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都知事選はすでに勝負アリ!小池百合子の驚くほど見事な“作戦勝ち”
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49068
2016年07月02日(土) 歳川 隆雄「ニュースの深層」 現代ビジネス
■「崖から飛び降りる覚悟」
老獪な小池百合子元防衛相の“作戦勝ち”だった。小池氏は6月29日午前、国会内で記者会見し、東京都知事選(7月14日告示・31日投開票)出馬を表明した。
「都政の信頼回復、停滞の解消、山積する課題解決のため崖から飛び降りる覚悟で挑戦したい」と語ったが、肝は「崖から飛び降りる覚悟」というフレーズであった。
小池氏が出馬決意を自民党都連(会長=石原伸晃経済財財政・再生相)に対して事前に相談しなかったことから、石原氏を始め都連幹事長代行の萩生田光一官房副長官らは激怒した。そして自民党都連のドン、内田茂元幹事長ら都議団も「寝耳に水」と驚きを隠さなかったし、不快感を露にした。
当然、小池氏はこうした反応を織り込んでいた。出馬しても自民党の推薦は受けられない。それどころか除名される可能性も少なくない。
しかし、小池氏はワースト・シナリオ(=自民党除名)対策をきちんと用意していたのだ。当事者は絶対に認めないが、小池氏は密かに民進党の枝野幸男幹事長に同党の支持を求め、内諾を得ていたというのだ。
■小池氏出馬の内幕
思い出して欲しい。小池、枝野両氏は、1993年7月総選挙で細川護煕元首相が率いた日本新党から立候補・初当選を果たした「同志」なのだ。
たとえ自民党が桜井俊前総務事務次官を口説き落とし自民、公明両党推薦で出馬していたとしても、小池氏は細川、小泉純一郎元首相コンビの支援を受けて都知事選を戦う意思を固めていたとされる。
その場合、都政の抜本的改革だけでなく、2020年東京五輪の予算・規模の見直しから原発再稼働反対、さらにはアベノミクス批判まで公約に掲げることになる。これが、「崖から飛び降りる覚悟」なのだ。
小池氏が、東京五輪組織委員会会長の森喜朗元首相と折り合いが悪いこと、そして第1次安倍内閣の防衛相時代、安倍晋三首相の不興を買ったことは周知のことである。それだけではない。小池氏は、石破茂地方創生相のグループ「水月会」のメンバーでもある。
ここに来て安倍官邸と自民党執行部は、小池氏に事実上の「反安倍」を前面に出して都知事選を戦われることが今後の政権運営に与えるマイナス効果を無視できなくなったのだ。こうして潮目は変わり、一夜明けた30日なって自民党内に「小池氏出馬容認論」が出てきたのである。
究極のブラフでもってひっくり返した小池氏の作戦勝ちに終わった。そして同氏の次期東京都知事はほぼ間違いない。
ここで見過ごせないのは、都知事候補選びに官邸サイドが強くコミットしていなかったにしても、安倍首相の側近の一人である萩生田官房副長官が舛添要一前知事の辞任劇以降、小池氏容認に至るまでの“騒動”を掌握できていなかったことである。
安倍首相の必ずしも本意ではない小池氏推薦は、現在の「安倍1強」体制に与える影響が少なくない。安倍官邸主導ですべてを決めてきたこれまでの「実績」に小さいとはいえ「傷」をつけてしまったのは事実である。
■自民が負ける1人区は6県に留まる
それはともかく、7月10日投開票の参院選である。
勝負はすでについた。自民、公明、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党のいわゆる「改憲勢力」で参院3分の2に届く勢いである。
焦点とされた32の1人区でも、自民党候補が野党統一候補に敗れるのは岩手、宮城、山形、福島、長野、沖縄の6県に留まる可能性が高い。
民進党の岡田克也代表の地元・三重も現職の芝博一候補(野田佳彦政権の官房副長官)が自民新人の山本佐知子候補(故山本幸雄元自治相の孫)に頭ひとつりードされている。三重敗北になれば、岡田氏は9月の代表選出馬見送りとなる。
参院選後の内閣改造・自民党役員人事は7月25日以降、8月上旬までに実施される。注目は谷垣禎一幹事長の後任と石破地方創生相の去就であり、岸田文雄外相と二階俊博総務会長は共に幹事長に強い意欲を持っている。
「二階幹事長」の場合、官邸側は同氏に権力が集中することを嫌い、「岸田幹事長」の場合、外相の後任難に頭を悩ますことになる。
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