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安倍政権は日本を米国の戦争マシーンに組み込んで主権を米巨大資本に贈呈だが、マスコミは無視
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2016.06.28 19:09:36 櫻井ジャーナル
イギリスで実施されたEU離脱を問う国民投票、いわゆるBrexitに関する話を日本の新聞(テレビは受像器がないのでチェックしていない)は連日、1面トップで伝えている。その本質に迫る内容ならまだしも、表面的な話ばかりで、日本が抱えている大きな問題を隠すことが目的だとしか思えない。
Brexitの投票が行われる前からEUではロシアとの関係やTTIP(環大西洋貿易投資協定)をめぐり、対米従属はへの批判が出ていた。グリーンピースがTTIPの関連文書を明らかにして実態が確認されたこともEUの「エリート」に対する怒りを高めただろう。EUから離脱するべきだという意見を強めた難民問題もアメリカが進めている中東/北アフリカ侵略のひとつの結果。アメリカ支配層に従属することで自分たちの収入と社会的な地位を確保しようとしている「エリート」の私利私欲によってEU全体が危機的な状況に陥っている。そうした「エリート」への怒りがBrexitの結果にも反映されているだろう。が、そうしたことを深く掘り下げていないのだ。
アメリカに従属する日本の「エリート」の場合、経済面で深く結びついていた中国との関係を悪化させ、石油や天然ガスの供給源として優位な位置にあるロシアとの関係改善にも消極的。そしてTPP(環太平洋連携協定)やTiSA(新サービス貿易協定)。TPPに含まれるISDS(投資家-国家紛争調停)条項によって、日本は主権をアメリカの巨大企業へ贈呈することになる。
つまり、巨大企業のカネ儲けを阻むような法律や規制を政府や議会が作ったなら企業は賠償を請求でき、健康、労働、環境など人びとの健康や生活を守ることは困難になる。99%とも99.99%とも言われる「普通の人びと」は巨大資本の「御慈悲」にすがって生きるしかないわけだ。本ブログでは何度も書いているように、TPP、TTIP、TiSAはファシズム化の仕組みにほかならない。(注)
それだけでなく、安倍晋三政権は憲法を改めることで庶民からさまざまな権利を奪おうとしている。マスコミは漠然と「改憲」というタグを使っているが、天皇制の廃止などは想定されていないはずで、第9条だけがターゲットになっているわけではないだろう。
戦争するためには第76条も邪魔である。ここでは次のように規定されている:
1 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
つまり、軍事法廷は設置できない。軍隊内で問題が生じた場合も通常の法廷で裁かれることになり、事実上、戦争の遂行は困難になる。とくに侵略戦争の場合は難しい。第9条で「国の交戦権は、これを認めない。」とされているので、作戦上、必要だとして建造物を破壊した場合、損害賠償を請求する民事裁判が起こされることも想定できる。
第9条をはじめとする日本国憲法の条文を早い段階で問題にしたのひとりが昭和天皇。1946年10月16日、そして新憲法が施行された3日後の1947年5月6日に天皇はダグラス・マッカーサー連合国軍最高司令官と会談、その憲法が軍隊を禁止し、戦争を放棄していることを危惧したという。(豊下楢彦著『昭和天皇・マッカーサー会見』岩波書店、2008年)
マッカーサーは第9条を擁護するが、アメリカで1950年4月に状況が大きく変わった。ウォール街の大物弁護士だったジョン・フォスター・ダレスが国務省の政策顧問に就任、「事実上対日講和を担うことになった」(豊下楢彦著『昭和天皇・マッカーサー会見』岩波書店、2008年)のである。この人物は巨大資本の代理人であり、情報機関で破壊活動を指揮していたアレン・ダレスの兄でもある。
1950年4月下旬、吉田茂は大蔵大臣の池田勇人をアメリカへ派遣し、「日本政府としては、日本側からそれをオファするような持ち出し方を研究してもよろしい」というメッセージを伝えたという。
しかし、その内容は吉田の発言と矛盾する。池田と一緒に「首相特使」として渡米した吉田の側近、白州次郎はアメリカと池田らと別行動をとり、国務次官補に対しては「日米協定で米軍基地を日本において戦争に備えることは憲法上むずかしい」と伝えている。池田と白州は相反するメッセージをアメリカ側へ伝えたことになる。(三浦陽一著『吉田茂とサンフランシスコ講和(上)』)
ちなみに、1947年4月9日付けの『寺崎日記』によると、「陛下は吉田白州のラインに疑念を持たるヽなり」と書かれている。
ダレス兄弟やグルーを代理人とするアメリカの巨大金融機関は1933年から34年にかけてフランクリン・ルーズベルト大統領が率いるニューディール派を排除してファシズム政権を樹立するためにクーデターを計画している。(スメドリー・バトラー海兵隊少将らの議会証言)1945年4月にルーズベルト大統領が執務中に急死して以降、アメリカでは親ファシスト派が主導権を握り、ジョン・フォスター・ダレスの登場でその流れは決定的になった。
日本国憲法は天皇制を維持するためにアメリカ支配層が作り上げた急ごしらえの最高法規だが、親ファシスト派から見るとニューディール派的な条文は目障りのはず。日本をアメリカ軍の手先として使うためにも第9条は特に邪魔な存在だ。
