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新聞・週刊誌「三面記事」を読み解く
【第164回】 2016年6月18日 降旗 学 [ノンフィクションライター]
共産党の「小学生に署名活動」に透ける組織の焦り
舛添要一都知事は間もなく舛添“前”都知事になるが、結局のところ、この人は何をやりたくて都知事になったのかがわからないままだった。韓国人学校に都有地を貸与しようとしたことくらいしか思い出せなかったりする。
延命のためとはいえ、無給でいいから都知事を続けたいなんて発言は、愚の骨頂だった。都知事をやらせてくれるなら給料不要と言う人はごまんといるだろうし、だったら高須クリニックの高須克弥院長やホリエモンのようなお金持ちが手を挙げるかもしれない。それこそ共産党員が給料はいらないからと知事をやるなんて言い出したら、東京都は怖ろしいことになる。
舛添さんが言ったのは、そういうことだ。無給で構わないというのは労働に見合う対価を要求しないということで、資本主義の原則に反する考え方でもある。それとも、舛添さんは身を以て奴隷制度を復活させようとでも思っていたのか。
ちなみに、舛添さんは給与全額を返上する条例案を提出していたが、それだと退職金が出ないことになるため、辞職願と引き換えに条例案を撤回している。退職金はしっかり貰うことに決めたらしい。こういうところが舛添さんなのだ。
今回の辞任劇を新聞や週刊誌やワイドショーで見ていたが、騒動をここまでこじらせたのは他ならぬ舛添都知事ご本人だった。さまざまな問題が表面化したとき、すぐに頭を下げ、詫びていればこんなことにはならなかっただろう。
だから、海外視察に往復二六〇万円のファーストクラスを使いホテルは一泊約二〇万円のスイートと報じられたら、「香港のトップが二流のビジネスホテルに泊まりますか」と逆ギレしたりせず、毎週末の別荘通いに公用車を私的利用したことを問われた際も“公用車は走る知事室”“別荘の風呂は足をゆったり伸ばせる。そうするとアイディアが閃く”だなんて屁理屈をこねず、『竜宮城スパホテル三日月』の宿泊費は家族旅行ではないかと質されたとき、懇意の社長と会っていた、でも政治の機微に関わるから名前を出すのは控えたいなんてツッコミどころ満載の言い訳をせず、近所の天ぷら屋さんでの家族の外食を経費で落としたりマンガ『クレヨンしんちゃん』を子どものために購入したり中国服を政治政治資金で買ったのに「書を書くときはいつもこれを着る」なんて不気味なことは言わず、公私混同の判断を誤った。私用で使った額は返金すると言っていればよかった。
それを、「第三者の厳しい目で」などと、第三者委員会にはかるとか言うものだから都民は激怒した。はじめに答えありき=違法性なしで、舛添さんに都合のいい結果しか出ないことがわかっていたからだ。新聞だってわかっていたが、根拠なき憶測は書けないから第三者委員会の結論が出るのを待った。
とりわけ、朝日新聞の記者さんらは歯ぎしりしたことだろう。二年前、慰安婦報道の誤報と吉田調書の曲解報道を謝罪したとき、朝日新聞も慰安婦問題の専門家がいない“第三者委員会”を立ち上げ、朝日新聞の報道に“責任なし”の答えが出るような調査をさせていたからだ。今回、舛添さんは朝日と同じやり方で逃げようとしたのである。
自分たちがやった手法を舛添さんにやられたものだから、朝日新聞は思うようにツッコめず、追及も弱いものになった。東京都民は舛添さんの煮え切らない態度に嫌気がさしていただろうが、誰もが何よりも嫌悪したのは、舛添都知事のみみっちさだったのではないか。
結果、頼りの自公にも見放され、舛添さんは辞職を申し出るに至った。
政治資金の流用はおそらく一〇〇〇万円程度だったはずだが、しかし、そのせいで東京都はまた四十六億円もの選挙費用を供出しなければならなくなった。舛添さんの言い訳は逐一笑わせてもらったが、個人的にいちばん面白かったのは、舛添さんが辞職すると発表するや否や、あれは私刑だイジメだと言い出す“優等生クン”が出てきたことだ。吊しあげのさなかにはダンマリだったくせに。
多くは舛添さんの辞職で溜飲を下げた……、もとい、矛を収めたが、追及の手を緩めようとしなかったのが共産党だ。党都議団の大山とも子幹事長はメディアの取材にこう応えている。
