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日銀幹部がバッサリ!「マイナス金利が日本経済を滅ぼす」〜公の場でまさかの「黒田批判」 こんなこと言って大丈夫なの?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48930
2016年06月24日(金) 週刊現代 :現代ビジネス
あまりに衝撃的なため、市場関係者はこの一件を「佐藤ショック」と名付けたほど。日銀マンが公に向けて話をする場で、まさかの「黒田批判」を繰り広げた。その驚くべき「全文」をお届けしよう。
■ついに内部分裂
日本銀行で前代未聞の「反乱」が勃発した。
6月2日、日銀幹部の佐藤健裕氏が北海道釧路市で開かれた金融経済懇談会で、黒田東彦総裁が進める一連の金融政策に対して、「痛烈批判」をぶち上げたのである。
佐藤氏は元モルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミストで、'12年から日銀政策委員会審議委員を務めている。審議委員は、日銀の最高意思決定機関である政策委員会で総裁、副総裁に次ぐポジション。そんな中枢の大幹部が異例の「内部批判」を繰り出したのだから、マーケットには激震が走った。
「この日の午後にはその発言の一部が市場に流れ、『日銀に分裂が起きた』と駆け巡った。海外ヘッジファンドは即座に動いて、為替市場では円が急騰。日経平均株価も400円近く暴落した」(外資系証券会社幹部)
市場では「佐藤ショック」としてすでに語り草となっており、いまだにその余波は収束しない。
佐藤発言はそれほどの爆弾だったわけだが、事なかれ主義の大新聞やテレビはその内容を一部しか報じようとしない。そこで本誌が、その「全文」を明らかにする。
佐藤発言がなにより衝撃的なのは、「ボス」にあたる黒田総裁の政策にこれでもかと批判を投げかけている点にある。
「『量的・質的金融緩和』の開始から3年余りが経過した。
私の理解では、この政策はあえて大胆な手法を採用することで人々の予想形成に訴えかける一種のショック療法で、当初2年程度の期間を念頭に置いていたことに示されるように、少なくとも私はあまり長く続けることを想定していなかった。
それゆえ'14年10月に『量的・質的金融緩和』を拡大し、さらに本年1月にマイナス金利の採用まで至ったことには複雑な思いである」
佐藤氏はそんな赤裸々な胸の内を明かしたうえで、黒田総裁の肝煎りで始まったマイナス金利政策への「反対意見」を堂々と述べるのである。
「マイナス金利について反対の理由をあらかじめ申し上げると、まず、マネタリーベースの拡大とマイナス金利の採用は本質的に矛盾があり持続性に欠けると思う。
また、マイナス金利政策は緩和効果をもたらすどころか、むしろ引き締め的であるとも考える。
さらに、マイナス金利政策は金融システムの安定性に影響を及ぼす可能性があるとも考える」
■マイナス金利が年金を脅かす
黒田総裁はマイナス金利政策について「投資の空前のチャンス」などとバラ色の経済効果が生まれると謳うが、佐藤氏は期待できないと真っ向から否定。むしろ「負の影響」をもたらしているとの批判を繰り広げる。
「1月会合(注・日銀がマイナス金利政策の導入を決めたのが1月の政策決定会合)後ほどなくして株式市場は銀行株を筆頭に急落し、為替市場は円高となった。またMMF(公社債投信の一種)や中期国債ファンドといった安全運用商品の募集停止・繰り上げ償還の動きが相次いだ。
これらを受け、マインドも悪化した。預金の目減りへの不安感はもとより、マイナス金利という奇策を取らねばならないほど日本経済は悪化しているという誤った認識が浸透したことが要因と思われる」
実際、これは庶民がマイナス金利政策に対して感じている肌感覚と一致するものだろう。
日銀現役行員も言う。
「実は日銀内部でもマイナス金利政策については『失敗は明らか』『撤退したほうがいい』という声が出ている。しかし、総裁肝煎りの政策なだけに、表立ってそれを言える人はいない。佐藤氏が『代弁』してくれたことで、留飲を下げている行員は少なくない」