1963年後半にソ連を先制核攻撃する計画があったことは本ブログで何度も指摘してきたが、この計画は実行できなかった。それ以降、先制第1撃で相手国を殲滅、反撃されないとう状況はなくなるが、1991年12月にソ連が消滅してから状況が変わり、翌年の初めに国防総省のDPG草案という形で世界制覇プラン(ウォルフォウィッツ・ドクトリン)が作成された。アメリカが「唯一の超大国」になったと認識したうえで、自立した体制、潜在的なライバルを破壊し、力の源泉である資源を支配しようと考えたのだ。
2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃(9/11)されると、ジョージ・W・ブッシュ政権は「アル・カイダ」の犯行だと詳しい調査もせず、すぐに断定、アル・カイダ系武装集団を「人権無視」で弾圧していたイラクのサダム・フセイン体制を倒すため、2003年3月に先制攻撃する。
イラクを攻撃する際にブッシュ政権が嘘を広めていたことがすぐに判明するが、そうした中、2004年にリチャード・アーミテージ副国務長官(当時)は自民党の中川秀直らに対し、「憲法9条は日米同盟関係の妨げの一つになっている」と言明した。
ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できると主張するキール・リーバーとダリル・プレスの論文がその2年後、フォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)に掲載されている。アメリカの好戦派はキューバ危機の当時と似た精神状態になっていると言える。つまり、核戦争が勃発する危険性が高まっている。
ソ連が消滅、残ったロシアの大統領は西側巨大資本の傀儡だったボリス・エリツィン。アメリカに手向かうことはできないと考え、ウォルフォウィッツ・ドクトリンが作成されたのだが、それに伴ってアメリカ支配層は日本に強い従属を求めるようになる。
1994年に日本で公表された「日本の安全保障と防衛力のあり方(樋口レポート)」に満足できなかった彼らは武村正義官房長官が排除、国防大学のスタッフだったマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補を介してジョセフ・ナイ国防次官補やエズラ・ボーゲルと会い、1995年には「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」が発表される。日本をアメリカの戦争マシーンへ組み込む工作の本格化だ。
1997年には「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」が作成され、1999年には「周辺事態法」が成立、2000年にはナイがリチャード・アーミテージらと「米国と日本−成熟したパートナーシップに向けて(通称、アーミテージ報告)」を作成した。
9/11をはさみ、2002年に小泉純一郎政権が「武力攻撃事態法案」を国会に提出、03年にはイラク特別措置法案が国会に提出された。そして2004年の憲法第9条に関するアーミテージの発言につながる。2005年には「日米同盟:未来のための変革と再編」が署名され、12年にアーミテージとナイが「日米同盟:アジア安定の定着」を発表している。
こうした流れの中、小泉政権の正体に気づいた国民は小沢一郎が率いていた民主党に流れる。これをアメリカ支配層が危惧したのであろう、日本のマスコミや検察が小沢攻撃に動き始めた。
まず、週刊現代の2006年6月3日号は「小沢一郎の“隠し資産6億円超”を暴く」という記事を掲載、2009年11月には「市民団体」が陸山会の04年における土地購入で政治収支報告書に虚偽記載しているとして小沢の秘書3名を告発、翌年の1月に秘書は逮捕されている。また「別の市民団体」が小沢本人を政治資金規正法違反容疑で告発、2月に秘書3人が起訴された。
後に検察が「事実に反する内容の捜査報告書を作成」するなど不適切な取り調べがあったことが判明、事実上の冤罪だということが明らかになるものの、小沢一郎に「悪人」というイメージを固定することに検察やマスコミは成功した。
小泉の後、自民党の安倍晋三、福田康夫、麻生太郎が首相になるが、民主党を叩き切れない。そして2009年9月に小沢と近い関係にあった鳩山由紀夫が首相になる。小沢に対する怪しげな告発が行われるのはその直後だ。
東シナ海を「友愛の海」にしようと語っていた鳩山由起夫首相が検察とマスコミの力で首相の座から引きずり下ろされたのは2010年6月。次の菅直人政権は棚上げになっていた尖閣諸島(釣魚台群島)の領有権をめぐる問題に火を付け、中国との関係を悪化させ、南シナ海でも軍事的な緊張が高まる。
2015年6月1日に開かれた官邸記者クラブのキャップとの懇親会で安倍晋三首相は南シナ海に言及している。「安保関連法制」は「南シナ海の中国が相手」だと口にしたというのだ。週刊現代のサイトが紹介、外国でも話題になっていたが、日本のマスコミは大した問題だと考えていないようだ。
【注】
(1) ベニト・ムッソリーニは1933年11月に「資本主義と企業国家」という文章の中で、巨大資本が支配するシステムを「企業主義」と呼び、資本主義や社会主義を上回るものだと主張した。これが彼の考えたファシズムであり、全体主義だとも表現されている。
(2) 1938年4月29日にフランクリン・ルーズベルトはファシズムについて次のように定義した。「もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」
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