「事実を伏して知事が辞めればいいというものではない。百条委員会を設置して真相究明するのが都議会の責任だ」
だが、共産党が設置を要求した百条委員会は、自民公明両党はもちろん、民進党も設置を拒否した。共産党だけが盛り上がっている感は否めないが、先日、その共産党員がとんでもないことをしていた事実が次々と発覚した。
まずは、昨年六月。足立区で安全保障関連法案への“反対署名”を集めていた共産党の運動員が、帰宅途中だった小学一、二年生約十人に声をかけ、署名を求めた。児童に署名を求めるあたりからして共産党のセンスを疑うが、その際、運動員は児童らにこんなことを言ったのだという。
「戦争になればお父さんの母さんが死ぬよ。お父さんやお母さんが戦争で死んだら嫌でしょ。戦争になったら爆弾が落ちてくる。それは困るよね」
運動員に言われるまま数人が署名したとのことだが、中には帰宅後、恐怖のあまり泣き出した児童もいたという。保護者から連絡を受けた小学校は急きょ教員を現場に向かわせ、駆けつけた保護者とともに抗議したところ、運動員は謝罪。署名活動をやめたというが、この運動員は自分が何をしたかわかっているのだろうか。
共産党の男性区議は、組織的にやったわけではなく、署名を集めたいという気持ちが“高じて”やってしまったのだろうと産経新聞の取材に応えた。だったら、武力革命を起こしたいという気持ちが高じたら、共産党員は何をするのだろう……、考えただけで背筋に冷たいものが走ってしまう。足立区の教育委員会が言う。
「子どもは、『両親が死ぬ』と言われれば怖くなって署名する。本来の署名活動の目的から外れたものだ。一定の知識を持った段階になってから是非を判断させるべきで、子どもへの署名活動には配慮してほしい」
元共産党幹部の筆坂秀世氏も言う。
「大人でも難しいのに、『戦争は嫌』という印象だけで署名させているのだろう。とんでもない話だ。共産党は若者の支持を得たいという思いは強いが、組織的ではなく、自分たちは正しいとの思い込みから行き過ぎが起きるのだと思う」
思いッきり思い込んでますね。もはや共産党の青年下部組織と言ってもいい『SEALDs』の主張などを見ているとそのへんがよ〜くわかる。
“お父さんお母さんが死んじゃうよ署名”は組織ぐるみではないと共産党は言うが、やはり昨年六月、福岡県水巻町でも帰宅途中の児童を呼び止め、同様の署名活動を行なっている。やったのは共産党の女性町議だった。
さらに、世田谷区でも今年四月、同じような署名活動が行なわれている。
〈区立小学校の低学年の男子児童が下校途中、年配の女性から「戦争は嫌だよね」と用紙への記入を求められ、意味がわからないまま応じた。保護者が「知らないおばあちゃんから声をかけられ怖がっていた」と学校に連絡(後略)〉
児童を脅しての署名活動が頻発していながら共産党は“組織ぐるみではない”と舛添さんみたいな言い訳をしているが、この他にも、千葉県の県立高校では元教諭の男性が“無断”で持ち出した個人情報を使い、安保関連法廃止の署名を要請する封書を卒業生に送付していた事実が明らかになったり(三月)、北海道苫小牧市の道立高校でも教員が校門前で生徒に法制反対を呼びかけ、ビラを配って署名を募るといった困った問題も発生している(四月)。
埼玉県では、共産党の機関誌『赤旗』のコピーをクラスに配りホームルームの授業をしていた教師もいた。この教諭は、どこかの国の長よりSEALDsの主張と活動のほうが素晴らしいとか言ったんだよね。
共産党には何か焦りがあるのかもしれないが、なりふり構わないように見えてしまうのは私だけか。小池晃政策委員長は昨年十二月、日本の教育について真夏の怪談より怖ろしいことを口にしている。
「憲法を守ろうとか、安全保障法制は反対、問題ありますよねということを先生が言わなくっちゃ教育になんない(中略)。こういう問題で(教育者の政治的)中立ってあり得るのか。戦争はいけないということを先生が堂々と言わなければ教育にならない」
教育基本法十四条には〈法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治活動をしてはならない〉とあるのだが、小池センセイはご存じないようだ。
