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舛添批判の矛先は安倍総理にも向かっている〔PHOTO〕gettyimages
結局、「舛添ショック」は参院選にどれくらい影響するのか?よみがえる07年のトラウマ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48995
2016年07月01日(金) 週刊現代 :現代ビジネス
「あくまでも、舛添は東京だけの問題」——安倍総理も自民党も、それで幕引きしたい。しかし元をたどれば、舛添氏の背後には彼らがいた。有権者のことをナメていると、痛い目に遭う。
■潮目が変わった
「正直、ダメージは否めませんよ。安倍総理は6月第2週から、全国で毎日のように街頭演説に立っていますが、どこに行っても『舛添はどうするんだ!』と罵声をくらっていましたからね。総理は肌感覚で『舛添問題が参院選で逆風になる』と分かっています。
実際、6月に入ってすぐに総理は『早く(舛添を)何とかしたほうがいい』と周囲に漏らし始めた。それで、『盟友』である下村(博文前文科相)さんを動かし、事実上の『官邸主導』で舛添さんに引導を渡したわけです」(官邸スタッフ)
3月に高額な海外出張費が問題になって以降、次々に政治資金の私的流用がバレ、いつしか「史上最悪の東京都知事」と国民から罵られるまでになった舛添要一氏。にもかかわらず、舛添氏は驚異的な「粘り」を見せ、都知事のイスにしがみついた。
「安倍総理の意を汲んで水面下で『舛添切り』に奔走した下村さんには、舛添さんへの個人的な恨みもあった。新国立競技場建設問題で『文科省がグダグダだったから、予算が膨れ上がったんだ』とボロクソに言われたうえに、大臣の座から降ろされたことを、ものすごく恨んでいるんです。
だから、自分の手で舛添さんの首を取りたかった。自民党内では、『下村さんが片付けてくれたおかげで、参院選は何とかなりそうだ』という安堵の声も出ています」(同・官邸スタッフ)
しかし、ある自民党幹部議員はこう漏らす。
「私も立場上『参院選への影響は軽微』と言いたいところですが、残念ながら、遅きに失した」
舛添氏は、自民党と公明党の支援で都知事になった。それが、参院選の公示を6月22日、投開票を7月10日に控えたこのタイミングで、「道義的にはどうあれ、法的には問題ない」の一点張りで政治資金の流用を正当化し続けた。
各紙の世論調査で、国民の約8割が「ただちに辞任すべき」と怒りを燃やしたのも、当然のことだろう。前出の幹部議員が続ける。
「すでに、舛添のせいで自民党の票はかなり削られてしまっている。彼が居座れば居座るほど票が減っていくものだから、特に最後の「粘り腰」は予想外の痛手でした。
今回の参院選は、自民党としては『争点をうやむやにしたまま乗り切る』つもりだったのですが、今となっては、野党が舛添の『製造者責任』を追及してくるのが確実です。
舛添問題が盛り上がる前は、『現有の50議席から、どれほど控えめに見ても4~5議席は上乗せできる。オバマ大統領の広島訪問や消費税増税再延期をうまくアピールできれば、単独過半数は余裕でクリアできる』と考えていた。しかし、状況は変わりました。
『舛添ショックで、自民党比例の票が500万票減る』という予測も党内で流れています」
本来、この参院選は自民党と安倍総理にとって「黙っていても勝てる」選挙だった。前回'13年選挙並みの票を得られれば、安倍総理の掲げた「与党で改選過半数」のハードルは、楽勝でクリアできたはずなのだ。
しかし、「比例で500万票減」となると、まったく話は違ってくる。具体的に計算すると——。
'13年夏の参院選では、自民党は比例で1846万票を獲得し、18議席を得た。選挙区での当選者47議席とあわせて、改選過半数の65議席を確保している。ちなみに、比例の2位は公明党で756万8000票(7議席)。当時の民主党は3位で、713万4000票(同じく7議席)だった。
これが「自民党500万票減」となった場合、情勢はがらりと変わる。
■女性票を大きく失う
まず、比例での自民党の得票数は、約1346万票に激減する。前回選挙時点での民主党・みんなの党の一部・日本維新の会の一部・生活の党の一部などの票を民進党の獲得票として合算すると、1200万票あまりになるため、自民党と民進党の差は100万票程度まで縮まる。
