http://www.asyura2.com/16/senkyo207/msg/518.html
Tweet |
市場はバイバイアベノミクス 「この道しかない」の狂気
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/183171
2016年6月9日 日刊ゲンダイ 文字お越し
「エンジンをフル回転」と山梨で演説/(C)日刊ゲンダイ
参院選の地方遊説を本格化させた安倍首相。8日は山梨県に入ったが、街頭演説ではいつものセリフを繰り返した。
「最大のテーマは経済政策だ。アベノミクスはまだ道半ば。エンジンをフル回転させる必要がある」
争点はアベノミクス。エンジンを最大限にふかす――。安倍首相は消費増税の再延期を発表した1日の記者会見でもこう強調していたが、今やアベノミクスがうまくいっていると思っているのは、首相本人と安倍政権をぼんやり支持する国民くらいだろう。株式市場や金融のプロは、「アベノミクスはもう終わった」と判断している。それを裏付ける事実も次々、表面化してきているのだ。
最も分かりやすいのは、安倍首相が「エンジンをふかす」と叫んでも、株価がピクリとも動かないことだ。株式市場は安倍首相の言葉をもはや信用していないし、期待もしていない。
■株式市場は「バイ・バイ・アベノミクス」
東洋経済の投資家向けサイト「会社四季報オンライン」に7日掲載された株式コメンテーター・岡村友哉氏のコラムが興味深い。
タイトルは〈「バイ・バイ・アベノミクス」を映す投資意欲減退〉。それによれば、裁定買い残(「先物売り、現物買い」のポジションを組んで、まだ裁定取引を解消していない現物買いの残高)と信用買い残が、アベノミクス相場開始以来、最低水準になっているという。これは海外投資家と個人投資家のセンチメント(市場心理)が著しく低下していることを示す。
この現実に岡村氏は〈アベノミクスはリセットされているのが現状〉〈エンジンをふかそうにも、ふかすエンジンが搭載されていないという切なさには目頭が熱くなるほどだ〉と書いていた。アベノミクスは見放されたのだ。
シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト、田代秀敏氏がこう言う。
「『ふかすエンジンが搭載されていない』というのはその通りですね。消費増税を再延期し、秋に大型の補正予算を組むそうですが、安倍首相はその金額を言わない。弾が尽きたということでしょう。マイナス金利によって浮いた国債の利払い費を財源に充てるのだと思いますが、国債の元本を減らさなきゃいけないのに、そんな自転車操業をするのは、ない袖は振れないということ。投資家は見抜いていますから、マーケットは冷え切っています。消費増税の再延期を表明した1日の記者会見は、株式市場に影響を与えないよう午後6時に開かれました。しかし、24時間取引の先物市場では、会見の最中から株価が急落した。先物、それも夜間はプロしかやりません。つまり、マーケットのド真ん中にいる人たちがアベノミクスは『バイバイ=サヨナラ』と断定したのです。以降8日まで、日経平均先物は1万7000円を回復していません」
■メガバンクもサジを投げた
アベノミクスに三くだり半を突き付けたのは投資家だけではない。日銀と持たれ合いの関係でやってきたメガバンクが、マイナス金利にまで踏み込む異常な金融緩和に、ついに「NO」を示したのだ。
8日、三菱東京UFJ銀行が国際入札の特別資格(プライマリー・ディーラー)の返上を検討していることが明らかになった。
優先的に国債を買え、財務省と意見交換できるなどの利点があるが、国債の入札ごとに発行予定額の4%以上の応札が義務付けられている。マイナス金利によって、国債を満期まで持ち続けると損失が発生する現状で、“特別待遇”など要らないということだ。
「『三菱』は日本最大であるだけでなく、近代日本とともに歩んできた銀行です。そこが、国債入札の特別資格という“ステータス”を返上するという。これは衝撃的です。消費税率の引き上げを凍結したことによる財源不足を、政府は国債の利払い費の余り分で手当てしようとしている。つまり、マイナス金利が当分の間、常態化することを意味します。さすがの三菱も『これ以上、政府に付き合ってはいられない』とサジを投げたのでしょう」(田代秀敏氏=前出)
他のメガもこれに追随する可能性がある。マイナス金利が続けば、生保だって国債離れだ。そうなると、国債の安定的な買い手がいなくなり、「日銀引き受け」の悪夢が現実になる。国債暴落も目の前だ。
アベノミクスの失敗を認めず突き進む(C)日刊ゲンダイ
21世紀版の「1億火の玉」で玉砕するつもりか
それなのに、アベノミクスの失敗から目を背ける安倍首相は、恣意的な経済指標を使って、国民を欺き続けるのだから許し難い。毎度、口をついて出てくるのが「全都道府県で有効求人倍率が1を超えた」というフレーズだ。しかし、経済評論家の斎藤満氏によれば、これには少なくとも2つのカラクリがあり、威張れるような“成果”ではないという。
まず、生産年齢人口が減少を続けているため、「有効求職者」が減少傾向にあること。そして、「有効求職者」の条件、つまり失業保険の受給資格保有者の条件が厳しくなり、申請を諦めてしまう人が少なくないこと。要するに、有効求職者という“分母”が小さくなれば、有効求人倍率が高くなるのは当然である。
「3年連続のベースアップ」も怪しい。経団連の数字には定期昇給分が含まれている。「雇用の増加」も人件費が抑制できる非正規が中心。企業が従業員に払った名目給与は、この3年間でむしろ減少しているという。
斉藤満氏があらためてこう言う。
「誇れる成果が他にないから、無理やり数字を持ってくる。安倍政権のいつものパターンです。『世界経済の危機』を強調するため、同じことをG7サミットでやって、世界の恥さらしになりました。雇用環境が良くなり、賃金が上がっているのなら、どうして消費が増えないのか。『消費増税を再延期しても社会保障はやります』と言うが、そんなお金がどこにあるのか。安倍首相の説明の矛盾に、今回はさすがに気付く国民もいると思います」
■「経済」で目くらましの先に「改憲」
自民党の参院選のキャッチフレーズは「この道を。力強く、前へ。」である。アベノミクスは大失敗して、もう終わっているのに、それでも「この道しかない」と突き進む安倍政権。まさに「ここまでやった以上、引き返せない」とばかりに暴走した関東軍ばりの狂気としか言いようがない。前出の田代秀敏氏は、「金融のプロたちは、安倍首相は『21世紀版の1億火の玉』になってアベノミクスで玉砕するつもりなのか、と冷ややかに見ているのでは」と言った。
そして、忘れちゃならないのは、安倍首相が「経済」を争点にした過去2回の選挙の後、何をしたか、ということである。13年参院選の後は「特定秘密保護法」、14年衆院選の後は「戦争法」を制定し、民主主義、立憲主義を破壊した。
「経済」優先で有権者の目をくらませ、選挙に勝ったら、すべてに「信を得た」とやりたい放題。今回も同じだろう。憲法改正に必要な「3分の2の勢力」に届けば、間違いなく憲法改悪に手を付ける。
選挙に勝つためなら何でもアリ。世界も呆れた三百代言で、消費増税を再延期し、アベノミクスの争点化を図る狂乱首相。そんな詐欺的手法が何度も通用するものか。
有権者は、株式市場とメガバンクに暴かれた安倍首相のウソをしっかり受け止め、賢明な選択をしなければならない。そうでなければ、アベノミクスだけでなく、この国自体が死んでしまう。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK207掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。