佐藤発言を続けて見ると、日銀がマイナス金利政策を今後も継続した場合、われわれの「年金」にまで悪影響が及びかねないと言う。
「金利低下は長期・超長期ゾーンで著しいが、20~40年といった超長期の資金調達を行う、ないしはできる民間経済主体はほとんど存在しない。
むしろ、こうしたゾーンの過度の金利低下が年金負債などの割引率低下を通じて、企業年金を含む広義の社会保障制度の持続性を脅かすほか、企業財務に相応のマイナス影響を及ぼし、人々のコンフィデンスを損なう可能性もある」
そんな佐藤氏の懸念はさっそく的中している。
6月8日、三菱東京UFJ銀行が日本国債の入札に特別な条件で参加できる資格を返上すると報じられた。
これは三菱東京UFJ銀行がマイナス金利下で国債を保有していることで損失が膨らみ、財務に致命的な影響が出かねないと見ての決断。マイナス金利が銀行経営に「実害」を与えていることが証明されたわけである。
「三菱UFJFGにとって、マイナス金利は1000億円規模の減益要因。これほどの巨額損失を被って怒り心頭の平野信行社長は、5月の決算会見の場で『マイナス金利で経済・金融に対する先行き不透明感が払拭できない』『追い風から向かい風に変わった』とぶちまけた。
民間銀トップが公に日銀への不満を語るのは異例だが、それほどはらわたが煮えくり返っている」(前出・外資系幹部)
■日本は今後も「低空飛行」
再び佐藤発言に戻れば、実は批判の矛先は黒田総裁の「デフレ脱却政策」にも向けられている。
周知のとおり、黒田総裁は就任当初より「2年で2%の物価目標」を掲げて、デフレ脱却を宣言。直近では「物価の基調は着実に改善している」と順調に進んでいるかのように語っている。
しかし、佐藤氏はこうした黒田総裁の楽観論を、「見通し期間中に2%の『物価安定の目標』に到達しない」とバッサリ。そのうえで、黒田総裁によるデフレ脱却策の限界にまで言及したのだ。
「日本銀行は『2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に』2%の『物価安定の目標』を実現するため、'13年4月に『量的・質的金融緩和』を導入したが、すでに導入から3年以上経過しており、このコミットメントの意味については再考を要する時期に来ていると思う。
この点、特定の期限を区切り、特定の物価上昇率を目指すという考え方については、金融政策の効果発現のラグや不確実性を考えあわせると、かねてから違和感を持っている。
新興国を含め世界的にディスインフレ傾向となるなか、なぜ日本だけが特定の期限を区切る必要があるのか、またそれは金融政策だけで実現可能なのか、といった疑問もある」
物価とは本来、まず景気がよくなったうえで、次に人々の賃金が上がり、それにともなって上がっていくもの。それを黒田総裁は強引に金融政策だけで物価高をもたらそうとしているのだから、うまくいくはずもない。
そもそも、黒田総裁の「異次元緩和」が始まって以来、円安が急伸。庶民は輸入物価の急激な上昇で生活苦に追いやられているのが実情である。
佐藤氏も率直に、次のように述べている。
「私は、無理に2%を達成する必要はないと考える。人々も、所得の上昇を伴わない物価上昇は望んでいない。物価上昇が先行すると実質所得の低下からマインドの悪化を招き、消費に悪影響が及ぶことを我々は経験から学んでいる」
経験から学んでいないのは黒田総裁だけ——。そんな皮肉に聞こえるのは気のせいだろうか。
黒田総裁がトップに就任してから3年。この間、日本は不景気から抜け出せず、一時は上昇した株価もダラダラと下がり始めた。総裁任期の満了まで2年を残すが、「打つ手」はもう限られており、この先に明るい未来は見えてこない。佐藤氏も次のように展望する。
「ゼロ%近い潜在成長率のもと、天候など些細な外的要因でもマイナス成長に陥りやすい脆弱な経済だけに、先行きも国際金融資本市場や海外経済の動向に振らされやすい低空飛行となる可能性は高いとみている」
日銀幹部がかくも嘆くほどに、マイナス金利という「愚策」は、日本経済をめちゃくちゃに滅ぼそうとしているのである。
「週刊現代」2016年6月25日号より
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