これにもとづいて、ドント方式で比例の獲得議席数を算出すると、自民党は14議席、民進党が13議席。つまり自民党は、今回改選となる12議席から、たった2議席しか伸ばせないということだ。
得票数こそトップかもしれないが、余裕勝ちを見込んでいただけに、完全な「敗戦」と言っていい。
問題は、減った500万票がどこへ行くかだが、「舛添のようなひどい政治家のせいで、気分が白けた」という有権者が膨大に出ることが予想される。投票に行かない、あるいは行っても白票を投じる有権者が数百万人単位で現れ、投票率はまたしても過去最低を更新するだろう。
「一般論から言えば、投票率が下がれば与党に有利になるはずです。
しかし今回ばかりは、たとえば前回の都知事選で細川護熙・小泉純一郎コンビのほうを応援していたような野党寄りの有権者は、きっちり野党に入れに行くでしょう。今後の情勢次第では、民進党・共産党に流れる票もバカにできません」(自民党選対関係者)
「舛添ショック」で自民党が票を減らすのは、比例だけではない。野党協力・統一候補の擁立が進んでいる各地の選挙区でも、逆風が強まることが必至である。
「舛添問題の何がいけなかったって、使い込んだ額は大したことなかったのに、政治資金で旅行して豪華な部屋に泊まったとか、美術品を買っていたとか、あまりにも一般の国民にとって『分かりやすかった』ことですよ。
ワイドショーで何回も繰り返し『公私混同』と流された影響力はバカにならない。いちばん投票に足を運ぶ50代以上の女性は、こういった話題に敏感ですからね」(自民党ベテラン議員)
「舛添ショック」を念頭においた本誌の試算では、自民党の議席数は比例14議席、選挙区31議席、合計45議席にとどまる。'07年選挙のときほどではないものの、現有の50議席を割りこむ衝撃の結果である。
■「'07年の悪夢」を思い出す
安倍総理には、「参院選のトラウマ」がある。
第一次安倍政権下の'07年夏に行われた参院選で、自民党が確保した議席はたったの37。党始まって以来の「歴史的惨敗」の原因は、相次ぐ閣僚のスキャンダルと辞任ラッシュだった。
柳澤伯夫厚労相の「女性は産む機械」発言。松岡利勝農水相の光熱費問題と、突然の自殺。松岡氏の後任で「バンソーコー大臣」と呼ばれた、赤城徳彦農水相の事務所費問題。そして、久間章生防衛相の「原爆投下はしょうがない」発言……あのときも、ワイドショーはこれらの報道一色に染まっていた。
そして参院選からわずか2ヵ月後、安倍総理は「体調不良」を理由に辞任してしまう。
「今回、比例だけでなく選挙区でも票を減らして、『自公で過半数割れ』などということになれば、あらゆるメディアに『第一次安倍政権末期の再現だ』と書き立てられるでしょう。安倍総理は、あのときの悪夢を思い出しているはずです。
少なくとも東京選挙区では、かなりの票が減ると覚悟を決めています。知名度が伸び悩んでいる、ウチの二人目の候補の朝日健太郎は、これでいよいよ厳しくなった。小沢一郎(生活の党代表)が画策していた『野党統一名簿』が実現していたら、東京に限らず、もっと悲惨な結果になっていたでしょう」(前出・自民党ベテラン議員)
野党が追及する通り、舛添氏の「製造物責任」は自民党・公明党にある。ただし、安倍総理と舛添氏の折り合いは良好なわけではない。
'14年2月の都知事選でも、総理をはじめ自民党トップは、舛添氏を嫌々ながら支援することを決めた。何しろ舛添氏は、かつて「自民党の歴史的使命は終わった」と捨てゼリフを吐いて党を飛び出した人物。
都知事選の際に、小泉進次郎衆院議員は「応援する大義はない」と反発したが、この時は安倍総理も、内心で「他に見つからないんだから、仕方ないじゃないか」と思っていた。
一度は確執を水に流して応援してやったのに、こんな形で政権運営に大打撃を与え、オレの顔に泥を塗るとは—安倍総理にしてみれば、悔やんでも悔やみきれない痛恨事だろう。
期せずして火蓋が切られた、事実上の「参院・都知事ダブル選」。安倍総理の予想もつかない方向へと、事態は転がり始めた。
「週刊現代」2016年7月2日号より
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