりだと書いたのだ。
そうならばいまごろは東京都知事選の騒ぎなど終わっていたに違いない。
候補者選びで苦しむのは、いまや自民党のほうになった。
小池百合子ならまだ個人的集票力はあるが、増田寛也が候補になれば、頼りにするのは自公公認の組織票しかない。
そうなれば、野党共闘が打倒自公候補で結束すれば勝てる可能性が出てくる。
民進党の候補者を見てから考えればよかったものの、小池百合子の立候補宣言で先行せざるをえなくなった自民党は、一転して窮地に立たされることになったのだ。
しかし、だからといって民進党にチャンスが来たという話ではない。
あくまでも勝てる候補が見つかれば、の話だ。
いまでも、与野党相乗りはないと言い張る民進党が候補者と考えているのが、江田憲司、柿沢未途、海江田万里、長島昭久だという。
勝てるはずがない。
まさしく今度の東京都知事選は負け比べだ。
いまの安倍自公と野党共闘の負け比べと同じだ。
今度の東京都知事選は、もはや誰が勝っても負けても、都民や国民には関係ない不毛な選挙だ。
参院選の関心を分散させ、安倍首相を喜ばせるだけ害悪である。
こんなつまらない東京都知事選にメディアが大騒ぎするのはメディアが安倍政権の御用聞きメディアに成り下がっている事を白状しているようなものである(了)
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