さらにおっかない話をすると、今年四月、日本教職者組合(日教組)の新書記長に就任した岡本泰良書記長の就任挨拶だ。
「学校現場からの教育改革を市民的、国民的な運動に広げていかなければならない。社会的に対話力の強化が必要だ」
三月に臨時大会を開いた日教組は、安全保障関連の早期廃止の他、原発再稼働や米軍普天間飛行場の辺野古移転反対を訴える特別決議を採択している。日教組って、もはや活動家のレベルだな。怖いぞ、教育改革を国民的な運動にするなんて。
ついでながら、今年二月、岩手県で開かれた第六五次教育研究全国大会に出席した教師たちの発言をいくつか紹介してみようと思う。
「私は生徒に“特定秘密保護法案に反対のハガキを私は政府に宛てて書きます。きみたちも書くかい?”と言いました」(広島県三原市の中学の女性教諭)
「学習の中で、日本がもっと武器を持ったほうがいいという意見は、実はあったんです。三年生の女の子で、自分は戦争反対だが、武力は武力で止める方法しか思いつかないと。本当にショックで、だからぼくは、その子と話をしたいし、その考えを少しでも解消していけるような授業をしていきたいと思います」(長崎県佐世保市の中学校の男性教諭)
「どうしても、原発再稼働に賛成、基地はなくなってはいけない、武装もすべきと言う子も出てくる。成績のいい子、リーダー的な子の中にそういう意見の子って出てきていると思う。そういう子は、政治の世界や経済界を牽引したり、技術者として最先端を行ったりするはずなので、放っておいてはいけないかな、と思っています」(神奈川県海老名市の中学校の女性教諭)
教師たちは、こういうことを本気で言っているのだ。ちなみに、日教組は実は共産党と折りあいが悪く、共産党系は日教組から分派した「全日本教職員組合」ですが、分裂後の日教組はますます左派的思想を強くしていることを付記しておきます。日教組のセンセイ方は自分たちの主義主張を擦り込むためなら優秀な生徒を潰すことを厭わないみたいです。
新しい都知事を選ぶ前に、参院選がある。共産党は、「国民連合政府」という悪夢を野党各派に呼びかけている。手っ取り早く言ってしまえば野党で共闘し、安保関連法制を廃止に追い込もうというものだ。あわよくば政権に潜り込もうなんて思っているのかもしれない。
そのためなら――、と共産党は、「日米安保条約の廃棄」「自衛隊の解消」などの基本政策を一時凍結した。ずっとダメだと言ってきたけど日米アンポはとりまオッケー、自衛隊もアリでいいよ、とこれまでの主張をひっくり返すと言うのである。目を背けたくなるほどの変節だ。党の基本政策を捨てるとは、給料いらないから都知事を続けさせてくれと言っているにも等しいではないか。
安保法は廃止しても自衛隊法は残るので「(他国から武力攻撃を受けて)急迫不正の主権侵害が起きれば、自衛隊を活用するのは当然だ」と志位和夫委員長は言う。
トップからしてこういう嘘を口にするような政党だから、戦争でお父さんお母さんが死ぬよと児童を脅して署名を集めたりするのだ。だったら教えてほしい。いつ、またアンポ反対、自衛隊違憲と言い出すつもりなのか。いちばん教えてほしいのは、いつ武力革命を起こす気か、だがな。
今月一五日、党本部の集会で志位委員長は言ったらしい。
「安倍首相は最近の演説の中で「気をつけよう、甘い言葉と民進党」とまで言った。いやしくも一国の首相が天下の公党に対してこのような低次元の誹謗中傷をやるべきではない(中略)。政府与党による野党共闘攻撃、反共政策は日本の平和と民主主義、国民生活に対する攻撃に他ならない」
野党共闘攻撃、反共政策が日本の平和と民主主義、国民生活を攻撃している?
憲法九条さえ守れば日本は未来永劫にわたって平和だと嘯くほうがよほど国民生活を攻撃していると私は思うぞ。それに、いたいけな子どもを脅して反対署名を募るような卑劣漢を心の底から好きになれない。
だから、気をつけよう、甘い言葉と共産党――、なのである。
参考記事:産経新聞6月10日14日・2015年12月11日
読売新聞6月11日
ロイター通信3月18日
週刊新潮2月18日号
AERA5月23日号他
http://diamond.jp/articles/-/93266
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